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虎ノ門横丁に「つかんと」が開業!世界最速でミシュランを獲得した「TIRPSE」大橋直誉氏による、とんかつ×オレンジワインの店

6月11日、虎ノ門横丁にとんかつの店「つかんと」が開業した。オーナーは、世界最速でミシュランを獲得したことで話題になった「TIRPSE(ティルプス)」のオーナー、大橋直誉氏。「TIRPSE」で行ったポップアップレストランで提供したとんかつが好評だったことから、そのスピンオフとして開業。さまざまな肉・部位の一口とんかつと、オレンジワインや漬け込みレモンサワーのペアリングを提案する。ガストロノミーの世界から一転、「楽しい時間を過ごせる酒場を作りたかった」という大橋氏。とんかつという新境地で、海外展開も視野に挑戦が始まった。

本来はスタンディングだが、取材時は新型コロナ感染対策のため着席で9席を用意。スタッフとラフにコミュニケーションを取りながら、とんかつやオレンジワインを楽しめる気軽な酒場だ
バリエーション豊かなカツも自慢だが、「広島のファンタスティックエンターテイメントジビエクルー『ドットコミュ』の豚ソーセージカツ」(900円)も人気の品
「サムギョプサル」。サムギョプサルをとんかつでアレンジ。ネギやキムチをのせたとんかつをサンチュで包んで楽しむ
オレンジワインを常時5~7品用意。各銘柄1ケースを提供し終わったら、次は新しい銘柄を入れるという。 「同じものを長く出しても飽きるし、スタッフに様々なワインに触れて知識をつけてほしいので」と大橋氏
写真右から代表の大橋直誉氏、スタッフの清水幸子氏、JAZZさん、同じ虎ノ門横丁内「Ryukyu Chinese Stand TAMA」の坂本允之氏、小倉大輝氏。「虎ノ門横丁ではぜひはしご酒を楽しんでほしい。オススメは『TORANOMON BREWERY』『Ryukyu Chinese Stand TAMA』『酒食堂 虎ノ門蒸留所』と『つかんと』を回遊するコース。これを“黒潮”と名付けて普及したいです!」と大橋氏

(取材=大関 まなみ)


著名なレストランプロデューサーによる、「どこにもないとんかつ酒場」

グルメサイトで高得点の店や行列のできる店、これまで店舗展開をしてこなかった老舗が並ぶ「グルメ横丁」として開業した虎ノ門横丁。コロナ禍にもかかわらず多くのお客が訪れる盛況ぶりだ。その中でも、“とんかつ×オレンジワイン”の提案でひときわ異彩を放っているのが「つかんと」だ。

代表の大橋直誉氏はレストラン業界では知られた人物だ。「レストランひらまつ」で料理人としてキャリアをスタートするものの、サービスに転向。フランス・ボルドーの二つ星レストランでソムリエを務め、その後は東京のミシュラン三ツ星「Quintessense(カンテサンス)」に。同店の移転にともない、その跡地で「TIRPSE」を開業し、世界最速でミシュラン一つ星を獲得するに至った。同店は6年半営業したのちに閉じ、その後はレストランに関するコンサル、プロデュース業など多岐にわたって活動していた。

「TIRPSE」では本営業のほか、さまざまなポップアップレストランを行っていた。そのひとつが「つかんと」だ。とんかつの評判は上々で、手ごたえを感じたことで今回の実店舗の開業に至った。「単純に自分がとんかつが好きだったということに加え、海外展開を見据えて日本食で何かやりたいとも考えていました。 すし、ラーメン、天ぷらと同じように、海外に出ても同じ呼び方をする料理である、とんかつに可能性を感じました」と大橋氏。虎ノ門横丁出店のオファーを受け、「商業施設の出店もやったことがなかったので、この機会に挑戦することで今後のコンサルなどの仕事の幅を広げようとの狙いもありました。僕自身、バルが軒を連ねるサンセバスチャンの雰囲気が大好きで、同じように多くの店舗が並ぶ横丁と重なりました。ここで、どこにもないとんかつ酒場を作ろうと思いました」とも話す。

豚からジビエまでの多彩なカツを、カツ煮、カツカレーなど好みのアレンジが可能!

