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「The SG Club」出身のオーナーが手掛ける大正モダンな喫茶空間。奥渋谷・宇田川町にオールデイカクテルとモーニング、ランチを提供するバー「THE BELLWOOD(ベルウッド)」を開業

渋谷駅から徒歩で約9分、”奥渋谷”と親しまれている宇田川町に6月20日、バー「THE BELLWOOD」がオープンした。大正時代のモダンな特殊喫茶(カフェー)をコンセプトに、夜だけでなくモーニング、ランチ、喫茶としての利用が可能。オールデイで楽しめる独創的なカクテルに、イタリアンダイニング「Konel」のシェフ監修のフードメニューで注目を集めている。オーナーは国内外のバーで研鑽を積み、世界的に有名な「The SG Club」を運営するSG Groupでグループマネージャーを務めた鈴木敦氏。「長年温めてきたアイデアを具現化した」という同氏に、開業の経緯とお店作りのポイントを伺った。

クールなコンクリートと、ウッディな外観。ガラス張りで外から店内が見えるので、「近隣の方が散歩途中で様子を見つつ寄ってくれることも多い」という
大正モダンと現代を融合させた店内。重厚感のある木を基調に、ステンドグラスやタイルを配している。店舗奥は4名が入れる小上がりの個室がある
ウイスキーベースの「オールド・ファッションド」をTHE BELLWOOD風にアレンジした「奥渋ファッションド」(1500円)。ウッドフォードリザーブによもぎ、きな粉を加え、麩菓子をトッピングしている
真っ黒な見た目でインパクト抜群の「イカ墨ナポリタン」。THE BELLWOODのInstagramでは貴腐ブドウを使ったカクテル「ムギとカミツレ」(1500円)とのペアリングを提案している
代表の鈴木敦氏。カクテルは時間帯を問わず注文できるが、昼と夜でバー色を変えられるよう、ボトルが並ぶバックバーは開閉できるようになっている

(取材=田窪 綾)


多彩な海外経験とバーテンディングを武器に、自身の店をオープン

鈴木氏は高校卒業後、都内のバーで働いたのち「海外で挑戦したい」と24歳で渡米。ニューヨークの名店「Angel’s Share」を皮切りに、フレアパフォーマンスやクラフトカクテルが人気のロンドン「64th&Social」で経験を積む。帰国後は日本のオーセンティックなバーテンディングを学ぶため、恵比寿「Bar Noir」に勤務し、オーナーバーテンダー・斎藤猛氏に師事。その後カナダ・トロントの会員制スピークイージーバーや、ローカルフードを提供するカナディアン・ファインダイニングでおよそ2年、カクテルづくりやフードペアリングに注力した。2013年にはトロントのBuffalo Trace Cocktail Competitionで優勝するなど、幅広い知識と経験を習得してきた。

転機となったのはSG Group代表・後閑信吾氏との出会い。2014年にオープンした上海「Speak Low」のヘッドバーテンダーとして誘いを受け中国へ。2017年にはカクテルの世界大会The CHIVAS Mastersに中国代表として出場し世界チャンピオンとなった。その後、同グループのグループマネージャーとして上海「Speak Low」「Sober Company」「The Odd Couple」、東京・渋谷「The SG Club」計4店舗の責任者を務めた。2018年、自身での活動を開始するためBellwood Experiment Inc.を設立。2020年、SG Groupの新店舗として自身初プロデュースとなる「THE BELLWOOD」開業に至った。

現代デザインと融合。レトロモダンな大正時代の特殊喫茶がコンセプト

東京都葛飾区出身の鈴木氏。「いつかお店を持つなら柴又や浅草のような下町で」と店舗のアイデアやコンセプトをいくつも温めていた。「しかしいざ探し始めるとなかなか物件が見つからない。少し範囲を広げて探している時に宇田川町のこの物件に出会ったんです」。おにぎり店だったという物件は1階路面で、広さ、形、どれも理想的だった。

店舗デザインは国内外で受賞歴を持つThe Wholedesignの杉山敦彦氏に依頼。大正時代に「カフェー」と呼ばれた特殊喫茶をコンセプトにしたいと伝えた。「以前、海外にいた時に日本のバーの歴史に興味を持ち、詳しく調べてみたらとても面白かった。海外ゲストをもてなすためのホテルバー主体から、市民のためのバー文化が根づき始めた時代。それをレトロに寄りすぎず、現代ならではの形で表現しようと思いました」と鈴木氏。

時間を問わず楽しめるカクテルに、異国文化を組み合わせた喫茶店料理も充実

フード&ドリンクもコンセプトに忠実だ。時間帯問わず注文できるカクテルは、大正時代に流行した“モダンガール”と、カクテルの定番マルガリータを掛け合わせた「モガリータ」(1400円)や、“銀ブラ”をかけた「宇田ブラ」(1400円)など一風変わった名前が並ぶ。現在は12種類だが、今後順次増やしていく予定。その他、クラフトビールやナチュールワインも揃える。

フード監修は「The SG Club」勤務時から親交のあった「Konel」菊池隆樹シェフに依頼。「ニューヨークやトロント、ロンドンで親しんだ地元フードをかけ合わせた、他にない料理を提供したい」という鈴木氏のイメージを具現化したもの。ピザトーストやナポリタンなど昔ながらの喫茶店で食べられるようなメニューを軸に「トムヤムトースト」(900円)や「イカ墨ナポリタン」(1100円)などおよそ20種を考案。意外性のある内容が特徴だ。

バーという業態ではあるが、オープンは朝9時から。通し営業でモーニングやランチタイムを設けており、オリジナルブレンドのコーヒーも用意。いつ行っても過ごしやすい空間を提供している。

THE BELLWOODでの体験をきっかけに、バー文化に親しむ人を増やしたい

今後も長く愛されるお店を作りたいと語る鈴木氏。3形態の営業スタイルも、根底にあるのは「バーでの楽しみ方や可能性を増やしたい」との思いだ。『THE BELLWOOD』への来店をきっかけに、バーを楽しんでもらえる方がひとりでも多く増えたらと思っています」。

現在は新しい試み”ブラインドペアリング”を準備中。「ゲストの方にはアイマスクを着用していただき、カクテル、フードそれと音をペアリングで楽しんでいただきます。最近は撮影してSNSに投稿するなど視覚での楽しみ方が主流の1つだと思いますが、あえて真逆に視覚を遮断し、その他の感覚を研ぎ澄ませる。そうしたことでまたひと味違った体験をお届けできるのではとワクワクしています」。

将来的には当初の希望だった柴又や浅草にも店を出したいという鈴木氏。「長年温めてきたコンセプトやアイデアはまだまだあります。時間をかけて叶えていきたいですね」と話す。

店舗データ

店名 THE BELLWOOD(ザ ベルウッド)
住所 東京都渋谷区宇田川町41-31

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アクセス JR・私鉄各線渋谷駅から徒歩9分
電話 03-6452-5077
営業時間 【日〜木】9:00~24:00(フードLO22:00、ドリンクLO23:30) 【金・土】9:00~翌2:00(フードLO24:00、ドリンクLO翌1:30)
定休日 月曜
坪数客数 15坪・18席(内カウンター6席、個室4席)
客単価 3000円
運営会社 株式会社ベルウッドエクスペリメント
オープン日 2020年6月20日
関連リンク THE BELLWOOD(Instagram)
関連リンク THE BELLWOOD(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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