「串焼きと煮野菜 下北沢の零や」が開業。京都で4店舗を展開する23歳の若きオーナーが東京初出店。オリジナリティに富んだ“煮野菜”で若い世代に訴求する

京料理の出汁を活かした“煮野菜”を考案。契約農家とのサステナブルな関係が店を支える

達川氏は「串焼きと煮野菜 下北沢の零や」開店にあたり、2人のスタッフを連れて上京し、初めの1年間は、それぞれ別の店で修業を積んだという。「僕とサービススタッフの塩見はベイシックス（東京都港区、代表取締役：岩澤博氏）の店舗で、店長の吉岡は下北沢にある『ホルモン稲田屋』で勉強させていただきました。ここは駅の繁華街とは反対側、しかも空中階です。ベイシックスでは不利と思われる立地でも繁盛店にすることはできるということを学び、自信がつきました」。

料理は店名にもあるように、串焼きと煮野菜がメイン。串焼きは「豚バラ」（250円）「せせり」（200円）など定番に加え、ベイシックスの系譜を継いだ、野菜を肉で巻く“野菜串”（1本200円～）も提供する。

耳慣れない“煮野菜”とは、契約農家から届く旬の野菜を大鍋の出汁で炊いて丁寧に仕込み、さらにさまざまな食材や調理法と組み合わせ、「春菊ととろろのおひたし」（500円）や「丸大根と海老のフリット」（700円）、「冬瓜とはまぐりの酒蒸し」（700円）といった具合に仕上げていく独自のスタイル。新しい野菜が届くたびに書き換えるというメニューには、それぞれの野菜のイラストとともに味わいの特徴や栄養価などが書き添える。季節の移り変わりとともにレシピを考案する大変さはあるものの、訪れる人には喜ばれるはずだ。メニュー作りにおいて重要視したのは、空中階でも目的を持って足を運びたくなるようなラインナップや価格であることと、京都府内10軒の契約農家との信頼関係。「僕たちが契約することで、農家さんにとっては育てた野菜を無駄にせずに済み、安定した収入にもつながります。京野菜のブランドを東京の方に楽しんでいただくこともできる。来年の夏に向けて、僕らが作ってほしい野菜の栽培もお願いしているところなんです」。

ドリンクのイチオシは、こちらも農家直送のフルーツを使ったサワー類（450円～）に、京都の専門店から仕入れる茶葉で作る茶割り。「宇治抹茶割り」（550円）、「黒豆茶割り」（400円）、「コーン茶割り」（400円）など茶割りだけでも10種類が並ぶ。このほか、仕込みに1週間を要するという自家製クラフトコーラとウイスキーを炭酸で割った「クラフトビームコーラ」（550円）も好評だ。

串焼きは常時15種以上が揃う。写真はベイシックス仕込みの野菜巻き

フォトジェニックなフルーツサワー。こちらも煮野菜同様、季節によって入れ替わる

店舗データ