たまたま配属されたドッグカフェから飲食業界へ。出会いに恵まれ、さまざまな店舗で経験を積む
「料理や、小料理や」があるのは、中目黒、祐天寺、池尻大橋のちょうど中心あたりに位置する住宅街。どの駅からも徒歩15分強と距離があり「常連様はほとんど、この上目黒5丁目にお住まいの方なんです」とオーナーの永峯氏は笑顔を見せる。
永峯氏の出身は福島県。もともとは動物看護師を目指していたが、専門学校卒業後に就職した仙台の企業で、ドッグカフェに配属されたことをきっかけに飲食業界に足を踏み入れることになったというユニークな経歴の持ち主だ。
ドッグカフェの次は、本格的な料理を学ぼうと仙台市内のイタリアンレストランで働き始めたものの、その矢先に東日本大震災が発生。やむなく上京し、上野のピッツェリアで働いていると、仙台時代の知人から、福島の食材を使う店を出すから手伝ってほしいと誘われる。それが中目黒の「屋根裏のパリ食堂」であり、この頃から永峯氏の拠点は中目黒周辺になっていったという。
「その頃、この物件は『キッチン ミグ』というワインバーで、私はお客として通っていたんです。その間にはお寿司屋さんや、ワインのことを勉強したくて『フジマル醸造所』でも働いたりもしていました。そんなあるとき、オーナーのミグさんがご主人のお店を手伝うことになったから、代わりにここでお店をやらないかと声をかけていただいたんです。ソムリエの資格は取得していたものの、まだまだ独立なんて……と自信が持てずにいたら、別のお客様が出資するかたちで“雇われ店長”という形でお店をやらせてもらえることになって」と経緯を語る永峯氏。
こうして2017年に「キッチン ミグ」だった場所でワインバー「isolani(イゾラーニ)」が開業する。同店が軌道に乗った1年後には永峯氏が店を買い取り、「mille casa(ミレカーサ)」に生まれ変わった。少々不便な立地ながらも近隣住民で賑わい、深夜12時に満席になることもしばしばだったという。「ありがたいことではありますが、自分の年齢や体力を考えたときに、このまま深夜3時まで働き続けるのは無理があるな、と。自分の健康を考えた上でも身体にやさしい和食をやりたいなと思ったんです」。
リニューアルの背景には、原価および単価を上げることで、一人ひとりのお客をより満足させる料理やサービスを提供したいという思いもあったという。今回、「料理や、小料理や」を開くにあたり、飲み仲間でもあった料理人・山口大志氏を誘った。また、永峯氏はコロナ禍における休業期間を活用して日本茶インストラクターの資格を取得し、新装開店に備えた。
内装も大幅に変更している。1階は以前もカウンター席だったが、席数を減らし、ゆったりと配置。表通りからも店の様子が見えるよう、入口の位置を変え、道路に面した壁には大きな窓を作った。さらに、倉庫として使っていた2階を個室にしたことで、ファミリー層も受け入れられるようになった。「『ミレカーサ』時代のお客様からは行きにくくなってしまったという声がある一方で、変わらずに来てくださる方や、新しいお客様も来てくださるんです」と永峯氏。住宅街の中にある隠れ家として、認知されつつあるようだ。
店舗データ
店名 | 料理や、小料理や |
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住所 | 東京都目黒区上目黒5-4-8 |
アクセス | 中目黒駅、祐天寺駅、池尻大橋駅から各徒歩15分、バス停「寿福寺前」の目の前 |
電話 | 03-6451-2677 |
営業時間 | 17:00~24:00(L.O.23:00) |
定休日 | 水、木曜 |
坪数客数 | 14坪13席 |
客単価 | 13000円~ |
オープン日 | 2022年3月11日 |
関連リンク | 料理や、小料理や(Instagram) |