バーベキュー会社による不動産活用&閑散期対策の新事業
「トーキョーギョーザクラブ」は、神田駅から徒歩7分の場所にある雑居ビル1階と2階で営業。駅前の喧騒からは少し離れた静かなオフィス街で、パステルカラーの壁やネオンが異彩を放つ。オープンから間もないながらも周辺のワーカーを中心にじわじわと人気を得ている。
運営会社はwackwack creative(東京都千代田区、代表取締役:井川裕介氏)。代表の井川氏は、バーベキュー事業を展開するREALBBQ(東京都千代田区)の代表でもある。井川氏がREALBBQを創業したのは6年前。中華調味料の輸入商社勤務を経て独立した。「幼少の頃にバーベキューの盛んなオーストラリアに住んでいました。日本ではバーベキューをする際、オーストラリアと比べてバーベキューの機材や食材、場所の選択肢が少なく不便が多かった。それを解消するサービスを提供できれば日本のバーベキューが面白くなると考えました」と井川氏。現在は全国各地にバーベキュー場を運営する他、バーベキュー用の食材卸などバーベキューに関する幅広い事業を手掛けている。
「トーキョーギョーザクラブ」が入るビルは4階建て。一棟まるごとREALBBQとwackwack creativeで借りているものだ。上階はオフィスとし、屋上は今後バーベキュースペースとして稼働させていく予定。「以前は別の場所に弊社のオフィスを構えていたのですが、オフィス自体は価値を生まないものなので、それをどうにかしたかった。ビル一棟で借りられる物件を探し、オフィスの他に飲食店とバーベキュー場を作ることでビル自体でも収益を生み出す構造に。また、バーベキューという商材の性質上、冬の寒い時期はどうしても動きが鈍る。そういった閑散期に、余ったマンパワーを活用しようという狙いもあります」と井川氏。
ランチ、ディナー、テイクアウトの三方面に強い商材としてのギョウザ
ギョウザ業態にしたのは、「オペレーションの効率化から単一アイテム業態がよく、かつ、ランチ需要と夜のアルコール需要にもハマり、テイクアウトも狙える幅広いニーズがあるものを」(井川氏)と模索した結果だ。名物は「特製 肉汁焼き餃子」(3個380円、6個600円)。国産の豚肉と野菜をたっぷりと包み、溢れ出る肉汁が自慢だ。ワーカーがランチに利用することも考慮し、午後の仕事に支障をきたさないようニンニクは不使用とし、提携のセントラルキッチンで製造している。その他、「水餃子」(4個380円)、「翡翠えび餃子」(3個380円)のギョウザのバリエーションや、点心として「肉汁小籠包」(3個380円、6個600円)、「貝柱入り焼売」(3個380円)、豚の角煮を包んだ「東坡肉包子/トンポーロー」(480円)も用意する。サイドメニューに「よだれ鶏」(480円)、「もやしのジンジャーナムル」(280円)、米・麺として「上海焼きそば」(480円)、「鶏肉飯/ジーロー飯」(480円)など、約20品のラインナップだ。
ドリンクは、紹興酒をソーダで割った「上海ハイボール」(380円)、黒胡椒を利かせた「スパイシーハイボール」(380円)、花椒を効かせた「四川トマトサワー」(380円)から、アイスクリームを浮かべた「クリームソーダハイ」(480円)などユニークなオリジナルドリンクが目白押しだ。
昼には焼き餃子と焼き小籠包を盛り合わせた皿にごはんとスープ、小鉢が付くランチ(780円)を提供。ギョウザのテイクアウト(「特製 肉汁焼き餃子」調理済みが6個600円、冷凍が6個540円など)も行っている。テイクアウトではワーカーが帰宅前に晩酌用に購入したり、会社の納会用などに利用されている。会計はすべてキャッシュレスだ。
内装はDIY!2階はセルフ式貸切スペースに
内装は全てDIYで作り上げた。前店舗はダークトーンを基調としたシックなバーだったが、形はほぼそのままに、壁をパステルピンクや淡い緑色に塗り換え、ダメージ加工を施したトタンを設置し雰囲気を出した。看板やグラスにはイラストレーターの三上数馬氏のイラストで飾り、ポップな印象に仕上げている。
1階はカウンター席が中心で、2階は貸し切りパーティスペースとしている。2階は飲み放題付きコース(4200円)での利用を基本とし、一角にセルフドリンクコーナーを用意。お客自身がドリンクを作って楽しめ、スタッフの手間も減らせる利点も兼ね備える。
販促ゼロで集客はまずまず、今後は飲食事業のさらなる展開も視野に
オープンから約1カ月、集客状況はまずまずとのこと。「販促などはまったくしていませんが、近隣の方々を中心に来店いただいています。こういった店舗デザインですから、若い女性が中心になるかと思いきや、40代50代の男性も意外に多く、幅広い層に楽しんでもらい嬉しく思います。マーケティングは得意分野なので、今後はいろいろな仕掛けを試していきたい」と井川氏は話す。
これを足掛かりに、閑散期となる冬季を中心に同業態や他の業態でも飲食店展開をしていきたい考えだ。「場末のスナックの居抜きのような、誰も目を付けないような物件を飲食店として活用できたら。社名の『wack』とは英語のスラングで『ダサい、格好悪い』という意味。一見すると価値の低いように思える物件も、魅力のあるものに変えていきたいという思いで『wackwack creative』なんです」と井川氏は話す。
店舗データ
店名 | トーキョーギョーザクラブ |
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住所 | 東京都千代田区神田司町2-17-10 REALBBQ bldg |
アクセス | 神田駅北口から徒歩7分、小川町駅・淡路町駅から徒歩3分 |
電話 | 080-6746-5882 |
営業時間 | 11:30~14:00(LO13:30)、18:00~23:00 |
定休日 | 土・日・祝 |
坪数客数 | 1階:10坪18席、2階:10坪18席 |
客単価 | 2800円 |
運営会社 | wackwack creative株式会社 |
オープン日 | 2019年12月4日 |
関連リンク | トーキョーギョーザクラブ(instagram) |
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