バーテンダー、編集者などを経て、フリーランスに。飲食のオールラウンダーとして活躍
オーナーの長嶋氏は、同店の運営のほか、フリーランスとして、飲食店のプロデューサー、バーテンダー、編集者など、複数の顔を持つ人物だ。同氏は、大学在学中のアルバイトをきっかけにホテルに就職し、バーテンダーとして御茶ノ水の「山の上ホテル」や「フォーシーズンズホテル椿山荘東京」(現・ホテル椿山荘)で働いた。その後は自身の視野を広げる目的で転職し、雑誌「HOTERES(週刊ホテルレストラン)」の編集部や、飲料や食品をはじめとしたマーケティング・コンサルティング会社に勤めた。その後、広尾にあるバー「THE PLACE」のバーテンダー兼PRディレクターや、静岡県にある美術館とレストランの複合施設「クレマチスの丘」のレストラン事業部長を経て、2014年よりフリーランスとして活動。これまで知見を活かしてマルチにビジネスを展開している。
イタリア取材をきっかけにプロセッコバー開業へ
プロセッコバー開業のアイデアは、編集の仕事の際、取材でイタリアのプロセッコの産地を訪問した際に生まれたという。「プロセッコはイタリア北東部のヴェネト州で作られる発泡性の白ワインのことで、今や、世界で最も売れているスパークリングワインと言われています。シャンパンよりも低価格な銘柄が多く、お客様が気軽に飲めて、売る側にとっても痛手になるロスが少ない。取材で会った現地の生産者と意気投合し、『東京にお店が作れたらいいね』と話していたんです。とても協力的で、私が作ったプロセッコのカクテルを面白がってくれたのもあり、帰国後、本格的に検討をはじめました」と長嶋氏。その後1年間ほど、「本当にやりたいのか」自問自答を繰り返し、ついに決心。「日本初のプロセッコバー」としての開業へ踏み出した。
イタリアのバールをイメージし、気軽に入れる店作りを徹底
「マルティノッティ」が店を構えるのは、馬喰横山駅から徒歩2分の複合ビル「birth(バース)」の1階。住宅地とオフィスのバランスが良く、平日と週末どちらも集客が見込めるエリアで、路面に立地しているという、同氏の理想の条件をクリアしていた。
店は8坪14席で全面ガラス張り。通行人やビルの利用客も店内が伺えるつくりだ。「プロセッコは明るく楽しく飲むイメージ」(長嶋氏)から、内装は白を基調に仕上げた。「カフェとバーの両方の用途で日常遣いされているイタリアのバールと同じように、昼にお酒を飲んでいる人がいても、夜にコーヒーを飲んでいる人がいてもおかしくないような店にしたかったんです」と長嶋氏。
同店は初心者でも足の踏み入れやすい店作りを徹底的に意識し、内装だけでなくメニュー構成でもチャージ料金も設定していないなど、気軽さを重視している。同氏は「以前から、日本でこのままお酒の楽しさを知らない人がどんどん増えると、酒業界が必要とされなくなるのではないかという危機感がありました。そこで20代前半の、これからお酒を飲み始める層にも興味を持ってもらえるよう、なるべく入店のハードルが低い店を目指しました。初心者がハマる面白さがあれば、自然とお酒好きの年齢層の高いお客様もついてくると考えています」と語る。
プロセッコの飲み比べセット、飲み放題など、知識がなくても楽しめる
メインとなるプロセッコは50種類以上を揃え、交流のある生産者や長嶋氏が美味しいと感じた銘柄をセレクトしている。グラスは常時4種類を日替わりで一杯600円から、ボトルは2500円から提供。4種類のプロセッコが50mlずつ味わえる「プロセッコ 4種飲み比べセット」(1600円)や、お得な「30分1本勝負!プロセッコDOCフリーフロー」(1500円)も用意する。加えて、ラズベリーとエスプレッソを使用した「Spuma Crema Bruna」(800円)、緑茶を使用した「FUJIYAMA DOC」(1200円)など、プロセッコを使用したオリジナルのカクテルを10種類以上揃え、その他にも、ウイスキー、焼酎、日本酒、カクテルなど、スタンダードなバーのメニューもラインナップする。
カフェメニューは、ボンタイン珈琲本社(愛知県名古屋市)から仕入れるオリジナルブレンドのコーヒー(500円~)や、「エスプレッソ」(シングル300円、ダブル450円)などを提供している。テイクアウト用のコーヒーは200円と格安の値段設定。これを広告がわりに周辺で働くビジネスマンや近隣住民との接点を作る狙いで、ビルの2階部分には、電源とwifiを完備したフリースペースもあるため、ビルの利用客も掴みたい狙いだ。
フードメニューは「イタリア産生ハム、サラミ、ボローニャハム盛り合わせ」(1500円)、「ごろごろ野菜のカポナータ」(600円)などの前菜が8種類、「野菜とシーフードのペペロンチーノ」(1000円)、「鶏肉と庭園野菜のジェノベーゼ」(1000円)などのパスタが4種類、「鶏肉のトマト煮込み」(1000円)、「ワイン屋さんのキーマカレー フォカッチャ添え」(1200円)など、イタリアンを基調とした料理が並ぶ。今後はランチタイムのパスタメニューを増やしていく予定だ。
近隣住民に長く愛される憩いの場を目指す
現状、9割以上がプロセッコをよく知らないお客が来店しているという。予想以上に昼飲み需要があり、特に近隣住民の利用する土日の売上が好調だ。「有名店でない限り個人の飲食店はローカルビジネスの延長という考え方で、地元のお客様に選ばれるお店でないと続かないと思っています。少しずつ認知していただいて、気軽に立ち寄れる憩いの場になれたら」と長嶋氏。
今後については「店舗展開などは未定ですが、ビジネスホテルや複合ビルの1階で営業できる再現性のある業態なので、やりたいと言ってくれる人がいれば嬉しいですね。今後のビジネス展開がプロセッコバーの開業を応援してくれた協会や生産者への恩返しになります」と話した。
店舗データ
店名 | マルティノッティ プロセッコ バー&カフェ |
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住所 | 東京都中央区日本橋横山町4-9 birth 1階 |
アクセス | 馬喰横山駅徒歩1分 |
電話 | 050-5800-2802 |
営業時間 | 12:00~23:00 ※現在、新型コロナの影響で変則営業の場合あり |
定休日 | 8月まで無休、以降定休日未定 |
坪数客数 | 8坪14席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | マルティノッティ株式会社 |
オープン日 | 2020年7月1日※現在はプレオープン中 |
関連リンク | マルティノッティ プロセッコ バー&カフェ(HP) |