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中目黒にジントニック専門店「The World Gin&Tonic〔Antonic〕(ザ ワールド ジン アンド トニックアントニック)」がオープン。酒の新しい飲み手の開拓や、洋酒・カクテル文化の普及をミッションに、初心者にも開かれたカジュアルバーを目指す

10月31日、中目黒にジントニック専門店の「The World Gin&Tonic〔Antonic〕」がオープンした。オーナーは不動産、建築業の経験もつ武田留以氏で、洋酒販売会社、レミー コアントロー ジャパン(東京都港区)での営業経験をもつ夫の武田光太氏との共同経営。「酒業界では新しい飲み手の開拓が進んでいない」と課題を感じていた2人は、酒に詳しくない人でも注文しやすいアイテムとしてジントニックに着目。メニューにSNSを活用するなど、ライト層に配慮したバーのカジュアル業態として、約100種類のジンを揃えるジントニック専門店を作り上げた。

大通りから一本入った路面に立地。外観、内観ともに明るい印象で、日中でもカフェ感覚で足を踏み入れられる
シンプルで洗練された内装は、飲食店ではなくアパレルショップなどを参考にしたという。「全くお酒に興味なかった層が、気になって来店してくれるのが理想」と武田氏
カウンター奥にテーブル席を設置
武田光太氏のオススメは、会社員時代から愛飲しているというスコットランドのジン「ザ・ボタニスト」(800円)
ノンアルコールジン「NEMA」(1000円)。ノンアルコールドリンクは今後必須のジャンルと捉え、いいものがあれば増やしていきたい考えだ
左から、ディレクター武田光太氏、ストアマネージャーの宮武祥平氏、オーナーの武田留以氏

(取材=福井 晶)


ライト層にも響くジントニックで酒業界の課題に踏み込む

同店のディレクター、武田光太氏は、レミーコアントロージャパン(東京都港区)に営業として7年在籍。コンセプト作りや物件取得などの開業準備は、妻の留以氏、ストアマネージャーの宮武祥平氏と3人で進めた。店の構想は、光太氏が常々感じていた酒業界の課題点が元となっている。「現在、クラフトジンは大きなトレンドとなっていますが、商品数は増える一方で飲み手がそこまで増えていません。そもそも酒業界のトレンドは、バーに来る限られた客層がターゲット。ジンが売れたらウイスキーが売れなくなるといったようにパイの奪い合いになっています。バー、カクテルを嗜む若者も減っており、新しい飲み手の開拓といい消費者の育成に課題を感じていました。妻に毎晩のように、バーへのステップになる敷居の低いお店が必要だと話していたら、じゃあ私達でやってみようかとなったんです」と同氏。光太氏が得意とする洋酒を扱ったバーのカジュアル業態を作ろうと、店の軸となる題材を探っていたところ、ジントニックにたどり着いたという。「ジントニックって、ジンとトニックウォーターでできていると知らない人でも、なんとなくどんな飲みものか想像できます。クラフトジンのトレンドというよりも、そのキャッチーさに着目しました」と同氏。「ジン単体をウリにすると、ジンを選んだ後、さらにロックやソーダ割などの飲み方も考えなくてはならず、初心者にとってはハードルが上がる。酒に詳しくない人でも、ジンを選ぶだけで注文が完結できる、ジントニックに絞った専門店にしようと考えました」。

出店エリアは、全国でも知名度の高いエリアであること、フードを出す予定がなかったため、他店とのはしご酒を前提に飲み歩き文化のある街を条件に検討。初心者をターゲットにしたため、銀座や六本木ほどカクテル文化があえて根付いていない中目黒を選んだ。内見2軒目で元印刷事務所の路面の物件に決め、契約に至った。

Instagramアカウントをメニューとして活用

同店のシステムで特徴的なのは、Instagramアカウントをメニューに活用している点だ。2つのアカウントを運用しており、一方は店の情報発信用、もう一方はジンのメニュー用となっている。メニュー用アカウントはスマホから手軽にアクセスすることができるため、バーテンダーとのコミュニケーションが苦手、メニューをまじまじと見るのが恥ずかしい、などのバーを訪ねるときのお客の不安要素を巧みに取り除いている。来店客はメニューを持ち帰った形になるため、次回来店来るときには何を注文するか決まっているお客もいるという。また、常に更新情報すれば、来店へのアプローチにつながり、フォロワーを通じた顧客管理もできるためイベントの告知も可能だ。「こうしたバーの敷居を下げるような店づくりには、かなり頭をひねりました。3人ともバーテンダーではないので、それぞれが自身の飲み歩いた経験をもとに、お客様と同じ目線に立って考えた結果ですね」と同氏は話す。

ジントニックは統一価格で、安心感ある設計

ジンは世界30カ国以上から仕入れた常時約100種類を揃え、「ジントニックにして美味しいもの」を絶対条件として、安定して供給されている銘柄をセレクト。ジントニックは1杯800円、1000円、1200円の3段階の価格で提供する。「お客様に安心感を与えるため統一価格にしていますが、正直、原価的に厳しいものもあります。ただ、クラフトジンは劣化が少なくロスもほぼないので、ワインなどに比べたら管理がしやすいです」と同氏。トニックウォーターは基本的にシュエップスを使用し、フィーバーツリー、kizashiにも変更可能。その他、海外の星付きレストランでも採用されているノンアルコールジン「SEEDLIP」や、横浜のカクテルバー「Nemanja(ネマニャ)」の北條氏が手掛ける国産のノンアルコールジン「NEMA」(1000円)も揃える。つまみには「ミックスナッツ」(300円)や「自家製ドライフルーツ」(300円)、タスマニア産マスタード使用の「ポテトサラダ」(500円)などの軽いバーフードを6種類ほど用意。大がかりなキッチン設備がないため、ケータリング、他店へのフードの委託も検討中だ。ジンと同じく世界各国の料理を用意して、ペアリングの提案なども視野に入れている。

酒文化を普及させるイベントも開催

現在の客単価2500円ほどで、客層はSNSを見て来店する20代、近隣に住む酒好きの30〜40代が多いという。今後、同店ではお酒の商品のことを正しく広めるため、イベント開催に積極的に取り組む予定で、酒屋をゲストに招いた試飲・即売会なども開催予定。商品に特化したフェアや、ゲストバーテンダーを呼ぶなど、酒を中心にした様々な広がりが期待できそうだ。同店は、酒の新しい飲み手の開拓や、洋酒・カクテル文化の普及をミッションに、初心者も足を踏み入れやすいカジュアルバーとしてさらにブラッシュアップを図っていく。武田氏は「いつかジントニックが、日本中のみなさまの“今日飲みたいお酒”の選択肢に加わるその日まで、Antonicは美味しいジントニックを伝え続けていきます」と語った。

店舗データ

店名 The World Gin&Tonic〔Antonic〕(ザ ワールド ジン アンド トニック アントニック)
住所 東京都目黒区東山1-9-13

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アクセス 中目黒駅から徒歩9分
電話 03-6303-1729
営業時間 13:00〜22:00
定休日 不定休
坪数客数 10坪13席スタンディング8名
客単価 2500円
オープン日 2020年10月31日
関連リンク Antonic(Instagram公式)
関連リンク Antonic(Instagramメニュー)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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