ディナータイムは、一口とんかつを中心に揃える。「ロース」(800円)、「ヒレ」(1000円)、「タン」(900円)など豚はもちろん、「鹿」(1200円)、「鴨」(1000円)など、バラエティ豊かなカツを用意し、少量の70g単位からオーダー可能。肉はすべてあらかじめ真空調理を施し、オーダー後は1分弱で揚がるオペレーションを組んでいる。「これは『TIRPSE』時代にも活用していたテクニック。調理経験の浅いスタッフでも対応可能です」と大橋氏。さらに、「カツ煮」(好みのカツに+400円)、「スパイスカツカレー」(米なし+400円、米あり+500円)などにもアレンジが可能で、好みのカツとアレンジ方法で組み合わせを選ぶ楽しさも訴求する。豚バラ肉の代わりにとんかつを使った「サムギョプサル」(1300円)や、カツ以外の脇役として「富士酢プレミアムで作ったピクルス&塩麹キャベツ」(550円)、「コールスロー」(480円)なども用意している。

「当店はとんかつ酒場であると同時に、オレンジワインバーでもあります」(大橋氏)と、とんかつとオレンジワインのペアリングを提案。ナチュールのオレンジに絞って、常時グラスで5~7品(800~1000円)。泡や白、赤などは用意していないという。「26軒が並ぶ横丁には、すでに様々な飲み物があるので当店ではオレンジワインのみにしました。とんかつにも合いますよ」と大橋氏。加えて、揚げ物にぴったりな「漬けレモンサワー」(各種900円)も揃える。宮崎の尾鈴山蒸留所の芋・麦・米それぞれの焼酎に、徳島県産和三盆糖と、レモンを3週間ほど漬け込んで炭酸で割っている。香り高いカカオビネガーを加えた「港区ハイボール」(900円)も人気。加えて、日本酒、焼酎も数種類をラインナップする。

ランチは「ロースカツ定食」(1200円)、「カツ丼」(1400円)の2品を用意。特に「カツ丼」が人気で、卵でとじたごはんの上にサクサクのとんかつをのせた一風変わった構成。これ目当てのお客も多く、ランチだけで5~6回転するという。

今後は地方都市、海外への展開を視野に

「『TIRPSE』ではレストランとして素材や調理にこだわった料理を提供していましたが、『つかんと』は違う。もちろんレストランで培った調理ノウハウは生かしていますが、素材は手に入りやすいものを中心に使用するなど、レストランのようなのこだわりはなく、“一つ星レストランが作るとんかつ”と思われるとガッカリされるかもしれません。料理にこだわるというよりは、お客様もスタッフも楽しい時間を過ごせる酒場を作りたいという思いで始めました。横丁ってそういうところじゃないですか」と大橋氏。スタッフや他の店舗と意見を出し合いながら和気あいあいと運営しているのが印象的だ。

今後は「つかんと」を地方都市に出店できればと構想中。「『つかんと』はいわゆるとんかつ屋とも違う、どこにもない業態で同じ土俵には誰もいないと思っています。ですので、都内の近くで出店してもお客様の食い合いになってしまう。地方ならば違う方々に来てもらえるし、スタッフにとっても、店舗間の移動で地方に行き、その土地の食文化に触れることは大きな糧になると考えています」。コロナ禍でまだ見通しは立たないものの、その先には海外展開も視野に入れているという。

店舗データ

店名 つかんと
住所 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 3F

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アクセス 虎ノ門ヒルズ駅から徒歩4分、虎ノ門駅から徒歩5分
電話 080-8810-4486
営業時間 11:00~22:00
定休日 施設休業日に準ずる
坪数客数 7坪スタンディング約20名(取材時は新型コロナ感染対策のため着席で9席)
客単価 ディナー2500円
運営会社 株式会社ポンテム
オープン日 2020年6月11日
関連リンク つかんと(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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