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高円寺で本場スペインのリアルバル文化を再現する「スペインバル トリツカレ男」。ワインバル業態をリードした三鷹バルの店主一瀬智久氏の新店だ

楽しさが溢れるような開放感のあるファサード。道を行き交う誰もが足を止めしまうオーラーを放っている
シンプルでいてエッジの効いた居心地のいい空間。カウンターバルの真髄を実感する
左:自家製オリーブ入りのパン。右:鶏肉の煮込み
美味しさは当然だが個性的なエチケットもまたバル気分を盛り上げる大切なツールだ
ひょうひょうとした雰囲気の穏やかな店主、一瀬智久氏

(取材=にしやま とみ子)


高円寺北口からJR高架下沿いに伸びる中通り商店街に昨年12月22日オープンして以来、本場スパイン以上と話題の「スペインバル トリツカレ男(おとこ)」(店主:一瀬智久氏)。かつて訪れたスペインのバル文化のスタイルとマインドをそのままを形にしているリアルなスタンディングバルだ。店名は一瀬氏がファンである、いしいじん氏の短編小説「トリツカレ男」に由来する。一瀬氏は「三鷹バル」を手がけ、今日のワインバル業態、バル文化をリードした第一人者でもある。

中央線を代表する酒場街である高円寺は中野と同様にサブカルチャーの街としても知られる。そんな街の特性を反映するかのように個性的な酒場も多く、またそれが魅力となり人を惹き付けている。阿佐ヶ谷に向かい高架下に伸びる昭和の景色をそのまま残す高円寺ストリートに沿うよう広がるのが中通り商店街だ。小さな古典酒場からサブカル的なライブハウスまでがひしめく商店街の角地で際立ちを見せるのが「スペインバル トリツカレ男」だ。モルタル仕上げの壁にガラスをはめ込んだ扉や窓の木枠をアクセントにした素材の存在を感じる温かみをあるファサード。上に開く、跳ね上げ式の窓の下は外からも楽しめるカウンターとなる機能をおしゃれにしたデザイン。木仕様のカウンターと床にモノトーンの壁に天井の青が際立つ環境はヨーロッパ的な情景をイメージさせるこの空間は一瀬氏自身のデザインでありそのほとんどが手作りという。スペイン料理専門店をはじめフレンチなどで修行していた料理人でありながら内装造りおいてもまたプロとして活躍している。

10年以上も前に京王井の頭線の住宅地の三鷹台に「三鷹バル」を開業した一瀬氏。住宅地にもある本場のスペインのバル文化を再現した同店は瞬く間に魅力的な飲食形態として注目となり、飲食業界やメディア関係者が集まる大繁盛となった。料理やワインを楽しむバルスタイルと共に話題となったのが一瀬氏自身で手がけた本場環境をベースにしたオリジナルの内装だったいう。同業者も多く訪れるなかで、内装相談や依頼も増え、いつしか仕事として内装に関わることとなり、現在へと繋げているのだ。

同店では本場スペインのバルはどこでも美味しかったという一瀬氏の手作り料理が楽しめる。メニューは「生ハム」(400円)や「焼きパプリカのマリネ」(400円)、「エビのアヒージョ」(400円)などの定番。さらに「豚ロースのグリル」(500円)、「カツオのマリネ」(400円)や「ヒラタケのソテー」(500円)といった旬の素材も加えたスパインのバルにありがちな料理で構成する。人気は毎日、開店前から開店中も3回焼き上げる天然酵母で発酵から手作りする1個150円で提供するパンだ。ドリンクは「ハウスワイン」(赤白各1種類400円)をはじめ赤白、ロゼのスペインワイン(グラス600円〜。ボトル3200円〜)を6〜7種類を提供する。またさっぱりとしたフィノから甘口のペトロヒメネス(各600円)まで5種類のシェリーやスパインの黒ビール、サングリアまでアイテム数は限定されるがスペインバルとしてのこだわりを作っている。

「三鷹バル」に続き2011年1月に富士見台にヴェネチアスタイルの「バーカロ・フェッロ」(現在一の瀬食堂)を出店。さらに工務店業務のほかにもロッククライミングのジム(現在は譲渡)を運営してきた一瀬氏。今回は改めて初心に戻る気持ちで「スパインバル トリツカレ男」をオープンしたという。いろいろな事やモノに取り付かれてしまう男をモチーフにした小説のようにスパインに取り付かれている自身の想いが反映されている同店。昭和の時代を引き継ぐ酒場街の一角でスパインのバル文化が馴染むようだ。

店舗データ

店名 スパインバル トリツカレ男
住所 東京都杉並区高円寺北3-2-19

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アクセス 高円寺駅から徒歩2分
電話 なし
営業時間 18:00〜24:00
定休日 不定休
坪数客数 4坪12人(外席含む)
客単価 1500円
オープン日 2018年12月22日
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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