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28歳オーナーが“外食産業を憧れる仕事に”を使命に邁進!麻布十番に「Bistro plein AZABU」が開業、表参道に次ぐ2店舗目。週休2日・夜営業のみで、従業員もお客も幸せになる店作り

2月19日、麻布十番に「Bistro plein AZABU(ビストロ プラン アザブ)」がオープンした。表参道の「Bistro plein OMOTESANDO(ビストロ プラン オモテサンドウ)」を運営するPLEIN(東京都港区)による、ジビエや有機野菜のサラダなどをコース、アラカルトで提供するビストロだ。代表の中尾太一氏は現在28歳。25歳のとき、”外食産業を憧れる仕事に”をビジョンに掲げ、同社を起業した。創業店である表参道は、店舗の定休日を月火の2日間作ることで従業員の週休2日制を導入し、かつディナー営業のみで坪月商40万円を越える繁盛店に。労働環境を整え、スタッフの高い満足度を実現している注目の若手経営者による2店舗目だ。

店内、カウンター席。黒が基調で落ち着いた空気感を演出
店内、テーブル席。厨房は段差があるのみで、ほぼフラットに設計されており、お客は臨場感が楽しめる
「蝦夷鹿のロティ」。ジビエは北海道旭川の猟師から直接一頭買いし、表参道店と麻布店で使用
「有機野菜の溢れるパフェ仕立て」(700円)。提携農家より仕入れる完全無農薬野菜を使用。土を模した自家製パウダーも見どころ。表参道店でも提供するが、この盛り付けは麻布店用にブラッシュアップしたもの
左下がBistro plein AZABU 代表の中尾太一氏。左上より、Bistro pleinAZABU Chefの伊藤康紘氏、Alliance事業部アシスタントの清久瑛莉香氏、料理人 / ソムリエの早川貴晶氏、業態料理長の金子裕樹氏。中尾氏の元同僚やその仲間で作り上げた結束の強いメンバー

(取材=福井 晶)


高校生で飲食での起業を志し、調理師専門学校へ

代表の中尾太一氏のこれまでの飲食経歴は明るい。高校生時代にマクドナルドでアルバイトを始め、わずか3ヶ月で店長代理に。「やった分だけ評価してもらえる」と飲食業にポジティブなイメージを持ち、この成功体験により飲食業界での起業を志したという。経営者である父から「これからは料理の専門性があり、経営やマネジメントもできる人材が必要とされる」と助言され、25歳で起業すると決心。高校卒業後は調理専門学校へ進学した。

星野リゾート入社後、異例の早さで本部へ異動。2社目のスマイルズでも活躍

卒業後は星野リゾート(長野県北佐久郡、代表:星野佳路氏)に入社。軽井沢のホテルブレストンコートで、フレンチの料理人として研鑽を積んだ。先輩から手仕事が遅いとの指摘を受けたのがきっかけで、部署の無駄な部分を洗い出し、マニュアル作成、業務をシステム化するなど、全体の業務改善を自主的に行った。「周りからは変わった新人だと思われていましたね」と同氏は笑うが、この功績が上層部に認められ、グループ全体の料飲部門を取りまとめる統括本部にわずか入社3年で抜擢。役員直下のポジションで経験を積んだ

起業するに際して、高価格帯の非日常を提供する業態しか経験していなかったため、日常的な飲食業態を経験したいと考えた同氏は、「Soup Stock Tokyo」を展開するスマイルズ( 東京都目黒区、代表:遠山正道氏)で新たなレストラン事業が立ち上げると聞き、転職。「100本のスプーン」をはじめとする新業態の商品開発や人材開発、業態開発など、企画から運営までに携わった後、独立に踏み出した。

25歳で起業。「週休2日、ディナー営業のみ」前提で業態を考案

2017年、25歳で独立を目標に18歳から貯金した500万円を全て資本金にあてPLEINを起業。”外食産業を憧れる仕事にする”をビジョンに掲げたきっかけは、飲食業界を離れていく同世代の姿を見てのことだった。「僕はとても素晴らしい会社で働かせていただき、独立する前も飲食の仕事が大好きで幸せでした。ただ、飲食=働く場としてブラックのネガティブなイメージを持つ人が多いことが嫌でした。それならば、楽しく飲食業にとことん向き合える環境を自分が作ろうと考えました」(中尾氏)。

従業員がメリハリを持って働くために店舗の定休日を週2日設け、ディナーのみで店舗を営業することに決めた。「定休日を増やして営業時間を短くするデメリットは家賃効率が下がる、人件費が高くつくなど、経営者側の都合なんです。僕自身の損得よりも、スタッフの働きやすさを優先しました。会社として利益を残す事は必須ですが、営業時間を伸ばして従業員を朝から晩まで働かせることで利益を伸ばしていく既存の運営モデルには限界があると考えました」と同氏。

