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革新的な店づくりを進めるPLEINの次の一手は、ノンアルで非日常感を楽しめる昼業態。アフタヌーンティー専門店「Atelier plein EBISU」がオープン!

革新的な店づくりで飲食業界に新風を吹き込んでいるPLEIN(東京都港区、代表:中尾太一氏)が、3月26日、「Atelier plein EBISU(アトリエ プラン エビス)」をオープンした。恵比寿の住宅街にひっそりと佇む一軒家の店舗で、アフタヌーンティーのコースを提供する。主にホテルのラウンジで提供されてきたアフタヌーンティーの「街中の専門店」は珍しく、コロナ禍で求められている「ノンアルコールの魅力的な昼業態」としても要注目の新店だ。

恵比寿の住宅街にひっそりと佇む一軒家の店舗。恵比寿駅のガーデンプレイス口からは徒歩3分ほどの場所

以前はフレンチレストランだった店舗のエレガントな内装を、ほぼそのまま使用。一軒家ならではの落ち着いた雰囲気がある
3段のティースタンドで提供する多彩なスイーツとセイボリー(食事系)は、見た目の華やかさも大きな魅力
1段目には、グラス仕立てのスイーツをのせ、見た目のインパクトを一層強めている
奥左がPLEIN代表の中尾太一氏。手前右がシェフパティシエの田村史奈氏。奥左2番目からグループ料理長の金子裕樹氏、安石貴則氏、高橋竜士氏(取材日に「Bistro plein」からヘルプ)。手前左は新卒入社の奥寺萌衣氏。

(取材=亀高 斉)


作り手もワクワクするのがアフタヌーンティー

星野リゾートや「Soup Stock Tokyo」のスマイルズを経て、2017年9月、表参道に「Bistro plein OMOTESANDO(ビストロ プラン オモテサンドウ)」を開業して独立したPLEIN代表の中尾太一氏は、この4年余りの間に、革新的な店づくりを次々と打ち出してきた。働き方改革を実践しながら「Bistro plein」を繁盛ビストロに育て、コロナ禍においてはキッシュやシャルキュトリーのECも成功。代々木上原の「michiru by plein(ミチルbyプラン)」では、カフェ&ショップの形態を構築した。プロデュース業も軌道にのせ、今年3月26日に麻布十番にオープンした「BIRTH DINING by plein(バースダイニングbyプラン)」では、「ビルとテナントの関係の再構築」、「若手シェフの開業0.5歩目の機会創出」というコロナ後も見据えた2つの新機軸を打ち出している。

そんな中尾氏の新たな一手が、アフタヌーンティー専門店の「Atelier plein EBISU」だ。出店のきっかけは、恵比寿の住宅街の一角にひっそりと佇む一軒家の物件との出会い。元々はフレンチレストランだった12坪の物件で、小さいながらもゆったりと時間が流れるような空間であったことから、「ここならアフタヌーンティー専門店がいいのではないか」と思い至ったという。そこで、声をかけたのが、星野リゾート時代の同僚でパティシエの田村史奈氏。軽井沢ホテルブレストンコートで8年間、パティシエとしての研鑽を積み、その後、山梨のパティスリーでも活躍していた田村氏は、中尾氏のアフタヌーンティー構想に賛同した理由を以下のように話す。「アフタヌーンティーは星野リゾートで担当したことがあり、小さなお菓子をたくさん楽しむスタイルは、お客様だけでなく作り手にとってもワクワクする魅力があります。また、入社前に一軒家の店舗を見せてもらったのですが、お客様との距離が近く、もし自分が独立するならこんな店でやりたいという素敵な雰囲気だったので、ぜひ挑戦したいと思いました」。こうしてPLEINのシェフパティシエとして田村氏が入社し、「Atelier plein EBISU」の出店が実現した。

スイーツ&セイボリーのクオリティーの高さで差別化

中尾氏が出店を決めたのは、ホテルのアフタヌーンティー需要が伸びていると感じたことも理由だ。コロナ禍で宿泊や夜のレストラン利用は減っているのに、ラウンジのアフタヌーンティーは盛況…。アフタヌーンティーのテイクアウトを始めたホテルもある…。ホテル出身の中尾氏は、そんな動向を敏感に察知していた。「1年前だったらアフタヌーンティーの店は出店していない。でも、アフタヌーンティーの新たなマッケートが形成されつつある今はチャンス」と考えたのである。同時に、ラグジュアリーで広々とした空間を魅力にしているホテルのラウンジのアフタヌーンティーと、どのように差別化するのかもしっかりと戦略を立てた。

「Atelier plein EBISU」は、11時30分又は12時~と15時又は15時30分~の2回、アフタヌーンティーを税込5000円のコースで提供。まずこの5000円ジャストの価格が、チャージなども含めると7000~8000円になるケースが多いホテルのアフタヌーンティーよりも割安感がある。ターゲットは明確に女性客で、業態の位置づけは「ホテルとカフェの中間」。ホテルのアフタヌーンティーよりもリーズナブルで、なおかつカフェの上位互換のような業態として女性たちに茶話会の楽しいひと時を過ごしてもらう。そして、何よりも差別化の柱にしているのは商品のクオリティー。一度に大勢のお客に対応しなければならないホテルのアフタヌーンティーは外注商品が使われるケースも多いが、同店のスイーツはすべて店で手作りしたもの。セイボリー(食事系)も「Bistro plein」で作る自家製のパテドカンパーニュやポークリエットを味わえるようにし、そのクオリティーの高さで差別化している。さらに、アールグレイやダージリンなどの「Tea」4種、カモミールやジャスミン、ローズヒップスウィートなどの「Herb tea」6種を、すべて一杯ずつ抽出して提供。一般的にアフタヌーンティーでは、2.5杯分くらいが入ったポットで紅茶を提供するが、それだと量が多く、いろんな種類を楽しみにくい。一杯ずつ抽出するのはオペレーション的には手間がかかるが、だからこそ、「お客様との距離が近い小さなアフタヌーンティー専門店」(16席)ならではのサービスとして実践し、いろんな種類の紅茶を楽しんでもらえるようにしている。

大感激させるヴィジュアル。ワインと楽しめるコースも!

