京都での経験をもとに開発した出汁中華。独自のアレンジも多いが、計量を徹底し再現性は担保
そんな「汤汤」のコンセプトは、京都で発展した京風中華をルーツとした「出汁中華」。京風中華とは、花街で働く芸妓・舞妓たちが、食後に座敷に匂いを持ち込まないように強い香辛料を控え、出汁を使ってあっさり仕上げた中華料理のこと。その特徴は、適度な軽さで毎日食べても飽きがこない優しい味わい。そんな京風中華に、かつおと昆布からとる出汁や、いりこ出汁、野菜や肉など食材から出る旨味を掛け合わせ、より「出汁」を楽しんでもらえるように開発したのが「出汁中華」だ。コンセプトに悩んでいた最中に、夢の中でこのアイディアを思いついたという。
来馬氏はこう回顧する。「これまで中華料理店を経験したことはないのですが、京都の小料理店で働いていた際、女将が最初に教えてくれたのは中華鍋の振り方でした。それに、野菜を切る時に使っていたのは中華包丁。当時は不思議に思っていましたが、『餃子の王将』や『天下一品』など京都発の中華料理チェーンもありますし、図らずも京都に根付く中華料理の文化に触れてきたのかもしれません」。
フードは、お酒との相性を意識し酸味や辛味を効かせた冷菜から、出汁の優しさを意識した温菜、〆料理まで幅広く用意。昆布とかつおの合わせ出汁と焼売を合わせた「お出汁で食べる海老焼売」(500円)や、関西風豚の天ぷら豚天と温かいきゅうりやパイナップルに米酢のあんをかけて京風に仕上げた「京都の酢豚」(950円)、「冷菜 三種盛り合わせ」(1人前600円)、「トマトと菜の花の麻婆豆腐」(1050円)などが人気高い。
看板商品は、「汤汤名物 京都中華の逸品 からしそば」(1200円)。茹で上げた中華麺にからし醤油を和え、清湯スープのシンプルなあんをかけ合わせたもので、「本来、細麺~中太麺を使うのですが、試食した際に、太麺で食感がある方が麺とあんが絡んで満足感が感じられる仕上がりになって面白いと思ったので太麺を使っています」と話すとおり、来馬氏のアレンジも加えられている。
このように来馬氏が手がける料理には、彼の経験とセンスがひとひねり加えられているものも多い。しかし「料理人は、きちんと計量する人としない人で分かれると思うのですが、私は計量するタイプ。感覚ではなく必ず計量して作るので、料理の再現性は高い。ゆくゆくは他のスタッフに任せることも可能です」と説明する。
ドリンクは、瓶ビールや中国酒の「紹興貴酒三年」(600円)、「孔府家酒(白酒)」(600円)、ウイスキー、サワー、お茶割り、ソフトドリンクなど、高円寺らしく居酒屋として気軽に楽しめる多彩な品揃え。白酒の烏龍割り「ウーパイ(白酒×ウーロン茶)」(650円)をはじめ、お茶割りがよく出るという。
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奥山氏もかねてよりハマっているという「汤汤名物 京都中華の逸品 からしそば」
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「冷菜 三種盛り合わせ」。左から、「手羽先の山椒醤油漬け」「ニラ玉おひたし」「あさりの紹興酒蒸し」
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「お出汁で食べる海老焼売」。関西地方ではおせち料理として馴染み深いクワイが入っている。実際に来馬氏も京都の飲食店でクワイ入りの焼売をよく食べていたそうで、これらの経験が活かされた京都の食文化を感じられる逸品だ
店舗データ
店名 | 出汁中華 汤汤(タンタン) |
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住所 | 東京都杉並区高円寺北3-21-19 ライオンズプラザ高円寺 1E |
アクセス | JR中央線高円寺駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5356-6002 |
営業時間 | 17:00~24:00 |
定休日 | 月曜 |
坪数客数 | 7坪12席 |
客単価 | 3500~4000円 |
運営会社 | 株式会社YCO GROUP |
オープン日 | 2025年1月7日 |
関連リンク | 出汁中華 汤汤(Instagram) |