江戸を引き継ぐ日本文化の拠点、浅草の目抜き通りである浅草雷門通り商店街に、新しいコンセプトの角打バルスタイルの「相模屋本店 角打ち」が3月9日にオープンした。浅草で創業以来130年の歴史を繋ぐ老舗酒屋相模屋の4代目 恩田 健氏と、伝説の繁盛店「立喰酒場&坐傍buchi」の女将だった、飲食業界のレジェンド岩倉久恵氏(kettle.tokyo/株式会社ケトル 代表、東京都渋谷区)が強力なタッグを組み創り上げたおしゃれで新鮮な角打バルだ。営業は毎週木曜日〜日曜日の限定4日間、15時〜22時と行く意味のある店作りをしている。
恩田氏が営む相模屋本店は一般向け、業務用酒飯店として長く地元浅草のニーズを支えている老舗である。そんな同店も規制緩和を機に新しい時代に呼応していく老舗として15年前からワインを独自輸入し販売する業務も始めたという。紆余曲折、現在扱うワインの多くはイタリアの家族経営や小規模の蔵で丁寧に醸されるタイプのものだ。葡萄を育てる土壌、その地の自然を感じるそんなワインの美味しさを味わい楽しむ場を作りたいと常々考えていた恩田氏。一方、神泉駅からも距離がある旧山手通り沿いの一角で、夜毎外まで溢れる人が集まっていた伝説の繁盛店「立喰酒場&坐傍buchi」を仕切っていた岩倉女将。立ち呑みの新しい概念とスタイル、さらにワンカップ日本酒の再評価を構築させた。常に斬新でいて繊細な価値観の基に飲・食と向き合い、店を展開する女将のスタンスは飲食業界から注目され、ファンも多い。そんな女将と恩田氏は10年以上の付き合いとなり、パートナー的な存在として信頼を深めるなかで「いつしか立ち呑み業態を一緒に」という夢があった。そしてついに、2年半前「相模屋本店 角打ち」プロジェクトがスタートした。酒屋の将来も見据え、恩田氏は岩倉氏と共に厳選するワインを軸に情報発信やプレゼンテーションの場とした新しい角打ち=角打バルを形にした。とは言え、基本はあくまでも美味しいお酒とつまみを気軽に楽しむ本来の角打ちそのもののスタイルだ。
和のテイストをモダンにデザイン化したおしゃれな全面ガラス扉のファサードは、浅草らしい商店街のなかで新鮮な空気感を放つ。ワインセラーに酒専用冷蔵庫などに多種類のお酒が並ぶ庶民的な酒屋らしい空間のなか、ウッド仕様のシックでスタイリッシュなハイカウンターが違和感なく一体化する環境をデザインしたのは、2人と親交も深い空間デザイナー萩本雅泰氏。フードを並べたガラス製ショーケースを設けたハイカウンターの頭上にはワイングラスが下がるグラスラックと、ままバルである。そこには若い世代や海外から訪れる人々が気軽に立ち寄れる雰囲気も意識している。
提供するドリンクは、その日の気まぐれ赤・白各1種類と週代わりのグラスワイン赤・白、スパークリング7種類(120ml/600円〜1000円)を揃える。なかでもおすすめは現在90歳を超えるお爺さんが続けてきた製法を孫が受け継ぎ醸す、イタリアンの「La Torre Bianco(ラトッレビアンコ)」(800円)。日本酒は定番(おきまり)「豊の秋」(300円)のほか7種類(400円)でポーションは90ml。無農薬レモンで作る岩倉氏こだわりの「レモンサワー」(500円)から焼酎、ウィスキーなど多彩に揃える。ちなみに、缶ビール、缶酎ハイなどの缶類以外、店内で売るボトルのみ、酒類に関わらず持ち込み料1000円で飲むことが出来る。「かまぼこ」までも手作りするフードは日替わりで14~15種類。日本で唯一、北海道の牧場産「水牛のモッツアレラ」(500円)と「牛もつ煮込み」(500円)のほかはすべて300円だ。フードもドリンクもキャッシュオンスタイル。
全く土地勘のない浅草で新しい街を知り楽しむ岩倉氏と、浅草を知り尽くす恩田氏の強力なタッグはすでに第2弾となる新しい事業計画が同じ浅草で進んでいるという。今年の年末頃にまでにオープン予定というその店に今から期待が高まるのである。
店舗データ
店名 | 相模屋本店 角打ち |
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住所 | 東京都台東区浅草1-8-2 |
アクセス | 銀座線 田原町駅より徒歩3分、浅草駅より徒歩5分 |
電話 | 03-3844-4196 |
営業時間 | 木金土日 15:00〜22:00 |
定休日 | 月火水(相模屋酒店は水休) |
坪数客数 | 1.8坪(角打ちのみ/店鋪本体は10坪)・スタンディング15席 |
客単価 | 2000円 |
運営会社 | 株式会社相模屋本店 |
オープン日 | 2017年3月9日 |
関連リンク | 相模屋本店 角打ち(FB) |