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恵比寿「おじんじょ」開業から6年、ついに2店舗目「高丸電氣」が渋谷に開業。”厨房”がテーマの空間に、オーナー高丸氏のアイディアを詰め込んだ大人の秘密基地

7月2日、渋谷並木橋に「高丸電氣」がグランドオープンした。レモンサワーブームの先駆けとして知られる繁盛居酒屋、恵比寿「晩酌屋おじんじょ」を手掛ける高丸聖次氏の2店舗目だ。「厨房」をテーマにした空間に、「汁餃子」「焼麺」「焼玉子」の三大名物、10種類をそろえる小瓶ビールやバリエーション豊富なレモンサワー、蔵元が同店限定で出荷する芋焼酎「六代目百合」の前割り、オリジナルのレモンピクルスなど、高丸氏が長年にわたり温めてきたアイディアをこれでもかと詰め込んだ”大人の秘密基地“だ。

明治通りから1本入った場所にあるビル2階にて営業。ピンクに光る「氣」のネオンが目印。それ以外の看板は一切置いていない
厨房と客席の隔たりをなくした臨場感あふれる空間。長いカウンター席が並び、随所には高丸氏のセンスで選んだ雑貨がちりばめられている。お客からは「台湾の夜市のよう」「テストキッチンみたい」と様々な感想があがっているという
3大名物のひとつ「汁餃子」。出汁の旨味が染み渡るスープだけでもお酒が飲めてしまいそうな味わい。ギョウザを包む際には、自動ギョウザマシンを使用。慣れれば1時間に1500個ほど包める優れものだという
鉄板で焼く「焼き玉子」は、「黒酢オイスターソース」か、写真の「マサラトマトソース」選べ、「キャベツ」「きくらげ」(各200円)、「牡蠣」「牛肉」(各250円)などのトッピングも豊富に用意する
甘酸っぱいピクルス液に漬けたレモンピクルスを添えたサワー「レモンピクル酎」。レモンピクルスは長期保存が効くため、国産レモンの出荷がない夏にも活躍する
代表の高丸聖次氏。「高丸電氣」とは、高丸氏の実家で父が営む電気店からもらった名前だ

(取材=大関 まなみ)


フーズサプライサービスで居酒屋を学び独立。「おじんじょ」はレモンサワーブームの先駆に

「晩酌屋おじんじょ」といえば恵比寿の居酒屋。開業から6年目にして2店舗目「高丸電氣」が開業した。繁盛店の新店舗とあって、オープンから数週間にもかかわらず常連や同業者を中心に連日多くのお客でにぎわっている。

運営会社5way kitchen(東京都渋谷区)の代表取締役、高丸聖次氏は広島県出身。高校卒業後に上京し、飲食の仕事をしていたという。「最初に工務店に就職するも3日で退職してしまいました。その後は、飲食業を中心にアルバイトをしていましたが、当時は若くてまだ遊びたい盛り。やりたいことも定まらず職を転々としていました」と振り返る。転機となったのは、楽コーポレーションが運営する「汁べゑ」の求人広告を目にしたことだ。時給の高さにひかれて応募し、アルバイトとして入店。その後、楽コーポレーションからフーズサプライサービスへ移る。そこでは社員となり、計10年間勤務。高丸氏が居酒屋の楽しさを知ったのはこの時だったという。最後の2年は取締役を務め、2014年7月、「晩酌屋おじんじょ」を開業し独立を果たしたという流れだ。

3年かけて、おじんじょ第一章・完!次なるステップとして2店舗目に着手

「独立当初から3店舗はやりたいと思っていました。ですが、展開は急がずに私はじっくり時間をかけてアイディアを練りたいタイプ。また、『晩酌屋おじんじょ』の1店舗でどこまでいけるか“限界”が見たかったんです」と高丸氏。オープンから3年が経った頃、その“限界”が訪れたという。「『晩酌屋おじんじょ』はおかげ様で売上は好調に推移。3年目に入り、この店の最高潮まで店が成長したな、と感じたんです。多くのお客様に恵まれ、ノウハウもたまり、これ以上の成長を望むなら次の店舗を作るしか方法がないという状態。私の中でいわば”おじんじょ第一章“が幕を閉じた。いよいよ2店舗目に本腰を入れ始めました」。

