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学芸大学にレシピのないフレキシブルネオ中華「farm studio #203」がオープン。新進気鋭のモダン中華のオーナーシェフ濵田利彦氏が想定外のもてなしで迎える

学芸大学で話題の飲食店が揃う学大十字ビルの2階にネオ中華業態「farm studio #203(ファームスタジオ 203)」が5月23日にオープンした。中華の料理人として、ソムリエとして、サービスマンとして研鑽を重ねてきた濵田利彦氏が満を持して立ち上げた店だ。コンセプトは二つ。一つ目がカフェに行くような気軽さで本格中華レストランのクオリティを楽しめる店。二つ目は不足がちな野菜をしっかりと摂れる料理の提供という。しかしこの店の最大の魅力は濵田氏が創りだすレシピのないクリエティブなモダン中華。個々の客に向けてさじ加減一つでスパイスや調味料を使いこなす一皿のもてなしだ。

窓際に置かれた緑の鉢が優しいバルのようなファサード。ネオ中華らしさを際立てる
シンプルな空間だからこそ際立つオープンキッチンのシズル感だ。ウェルカムの意から椅子はいつも外に向く
お皿一面に広がる彩りも鮮やかな瑞々しい野菜サラダ「detox salada」
人気の高い「黒毛和牛四川麻婆豆腐」。辛みの奥にあるスパイスの旨味が後を引く
おすすめのビオデナミワインと甕の紹興酒
穏やかな雰囲気の濵田利彦氏。マルチプレーヤのオーナーシェフだ

(取材=にしやま とみ子)


レシピにとらわれないフレキシブルでクリエティブな濵田流料理の原点

濵田氏はどのような中華料理のお店と問われれば「麻婆豆腐とデトックスサラダのお店です」という。しかし実際は多くの料理を揃えるがメニュー表を見るとその言葉の意味が読み取れる。メニュートップのRecommendationとした項目には「黒毛和牛の四川麻婆豆腐」(1300円)に「detox saladaデトックスサラダ 香りのチョイス 葱or山椒」(1000円)と自信の料理が並ぶ。次のsnackの項目には「えび春巻」(1個200円)などの点心。しかしどちらも詳細明記はないが中華料理としてのイメージは出来る。しかしさらにメニューを見るとseaとある項目には「魚 炒め」(1200円)としか記載がない。固有の料理名もなく、しかも味付けは相談と書かれているだけだ。従来の中華料理のイメージからはかけ離れた想定外のメニュー構成だ。しかしその真意は深い。個々の客のオーダーや嗜好はもとより選んだ料理、飲んでいるお酒によりスパイスや調味料をさじ加減で調整するためなのだ。この独自のスタイルは濵田氏が歩んできた飲食人としての経験にある。

飲食業界への道を志し高校の食物科へ進学した濵田氏。卒業後は中華料理の老舗と知られる「銀座アスター」で料理人として修行を開始。それから10年、次に選んだのがオーベルジュ形態のリゾートホテル。起業を念頭に接客サービスや経営管理の習得とソムリエ資格の取得にあった。マネージャーから副支配人、支配人としてリゾートホテルや旅館でサービスのプロとして研鑽を重ねた10年。そこで学び身につけたのがリラックスを楽しむ客に寄り添う細やかな対応とお皿の上の料理を楽しませるフレンチの術。レシピにとらわれないフレキシブルでクリエティブな濵田流料理の原点だ。それはまた料理人としての出来ることへの挑戦であり、食をもっと豊に楽しんで欲しいという願いがある。

食べるマルチサプリメントをイメージした「detox salada」

野菜へのこだわりをそのまま店名した「farm studio #203」。店の代表料理の一つである食べるマルチサプリメントをイメージした「detox salada」は30種類ほどの野菜とローストしたナッツや大麦などの体を温める食材やミネラルなどがたっぷりのヘルシー料理だ。四川の満天椒唐辛子をベースに産地の異なる唐辛子を合わせた自家製ラー油で仕上げる「黒毛和牛麻婆豆腐」は山椒を際立てスパイスの旨味が引き立つ一品。三角の形の「エビ春巻き」と「餃子 イベリコ豚」(1個 150円)は一人でもグループでも1個からオーダー可能。ドリンクはビオデナミワイン(グラス白4種、赤3種800円〜1400円/ボトル4000円〜)と「紹興酒 甕」(6年 120ml700円)がメイン。中国茶(1000円〜)も5種類を用意している。

わずか8席の店はライブ感に溢れるシェフズキッチンだ

入荷した時だけ味わえる「ツルを呼ぶお米」。濵田氏の故郷である徳島県小松島市の農家達が農薬、化学肥料を削減し育てるお米だ。ほかにもビーツや紫のジャガイモのシャドークイーンなどの野菜が故郷から時々に届くという。徳島県の優れた美味しい農作物を積極的に扱い情報発信していくことが将来も継続する濵田氏のテーマなのだ。最近定番化した日本酒の「旭若松 雄町」はその一つとなる。食文化に真摯な思い込めた濵田氏のクリエティブな一皿を楽しませるわずか8席の店はライブ感に溢れるシェフズキッチンだ。現在は一人で仕切るがサービススタッフを一人加え、濵田氏は料理へと集中するという。そしてさらに料理人を育て2号店、3号店の出店を視野に入れる。

店舗データ

店名 farm studio #203(ファームスタジオ 203)
住所 東京都目黒区鷹番2-20-4学大十字ビル203

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アクセス 学芸大学駅から徒歩2分
電話 03-6712-2368
営業時間 18:00〜26:00
定休日 不定休
坪数客数 6.7坪8席
客単価 4000〜4500円
オープン日 2019年5月23日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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