「Atelier plein EBISU」のアフタヌーンティーのコースは、スイーツとセイボリーを合わせて18~20種類くらいを提供する。12~15種類くらいの場合が多いホテルのアフタヌーンティーのコースよりも、多彩な品を堪能できるのも大きな特徴だ。「当店のアフタヌーンティーのスイーツは、他よりもサイズが一回り小さめ。ひと口、二口で食べることができるサイズで、多彩なスイーツを楽しんでいただけるようにしています」と田村氏は話す。取材時のスイーツはヴェリーヌ(苺のムース バラの香り)、あふれるバターサンド(柚子のバタークリーム)、カシスムース(ヨーグルトクリームとブルーベリー)、オペラ(コーヒーとチョコレートのケーキ)、ギモーヴ(フランボワーズのマシュマロ)、マンディアン(チョコレートとセミドライのフルーツ)、シュー・ア・ラ・クレーム(苺とカスタードクリーム)、ビテール(メレンゲとチョコレートクリーム)、スフレチーズケーキ(レモンの香るふわふわのチーズケーキ)、パート・ド・フリュイ(オレンジとレモンのゼリー)、フイナンシェ(抹茶とホワイトチョコとナッツ)。3段のティースタンドに、色とりどりのスイーツとセイボリーが並んだ華やかな見た目は、女性たちを大感激させるヴィジュアルだ。一番上の段にグラス仕立てのヴェリーヌをのせ、一層インパクトを強めているのも同店独自の演出。さらに、コースの最初にアミューズ(取材時は春キャベツと茸のパイ包み)を、最後にはソルベを提供する。ティースタンドの商品以外にアミューズと締めのデザートを提供するのも、他のアフタヌーンティーでは見られない新工夫だ。中でもソルベは、全日本洋菓子工業会の全国アシェットデセール・コンテストで3位入賞も果たした田村氏の高いスキルを生かした一品。旬のフルーツなどのフレーバーが、口いっぱいに広がるソルベだ。実家が長野でリンゴ農家をしていたという田村氏は、フルーツには特に思い入れがあり、同店のスイーツを通して「日本のフルーツの素晴らしさ」を伝えていくことも目標にしている。

また、「Atelier plein EBISU」は、5000円のコース他に、アルコール類もフリーフローで楽しめる7000円のコースを用意。アルコールはスパークリングワインや白・赤ワイン、ミモザ、ティフィンレモンソーダなどで、これもビストロを手掛けるPLEINらしい新提案だ。すでに来店客の2割くらいが7000円のコースを利用しており、「ワインとともにアフタヌーンを楽しむ」スタイルも話題を集めそうだ。

「パティシエの働き方改革」や「多様性の受け皿」もテーマ

「夜から昼へと時間を早めて飲む、いわゆる昼飲みとは違い、アフタヌーンティーは元々、昼に楽しむもの。ランチやティータイムの昼の時間帯に違和感なく利用してもらうことができ、しかも客単価は5000円以上を確保できるので、収益構造はレストランを夜に2回転させるのと同じです」。そう中尾氏が話すように、アフタヌーンティーは大きな可能性を秘めた要注目の昼業態。将来的には、フレンチレストランだった店舗の厨房設備を生かし、一日一組限定のレストランとして夜も営業する構想も持っている。

また、独立する時から「飲食業を憧れの仕事にする」ことを目標としていた中尾氏は、「Atelier plein EBISU」においても「人が活躍できる場を創る」ことを大切なテーマにした。その一つは「パティシエの働き方改革」。アフタヌーンティーのスタイルは、店の空間や紅茶も楽しんでもらうことでスイーツの価値を高めることができる。そのレストラン的なアプローチを働き方改革につなげ、パティシエの新たな道を作っていきたい考えだ。同店ではこの4月から新卒のスタッフも採用。「例えば、アフタヌーンで提供するスイーツのうちの1種類は、新人のパティシエが自分で作ってお客様に喜んでもらう。そういう成功体験を早く積むことができる場にもしてきたい」(中尾氏)という。そして、同店を出店したことで、会社全体としてのテーマである「それぞれの個性を生かす多様性の受け皿」も広がった。ビストロだけでなく、カフェやスイーツの業態も出店したことで、様々なタイプの人材をフレキシブルに採用できる会社へと成長しているのだ。29歳の注目の若手経営者・中尾氏率いるPLEINは、コロナ禍においてもさらにスピード感を増して、次のステージへと確実に歩みを進めている。

店舗データ

店名 Atelier plein EBISU(アトリエ プラン エビス)
住所 東京都渋谷区恵比寿4-19-7

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アクセス 恵比寿駅・ガーデンプレイス口から徒歩3分
電話 03-5795-2588
営業時間 スタート時間が11:30or12;00~と15:00or15:30~の1日2回
定休日 月曜・火曜
坪数客数 12坪・16席
客単価 6000円
運営会社 株式会社PLEIN
オープン日 2021年3月26日
関連リンク Atelier plein EBISU(HP)
関連リンク PLEIN(HP)
関連リンク Bistro plein AZABU(記事)
関連ページ michiru by plein UEHARA(記事)
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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