しかし、理想の物件にはなかなか巡り合えなかったという。3年が経った頃、渋谷並木橋のビル2階の同物件を見つけた。以前はカフェだった場所で、通りに面した側は全面ガラス張りになっている。デザイナーにスタジオムーンの乙部隆行氏を起用し、テーマは「まるで厨房で飲んでいるかのような気分が味わえる店」。店内は長いカウンター兼作業台が2列、並行に並べ、厨房と客席が一体化。客のすぐそばで料理が行われる臨場感が味わえる唯一無二のデザインだ。

「汁餃子」「焼麺」「焼玉子」の三大名物に、“酒のきっかけ”になるドリンクラインナップ

フードは、水ギョウザを出汁スープとともに楽しむ「汁餃子」(780円)、蒸した中華麺を自家製ソースに絡めてパリパリに焼く「焼麺」(600円)、半熟に焼いた玉子に2種のソースが選べる「焼玉子」(600円)を名物に据えた。いずれも親しみやすさのある品で、高度な調理技術が不要なことから採用。「卵焼き」「焼きそば」ではなく、あえて「焼玉子」「焼麺」というネーミングもポイントだ。「『晩酌屋おじんじょ』も、煮込み、神明鶏の肉汁焼き、レモンサワーの3つが名物。名物を3つ作ることがポリシーです」と高丸氏。お通しは日替わりでおばんざいを4~5品用意し、お客が好みのものを選べるスタイルにしているも、「晩酌屋おじんじょ」を踏襲している。加えて、その時々のつまみを含めフードは全40品ほどのラインナップだ。

「酒離れなどが叫ばれていますが、この店が“お酒の楽しさを知るきっかけ”になってほしい」(高丸氏)と、ドリンクは小難しさを排除し、定番の馴染みある酒を中心に用意している。店内のショーケースには、大手ビールメーカーの小瓶ビールが10品(500円)が並び、お客がセルフで取って楽しむスタイルだ。「大手メーカーのビールならチャレンジしやすいし、メーカー各社のものを取り揃えているので、好みの味を見つけてほしい。これは、同じく大手4社のビールをすべて揃えている浜松町の『雑魚場まるこ』からインスピレーションを受けました」。ちなみにスタッフに取ってもらうとチップとして+150円になる。芋焼酎の「六代目 百合」(ボトル1000円)もイチオシの品。蔵元で水とブレンドして瓶詰した「割もと」という手法のものを仕入れ、そのままや蒸し燗、炭酸を注入する飲み方が選べる。「いつもの生レモン酎」「瀬戸田のレモン塩で酎」(各500円)など、「晩酌屋おじんじょ」が人気となるきっかけとなった豊富なバリエーションのレモンサワー、お茶割り、ハイボール、ワインも用意している。

新型コロナで休業に。その間はテイクアウトやギョウザの冷凍販売、オリジナルピクルスの開発も

実は同店は4月1日に一度オープンしたものの、新型コロナによる緊急事態宣言を受けて5日間だけ営業して一旦休業に。その間、再オープンに向けて準備を進めていた。「汁餃子」のギョウザを冷凍での販売や、「晩酌屋おじんじょ」ではテイクアウトも勢力的に行った。また、新型コロナで売り上げが減ってしまった知人のピクルスメーカーとともに、オリジナルでレモンを使ったピクルスを共同開発し、同店ではそれをサワーにトッピングした「レモンピクル酎」(500円)を提供。ピクルスは他店での卸売などにも努めている最中だ。

「今後はスタッフのやりたいことを実現できる会社にしていきたい」と高丸氏。「自分はよい時代に飲食をやらせてもらったと思っているが、これからも会社は20、30年と続けていく。この時代に、これから主役になるスタッフに対して、どのような価値を提供できるのか。新型コロナで改めて店や会社の仕組みを整えていかなくてはならないと感じました」とも話す。

店舗データ

店名 高丸電氣
住所 東京都渋谷区東1-25-5 フィルパーク渋谷東 2F

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アクセス 渋谷駅から徒歩8分、恵比寿駅から徒歩10分
電話 090-3502-9747
営業時間 ランチ(昼飲みも可):11:45〜16:00(LO15:30)、ディナー:16:00〜23:30(LO23:00)
定休日 不定休
坪数客数 18坪32席
客単価 3800円
運営会社 株式会社5way kitchen
オープン日 2020年7月2日
関連リンク 晩酌屋 おじんじょ(記事)
関連リンク 高丸電氣(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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