老舗料亭で修業後独立。京都と東京を中心に複数店舗を展開
mihaku代表の中嶋氏は大学在籍中から、大阪の老舗料亭で板前修行をしたのち独立。2003年に「瓢斗 京都店」を創業した。自身が経営者となるにあたり、和食業界の変革を決意したという。例えば「調理と接客の対立関係によって対応が遅れたり、後進が育たなかったりといった、お客さまにも店舗にも得にならない非効率的な文化が残っている店も中にはあった。私はそれを変えたいと創業しました」と、中嶋氏。翌2004年に法人化し、2009年には東京へ進出「京都 瓢喜 銀座本店」や「香水亭 京橋店」を開業。日本料理業界の発展をミッションステートメントの1つに店舗を展開していった。今回リニューアルを行った「香水亭 六本木店」は2016年の開業だ。
法人需要から個人需要へ。利用シーンの変化を読み、リニューアルへ踏み切る
「香水亭 六本木店」は、もともと接待などの宴会需要が多く、法人の利用がメインの店舗だったが、今回のリニューアルでは個人のプライベート利用に狙いを定めてメニューを一新した。中嶋氏は「京都の店舗では数年前から法人の利用が減少し、個人の利用の増加傾向が見られていました。東京も近いうちに同様の流れが来ると考え、店舗コンセプトを少しずつ変化させていましたが、コロナ禍によって予想より早くお客さまの利用シーンが変化したため、一気にリニューアルすることを決めました」と、語る。
これまでにない大変革が必要だと考えた中嶋氏は、自社にない要素を取り込むため、外部からプロデュースを受けることを思案。敢えて和食という括りにとらわれず他業態で活躍する人物を検討し、以前から親交があった肉業態のスペシャリスト・岩崎健志郎氏にオファーを出した。「内心、受けてもらえるか不安だった」という中嶋氏の懸念をよそに、岩崎氏は快諾。「メニュー開発は健志郎さん自身が行いつつ、マーケティングなど自身が専門外とすることはより知見の深い方を紹介してくれるなど、店舗経営と料理のバランスを考えたプロデュースを行ってくれました」と、中嶋氏は語る。
女性客をターゲットに、美容と健康の両面の向上を図るメニューで訴求
メニュー開発に際して、中嶋氏と岩崎氏は女性客をターゲットに設定し、「免疫力アップと美容の融合」をテーマに据えた。「実は健志郎さんも以前から女性の美容にまつわる料理を考えていたそうなんです。そのため、今後女性のお客さまを取り込みたいという弊社の考えと合致し、方向性が決まりました」と、中嶋氏。mihaku店舗の名物「出汁しゃぶ」をさらにアレンジして主軸に据えた「岩崎健志郎プロデュースコース」が完成した。
コースは先付けの「季節野菜のすり流し~香る出汁と一緒に~」から始まり八寸の「肉・魚・野菜の三段重」、刺し身に「真鯛の昆布締めと季節野菜のポン酢ジュレ仕立て」と「活けホタテと生ウニの磯辺焼き」、主菜となる「3種の味で楽しむしゃぶしゃぶ~納豆菌、フルボ酸に乳酸菌も入れて~」、凌ぎの「炙り近江牛と2種の舎利で作るミルフィーユ」、〆の「生そうめんと蒸し鮑のかき氷仕立て」、デザートに「大人のフルーツポンチ」で終わる全8品。看板のしゃぶしゃぶは近江牛を使用し、出汁には脂質の吸収を抑えるという食物繊維エキスを加えている。そのほか提供する料理には、納豆菌やフルボ酸といった腸内細菌を活性化させる特製のエキスや血糖値を抑える希少糖を使用。新型コロナウイルスの感染拡大が続く現状も鑑みて、美容と健康両面の向上を図るための工夫が盛り込まれている。
更なるブランド力の強化と全国的な展開を視野に
中嶋氏は、今回のリニューアルを契機に「香水亭 六本木店」を同ブランドの旗艦店舗として、近い将来に「香水亭 新橋店」のリニューアルも考えている。「『香水亭』は弊社ブランドの中でも『京都 瓢斗』や『京都 瓢喜』と比べてやや認知度の低い業態でした。しかし、健志郎さんプロデュースのコースという強い武器を手に入れた今、他の業態とは違う色を出していけると考えています」と、語る。また、別ブランドでは「瓢斗」を全国展開させるという計画も視野に入れているという。
店舗データ
店名 | 香水亭 六本木店 |
---|---|
住所 | 東京都港区六本木6-7-7 MERCURY六本木1・2F |
アクセス | 東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅3番線から徒歩2分 |
電話 | 03-5414-1196 |
営業時間 | 18:00~23:00 |
定休日 | 土曜昼・日曜・祝 |
坪数客数 | 68.47坪 74席 |
客単価 | 17000~20000円 |
運営会社 | 株式会社mihaku |
オープン日 | 2020年10月5日 |
関連リンク | 香水亭 六本木店(HP) |