これを前提条件として事業計画を立て、表参道に「Bistro plein OMOTESANDO」を2017年9月にオープンさせた。営業時間が短いことで固定メンバーでの運営が可能となり、サービスや料理の質が向上。顧客満足度につながり、結果、坪月商40万円以上を達成し、営業日数が少なくてもしっかりと利益を残す運営をしている。

中尾氏は飲食店の運営と共に、他社の飲食事業における人材開発、事業開発、商品開発を行っている。同氏は「前職での経験や自身の直営店で得た知見を活かし、現場と経営を繋ぐ提案ができるよう心がけています。他社の業態に関わることで、違った角度のインプットが得られる。社員も異なる事業に関わる機会が増えることで大きなレベルアップにもなります。」と話す。

多店舗展開に挑戦すべく、麻布十番に2店舗目をオープン

今回、2店舗目の条件として1号店と同じ港区内で、スタッフが行き来でき、既存のお客にとっても足を運びやすいエリアを希望。六本木界隈のお客も集まる麻布十番を選んだ。店内は17坪21席、大通り沿いの雑居ビル3階だ。元寿司屋の店内をほぼスケルトンにして、フルオープンの厨房を中央にレイアウト。その周りをぐるりと囲うようにカウンター席、テーブル席、個室を配置。テーブル席からはシェフの手仕事が見えるように仕上げた。店のコンセプトは、「ビストロの再構築」だ。骨太なビストロである「Bistro plein OMOTESANDO」の良さを生かしながら、麻布の立地にマッチするよう、フレンチの繊細さとラグジュアリー感をプラス。距離の近い接客と洗練された雰囲気を両立させた店を目指す。

料理は既存店の人気メニューから麻布限定の新作までを用意。コースは5000円と6500円の2種類あり、前菜の冷菜4品「はじまりのおひとくち」、麻布店の名物「溢れる有機野菜のグラスパフェ」をはじめ、北海道旭川の猟師から直接仕入れるジビエ、デザートまで8皿前後が提供される。アラカルトでも注文可能で、完全無農薬野菜使用のサラダ2種類、「前菜3種盛り合わせ」(1300円)、「白レバームース 木苺ソース」(700円)「黒豚のパテドカンパーニュ」(800円)などシャルキュトリー8種類、おつまみ4種類、リゾット3種類、メインの肉料理は「本日のジビエ 250g」(3200円)、「本日の和牛 250g」(4800円)、「本日の牛肉とジビエの食べ比べ」(3200円)など7種類と、ビストロらしいラインナップ。デザートも抜かりなく、パティシエが常時3種類を用意する。

ドリンクはワインを中心にビール、カクテルなどを揃える。ワインは社内にいるソムリエの選定によって仕入れ、グラスワインは常時、赤白各4種類、スパークリング1種類、一杯900円から1500円の価格帯で提供する。ボトルは50種類ほど揃え、5000円から用意する。

今後「Bistro plein」は店舗展開せず深堀りを図る。求人広告費ゼロでも、入社希望者が絶えない

今後について、「Bistro plein」の業態はこれ以上店を増やさず、この2店舗のみで掘り下げていきたい意向だ。「ビストロは奥深い。ソムリエとシェフがいて、料理とサービスの幅が広く、多様なシーンで使ってもらえます。これを多店舗展開で薄めるのではなく、むしろ色濃く、個人店らしい良さを維持していきたい。これからも創業の軸をぶらさずに、本気で料理人が料理に向き合い、僕自身も全力で取り組んでいきたいです」と中尾氏。新たな業態開発や店舗展開については未定だが、PLEINには求人広告を出していないにもかかわらず、毎月のように入社したいと応募があるという。「熱く飲食に燃える人材との出会いがあれば、業態にこだわらず挑戦したい」と語った。

店舗データ

店名 Bistro plein AZABU(ビストロ プラン アザブ)
住所 東京都港区六本木5-11-25 鳥居坂アネックス 3F

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アクセス 麻布十番駅より徒歩2分
電話 03-5413-3133
営業時間 17:00~24:00(L.O.23:00)
定休日 月曜、火曜
坪数客数 17坪21席(カウンター9席、テーブル8席、個室4席)
客単価 8000円~10000円
運営会社 株式会社PLEIN
オープン日 2020年2月19日
関連リンク Bistro plein (HP)
関連リンク Bistro plein (Instagram)
関連リンク Bistro plein (FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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