「テンセイ」で12年間培った料理のレパートリーの中から、焼売をキラーコンテンツに2店舗目を出店
天田氏は独立前にも様々な飲食店を経験した。特に、最も長く勤務したのが吉祥寺を中心に沖縄料理店「ニライカナイ」やタイ料理店「旅人食堂」を運営するコパアミューズメント(東京都武蔵野市)で、自身の独立後の店舗コンセプトなどは、この頃に固めていた部分が多い。「店舗の内装なども、自分たちで考案して工事まで行うスタイルでした。その経験があったため、『テンセイ』や『シュウマイルンバ』も自分の好きなレトロスタイルで、店内を演出することができましたね」と語る。
1号店、「テンセイ」が開業したのは2008年。「『あれも、これも』と、色々な料理を試していたので、品書きはどんどん増えていきました」と、天田氏。焼売も、この頃から試作して品書きに並べていた。フードメニューは旬や仕入れによって変わる日替わりで、和洋折衷幅広いジャンルのつまみが30種以上。品揃えの豊富さが強みだった一方で、店の象徴となるキラーコンテンツがないことにはわずかながらも懸念を感じていたが、次店舗を出店する予定もなく、安定した経営を続けられていたため、スタイルを守っていた。しかし、近年店舗を任せられるレベルにスタッフが育ってきていたため、2号店の開業を思案。自身が12年間培ってきたつまみの中から焼売を看板にすることを決め、「シュウマイルンバ」の開業に至った。
イートインやテイクアウト、営業時間など、幅広く展開できる可能性を秘めた焼売をメインに据える
天田氏は、今回焼売を選んだ理由を、「餃子をつまみに酒を飲める店は数多くありますが、焼売をメインに据えた居酒屋って、あまりないなと思ったんです」と、語る。業態としてのオリジナリティの高さに加え、ランチやテイクアウトのニーズにも応えられるところにもメリットも前面に出してブランディングしていく考えだ。
看板商品の焼売は、全て自店舗で手包みし、注文が入ったときに蒸し上げている。現在は「肉焼売」、「海老焼売」、「山椒焼売」(各600円、4個入り)の3種類で、「今後もどんどん増やしていこうと考えています」と、天田氏。また、つまみは「ピータンと香菜のピリ辛白和え」(480円)や「ニラだれ豆板醤冷奴」(500円)、「麻婆山椒豆腐」(700円)、「チャーハン」(800円)と、全体的に町中華を意識したレパートリーだ。さらに、ランチでは「焼売定食」「ラーメン定食」(各1000円)の2種類の定食を提供している。
ドリンクは、ハチミツやレモンを漬けた紹興酒のベースを炭酸で割った「自家製ルンバサワー」(480円)が看板だ。酒が注がれたジョッキに、お客が自身で瓶の炭酸を注ぐスタイルで、紹興酒のおかわり(350円)も可能。また、「自家製レモンサワー」や「梅干サワー」、「シークワーサーサワー」(各450円)などの各種サワーも同様に焼酎のおかわり(300円)ができる。単品の紹興酒は現在「塔王牌 3年」(500円)と「塔王牌 8年」(650円)、「関帝 5年」(700円)3種で今後も増やして行く考えだ。そのほか、「エビス生」(500円)、「黒ラベル中瓶」(550円)、「角ハイボール」(500円)といった定番ドリンクや、本格焼酎(芋・黒糖・麦、各500円)、日本酒(各550円)と、お客の好みに合わせた幅広いラインナップになっている。
時代の流れによる状況の変化にも柔軟に対応できる、新たな業態で長期的経営を図る
今回、物件が決まったのは昨年12月で、天田氏はスタッフと一緒に「テンセイ」の空き時間を利用してファサードや内装を手作りしていた。新型コロナウイルスによって飲食店に逆風が吹く中での開業となったが、奇しくもテイクアウト需要の急増が後押しするかたちになり、開業直後は1日500個ほどの焼売が売れた。今後については、現在の2店舗を継続して長期経営していく考えだが、天田氏の柔軟なアイデアで、また新たな業態が生まれることに期待を禁じ得ない。
店舗データ
店名 | シュウマイルンバ |
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住所 | 東京都杉並区西荻南3-8-19 |
アクセス | JR中央線西荻窪駅南口から徒歩4分 |
電話 | 03-3247-8170 |
営業時間 | 【平日】17:00~24:00【土日】11:30~23:00 |
定休日 | 月曜日 |
坪数客数 | 12坪 30席+立ち飲み6名 |
客単価 | 3000円 |
オープン日 | 2020年6月8日 |
関連リンク | シュウマイルンバ(Instagram) |