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代々木上原に「上原の酒場 でばやし」がオープン。高知県出身の幼なじみが共同創業、カフェのような空間で、地元食材を使った親しみやすい居酒屋メニューを提供する

3月12日、代々木上原に「上原の酒場 でばやし」が開業した。高知県出身の幼なじみ2人が共同創業した店で、下北沢の居酒屋「まぼねん」を立ち上げた中島 良氏が調理を担当、教員から飲食業界に転身した中野翔太氏がサービスを担当する。地元・高知の生産者から届く新鮮食材を使い、和をベースにした料理やドリンクを展開。カフェのようなスタイリッシュな店内で、居心地の良い時間を提供する。今後は高知にも出店を考えているという両氏。その基盤にもなり得る店づくりに注目だ。

代々木上原駅の線路沿い、レンガ仕立てのビル2階に立地。店前には「まぼねん」オーナーから贈られた提灯がともる
もとは美容室だった物件。インテリアには譲り受けたものも飾られている。テーブルや椅子は栃木県芳賀郡益子町の「仁平 古家具店」など
お通しの「鰹のタタキ」。 “高知食材を使う酒場”であることを印象付ける一品
奥の白い皿が、〆に人気の「ベーコンと酒盗のクリームうどん」。「文旦サワー」と「いちごサワー」も注文数が多い人気のラインナップ
料理を担当する中島 良氏(左)と、サービスを担当する中野翔太氏(右)。小学校・中学校が同じという同級生だ。後ろにかかる額縁型のフラワーベースは、高知の家具店「Flat Furniture」のもの

(取材=田窪 綾)


幼なじみの2人が共同創業。出身地の高知にちなんだ店づくり

「上原の酒場 でばやし」は、高知県高知市出身の中島 良氏、中野翔太氏が共同創業した居酒屋業態の店だ。代々木上原駅からすぐ、線路沿いにあるビルの2階にオープン。入口には店名を記した白い提灯が下がり、営業中であることを知らせている。

調理を担当する中島氏は高校卒業後に上京し、調理専門学校へ進学。お客との距離が近い酒場的な空間に居心地の良さを感じ、卒業後は下北沢の鮮魚居酒屋「ととしぐれ」など、居酒屋業態を中心に腕を磨いてきた。10年以上の調理経験を持つが、20代半ばまでは芸人としても活動していたという。27歳の時には仲間3人と下北沢に「晩酌屋 まぼねん」を立ち上げ、2号店「おむかい」を出店するほどの人気店へと成長させた。ただ、個人的には「30歳で独立したい」との想いも抱いていた。

もうひとりのオーナーであり、サービスを担当する中野翔太氏は、大学入学を機に上京。障害者が通う特別支援学校の教員としてキャリアを重ねてきた。オーストラリアにも留学し、知見を深めた経験もある。仕事内容は充実していたが、このままで良いのかと迷っていた時、中島氏に共同創業の誘いを受けた。30歳を機に新しいことに挑戦したいと独立を決意。2年ほどを準備期間として開業資金を貯め、2020年3月に退職。コロナ禍でも何とか飲食店の勤務先を見つけ、接客経験も磨いたという。

カフェのような雰囲気をもつ、スタイリッシュな酒場

開業にあたり大切にしたのは、2人のルーツである“高知”。しかし「ただ高知料理と冠してもピンと来る人は少ないのでは」と考え、高知の食材を使った居酒屋業態に決めた。

物件探しの際は「まぼねん」の常連客も訪れやすいようにと、代々木上原の他に三軒茶屋なども検討。契約の決め手になったのは、中島氏の調理専門学校時代の恩師の店がビル隣にあり、縁を感じたことだったという。

知人のデザイナーに設計を依頼した店内は、酒場らしからぬカフェのようなスタイリッシュな空間。そこにヴィンテージ感のあるテーブルやドライフラワーなどを据え、リビングで過ごすような居心地の良さを出している。

高知県産の食材を使ったメニューが特徴。カツオをお通しに使い、店を印象付ける

フードやドリンクは、高知県産の食材を使ったメニューが多く並ぶ。まず、店の印象を左右するお通しは「鰹のタタキ」で固定。その理由として中島氏は「私自身、お客として入ったお店で出されたお通しが寂しいものだとガッカリしてしまいます。ただ店側にとっては、毎日違うものを考えるのも負担になる。その時間があったら他の仕事に費やしたい。ならば“高知”を代表する食材・カツオでインパクトを残そうと。カツオは鮮度勝負なので、必ず出し切れるお通しなら無駄にもなりません」と語る。

その他、「土佐のかつおのなまり節」、「高知県産フルーツトマトとブッラータチーズ」など、和をベースにした一品を用意。「パリパリピーマンの肉味噌」、「焼きズッキーニ 醤油バター」など、地元・高知で農業を営む友人・知人から直送される食材を使った一品もあり、季節ごとの味わいも提供する。また、「若鶏の唐揚げ」や「梅水晶」などの居酒屋定番も揃える。

お客がほぼ100%注文するのは、シメの「ベーコンと酒盗のクリームうどん」。白味噌を隠し味に使っており、中島氏は「お通しのカツオとともに、『これが食べたくて来た』とお客様に言ってもらえるような看板商品に育てていきたい」という。

ドリンクの人気メニューは「季節の生フルーツサワー」。現在は文旦、小夏、いちごをラインナップしており、どれも好評だ。また、高知産ショウガとスパイス、オレンジを煮詰めて作る自家製シロップを使った「自家製ジンジャーサワー」「自家製ジンジャーハイボール」もよく出る。その他、ビールやお茶割り、ワインなどの品揃えも。焼酎や日本酒は高知だけでなく全国のものをバランスよく置く。

いずれは高知への出店を視野に。両氏のキャリアを活かし、基盤をつくる

オープンしてから1ヶ月ほど。「現在は知人や、中島の前職の店からお客様が来てくれます。新規客は20~30代後半や、近隣に住む40~50代が多いですね」と中野氏が言うように、好調な滑り出しだ。

今後は2~3年後を目途に高知に出店を考えている両氏。「代々木上原で腕を磨き、高知に2号店を出して地元を盛り上げたい」と中島氏は話す。また中野氏は「そのためにまずはこの店で確固たる基盤を作りたい」とも。と同時に、障害者との関わりで得たこれまでのキャリアを飲食業態で活かしたいとも模索する。「健常者の生活圏内では、障害者と接することが少ないんです。お店では障害者、健常者の壁を払い、誰もが居心地よく過ごせる店づくりを手掛けていきたい」と語る。

店名の「でばやし」は、芸人が舞台に上がる際にかかる曲の意味。幼なじみから共同経営者としてコンビを組んだ両氏のスタートにふさわしい名前であり、覚えやすさも特徴。お店を訪れるお客の期待感も膨らませてくれるはずだ。

 

店舗データ

店名 上原の酒場 でばやし
住所 東京都渋谷区上原1-32-18 小林ビル2階

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アクセス 代々木上原駅南口から徒歩1分
電話 03-6407-9782
営業時間 18:00〜翌1:00(L.O.0:00)※新型コロナ感染拡大により、営業時間の変更あり
定休日 日曜
坪数客数 15坪 最大30席(現在は20席前後に縮小中)
客単価 4000~5000円
オープン日 2021年3月12日
関連リンク 上原の酒場 でばやし(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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