恵比寿で人気の「amme」に続いて「sqall（スコール）」が開業。肉刺し・魚刺し・日本酒の三大名物と営業職経験を生かした“攻めの接客”を武器にさらなるファン形成を狙う！

お客の懐に一気に飛び込む「営業型接客スタイル」が会社のモットー。新店舗は独立支援の目的も

「amme」が好調な要因として欠かせないスタッフの接客だが、これについては、佐藤氏を始めとしたコアメンバーのほとんどが飲食以外の異業種出身であることで、独自のスタイルを形成したのだという。「私も含め、ウチの会社って営業出身者が多いんですよ。そういう人間の感性からすると、『接客』って少し受動的な印象を受けるんです。言ってみれば、御用聞き。提案がないようなイメージ。でも、『営業』は自分でお客様のニーズを汲み取って、定義して、アクションを起こすことで結果につなげる、能動的なもの。そう考えているので、私たちは飲食業の運営においても『接客』ではなく『営業』をする。どんどんお客様の懐に飛び込むし、予約が少ない日には営業メッセージを送ったりもして、自発的に売上を作っていくんです」。こうした運営スタイルであることから、佐藤氏は人材選びにも営業的な思考の有無を重要視するようになった。

今回、2店舗目を任された玉岡氏も、そのひとりだ。「玉岡は、もともと『amme』の内装業者の営業だったんです。人当たりが良く、相手との距離感を掴むのが非常にうまい。極めつけは、いつも、絶え間なく元気。これは飲食業に向いているなあ、と、気にかけていました」。初対面から半年も経ったころには、佐藤氏と玉岡氏は業者と顧客という垣根を超え、気の置けない仲間のように親しくなっていた。そんな玉岡氏は、ある日佐藤氏と飲んでいた時、喝を入れられたことがあったという。「佐藤が突然、『お前は誰のために働いているんだ！　自分のやりたいことをやれよ！』と言ってきたんです。実はその頃、私は仕事のことで結構悩んでいて。自分では表に出していないつもりだったのですが、周囲には雰囲気で感じ取られていたようで。そんな様子を見てはっぱをかけてくれたんです」。佐藤氏に諭され、改めて自身の働き方や生き方について思考を巡らせた玉岡氏。「会社のために働くな。自分のために働け」という志成NEXTの考えにも共感し、佐藤氏に入社の意思を伝えた。「玉岡は結婚していて家族がいる。けれども飲食経験はまるでない。それでも飛び込んでくるなんて、並大抵の覚悟がなければできません」。

すでにこの頃、恵比寿近辺で物件取得に動いていた佐藤氏は、次の出店を玉岡氏の独立支援を目的とすることに決めた。玉岡氏の意向をもとに、店舗のコンセプトや方向性を設計。6月には物件を取得し、本格的な開業準備に突入。晴れて9月12日、「sqall」は開業した。

縦長の店内は全てテーブル席を配置。恵比寿界隈での会食のニーズにも目をつけ、奥には個室も設けた

店舗データ