赤坂みすじ通り会。かつては花柳界として栄えた赤坂らしく、三味線の弦から「みすじ」の名前がついた。現在は和食、中華、洋食などさまざまな飲食店が軒を連ねる賑やかな街だ。雑居ビル2階のクラブを改装し、1月7日、若き女性店主の店「赤坂おでん あさり」が誕生。ちょうちんや看板を出していないのに、早くも常連客がつき、好調なスタートを切った。
名前から「あさり」×作り置き惣菜=あさり出汁のおでん
店主の諸井麻利子氏は、赤坂の飲食店に勤務し独立前は店長まで務めたが、かねてより独立志向があった。「洋食店やバーで経験を積みましたが、自分でやるなら居酒屋だなと思っていました」という意向。「看板メニューがあればお客さんの目に止まりやすいと思い、自分の名前の『麻利子』から2文字取って麻利(マリ)。これをアサリと読ませることにしました。料理も楽しいですが、お客さんとしゃべるほうが好きなので、おでんだったら作り置きすればすぐに出せる! と思いつき、あさり出汁のおでんに決めました」
雑居ビル2階というマニアックな立地を料理の魅力でカバー
同店は、赤坂みすじ通りの雑居ビルに入店。前テナントはクラブというクセのある物件で、さらに目立ちにくい2階だが、なんのためらいもなく契約した。「1年間物件探しをしていて、家賃と立地が決め手となりました。2階でもエレベーターがあったので、酔っ払ったお客さんも転ばずに帰れるなと思いました。階段しかないってところは却下です」と、諸井氏は笑う。もともとは、ソファー席と4席ほどのカウンターしかなかったので、造作はすっかり取り払ってから造り直した。
物件探しの1年間も、諸井氏にとってよい経験となった。「赤坂は、飲食店同士がすごく仲良いんですよ。物件を探している間もこの近くでアルバイトをさせてもらい、その間に日本酒や焼酎の勉強をする機会が得られました。九州の酒蔵に何度も連れてってもらい、仲良くなった蔵元さんなどもお店に来てくれるようになりました」とのこと。そうした縁で、お酒は九州の焼酎に力を入れており約40種(すべて550円)を常備。日本酒も1合880円と均一料金にした。個人店でありながら、飲み放題コースを5,400円(2.5時間)を用意したのも気が利いている。
料理は前述の通り、あさり出汁のおでんが主役だ。「玉子」、「こんにゃく」などの定番ものは(200円)。「牛タン」(300円)や練り物で作った「たい焼き」(400円)などの創作おでんもある。そのほか、つまみや締めの食事として、「今日のおばんざい」は、ある日の一例として「椎茸のバター炒め」(680円)や、あさりのだし汁を使ったおにぎり(250円)なども提供する。おまかせをひと通り盛り込んだ「あさりコース」(3,240円~)の料理コースも評判だ。
多店舗展開を目指しながら最終的にはスナック開業が夢
仕事が好きでやりがいを感じている諸井氏だが、なかなかの多忙ぶり。14時に来て仕込みをはじめ、18時にオープン。それから翌3時の閉店まで働きづめだが、お客がいれば4時過ぎまで開け、朝6時ぐらいまでいることもある。「仕込みは営業時間にできるものはそうしたい。営業時間と労働時間が同じっていうのがベストだと思うんです。長く働くのが美学とは思いません」とのこと。
やはり、次の店舗展開も思案しており、みんなが働きやすい環境を整える時期だと考えているのだという。「最終的には4店舗ぐらいまではやりたくて、最後の4店舗目はスナック『麻利子の部屋』をやりたいんです。残りの3店舗は従業員達が最終的に買い取ってもらうとして、私の給料は自分が食べていける分があればいいです。そうすれば、今の労力が報われるし、日々の給料プラス不労収入も入ってきます」とのこと。できる範囲で一生現役! と掲げ、楽しそうに働く諸井氏の今後に注目だ。
店舗データ
店名 | 赤坂おでん あさり |
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住所 | 東京都港区赤坂3-15-3 赤坂忍路ビル2F |
アクセス | 東京メトロ赤坂駅から徒歩2分 |
電話 | 03-5561-0717 |
営業時間 | 18時~翌3時 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 14.5坪 26席 |
客単価 | 6000円 |
オープン日 | 2019年1月7日 |