三茶「BORRACHOS」出身2人組みが立ち上げ
池尻大橋駅と三軒茶屋駅のちょうど真ん中に位置する世田谷公園。付近は住宅街で、カフェやベーカリー、ファミレスなどが点在するのんびりとした雰囲気が漂うエリアだ。そこに登場したのが「かすがい 三宿」。駅から遠い立地ながら賑わいを見せる酒場だ。
同店を立ち上げたのは、三軒茶屋のメキシカン「BORRACHOS」などで経験を積んだ杉山洋介氏。同じく「BORRACHOS」で一緒だった細川祐一郎氏を誘い、2人を中心に開業準備を進めた。
駅から徒歩15分、酒場には向かない立地でも公園近くのロケーションに惹かれ契約
巡り合った物件は、各駅から徒歩15分はかかる住宅街。「本来はもっと駅前で考えており、メンバーからは不安の声もありました。ですが、近くに公園があってのんびりした雰囲気が魅力だった。話し合った結果、思い切ってここでやろう!と決めました」と杉山氏は話す。
空間づくりからは氏家興志氏が参加。以前、細川氏と同じ飲食店で一緒に働いていた縁だが、直近では内装関係の仕事に従事していた。今年2月にはロンドンで内装の仕事をする予定だったが新型コロナの影響で中止になり、声をかけたという。メンバーが出すアイディアやイメージを、同氏が具体的なかたちに落とし込んでいった。「むき出しの感じが好きなんです」(杉山氏)と、壁はコンクリート打ちっぱなしで無骨な印象にして、随所にアート作品を散りばめた。華奢な鉄を脚にしたイスは手作りするなど、独自の世界観を表現していった。
「ネオ大衆酒場」のくくりにハマらない、独自のテーマ「東京料理」を打ち出す
同点では、「東京料理」を標榜している。主にメニューの開発は料理の経験が長い細川氏が担当。「いま流行りの『ネオ大衆酒場』のカテゴリにはハマりたくなかった。自分たちのオリジナリティを表せるテーマとして『東京料理』というキーワードをチョイス。定義はまだまだ模索中ですが、とにかく『僕らがいま食べたいもの』を取り揃えました」と杉山氏。さまざまな店を食べ歩き、そこで見つけたものに細川氏なりのエッセンスを加えたものを日替わり含め常時30品ほどを用意している。一例として「しじみの紹興酒漬け」(450円)、「アボカドとトマトのワサビ醤油」(400円)、「バルサミコ酢豚」(800円)、「もんじゃ焼きグラタン」(700円)、「深川パスタ」(880円)など。
ドリンクは「生サッポロ黒ラベル」(500円)、「幸せのレモンサワー」「玄米茶割り」(各480円)、「ホッピーセット」(白・黒 各500円)など居酒屋定番の品を取り揃え、気取らない酒場として使えるラインナップだ。
立地柄、営業ピークは20時から。若い層が目立つが、老若男女が集う店が目標
営業状況については、毎日おおよそ1回転半ほどを集客。ただし、駅から通り住宅地という場所柄か、満席になるのは20~21時の遅い時間から。主な客層は20代後半から30代で、アパレル関係者などオシャレに敏感な人が目立つという。「今は若い人が中心ですが、少し上の世代の人にも来てほしい。前勤務先の『BORRACHOS』は幅広い客層が集まる店だった。当店も、そのような老若男女が集う場所にしていきたいです」と杉山氏は話す。今後については、10年で5店舗が目標。同店を軌道に乗せ、来年にでももう1店舗をオープンしたい意向だ。「店名の『かすがい』とは落語から命名しました。もともとは木材をつなぎとめる釘のことですが、その比喩として、お客様と深くつながれる店でありたいという思いです」と杉山氏は話す。
店舗データ
店名 | かすがい 三宿 |
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住所 | 東京都世田谷区池尻1-7-9 |
アクセス | 池尻大橋駅、三軒茶屋駅から徒歩15分 |
電話 | 03-5787-5341 |
営業時間 | 17:00~25:00 |
定休日 | 木曜 |
坪数客数 | 13坪21席 |
客単価 | 3400円 |
オープン日 | 2020年8月28日 |
関連リンク | かすがい 三宿(Instagram) |