飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

「STAND BY FARM」2号店が松濤にオープン
生産体制強化でさらなる事業拡大へ

渋谷の繁華街から少し離れた松濤は、高級住宅街を擁し、上質な個店も多い。“奥渋谷”と呼ばれる富ヶ谷に続く注目スポットだ
エントランスには、パレットを重ねたスタンディング席。ウエイティングバーとしても利用可能だ。店奥はテーブル席と半個室に
松濤店から加わった新メニュー「ファーマーズフムス」。千葉の小糸川流域に伝わる在来種の大豆「小糸在来」で作ったフムスと、在来農場の朝どれ野菜が10種類以上が彩り豊かな一皿。ボリュームたっぷりなので3~4人でシェアするのがおすすめ
ALL FARM代表取締役 古森啓介氏

(取材=望月 みかこ)


野菜レストラン「WE ARE THE FARM」などを展開するALL FARM(東京都渋谷区、代表取締役 古森啓介氏)の最新店「STAND BY FARM 松濤(スタンド・バイ・ファーム)」が12月5日、渋谷・松濤にオープンした。同ブランドでの出店は、東銀座に続き2店舗目。同社の最大の魅力は、自社農場から毎日届く朝どれ野菜を使ったメニューだ。無農薬、無化学肥料、固定種、露地栽培にこだわり、それらの食材を極力シンプルに調理。本来の健康な野菜の味わいを伝えることで、農業や食材の重要性を日々発信し続けてきた。今回の出店で「スタッフや生産、物流などの社内体制を整える」と、足場を固めてさらなる飛躍への布石をうった。

4年前、千葉県佐倉市に小さな畑を借りることからはじまった彼らの挑戦。農薬を使用する慣行栽培に比べれば、桁違いの時間と労力を要するにも関わらず、無農薬、無化学肥料、固定種、露地栽培を貫くのは、「安心して食べられて、本当においしいと思える食材を届けたい。それが店を超えて一次産業や食材に目を向けるきっかけになれば」。そんな思いを共有する同志、古森啓介氏(ALL FARM代表)と寺尾卓也氏(在来農場 農場長)が手を組んだのがはじまりだった。

2014年、代々木上原に「WE ARE THE FARM」をオープン。毎日自分たちが育てた野菜を店に運び、それを焼いて、煮て、蒸して、時にはそのままの味を訪れる人たちに伝え続けた。彼らがひたむきに作った無農薬の野菜は、自然から遠く離れた東京では驚きだった。客が客を呼び、気づけば1年後、連日満席の人気店に。この野菜をもっと多くの人に味わってもらいたいと、翌年11月に2号店を恵比寿(FC店)にオープン。さらにその翌年1月には、よりカジュアルな装いの「STAND BY FARM」を東銀座に、同年3月、西武池袋の地下食料品売場にケール専門デリ「KALE FARM」をオープンさせ、農業の“出口”を一気に拡大してきた。そして、今回の渋谷への出店。さらに多くの人に彼らのメッセージを届ける。

松濤店の内装イメージは“農場の集荷場”。「集荷場って、とても機能的にできているんですよ。それを店にもいかしたくて」と古森氏。収穫した野菜を入れるコンテナや、荷台となるパレットが、ワイン棚や収納棚に作り替えられていたり、農具を飾ってインテリアの一部にしたり。彼らが日々精を出す現場の無骨な空気感と、トタンや木材が与えるラフであたたかな空間には、誰もが気取らず食事を楽しめる心地よさがある。

今回のオープンをきっかけに特に強化したのが、フードメニューだ。タパスのような小ポーションのバルメニューが多かった東銀座店のメニューをブラッシュアップ。「身土不二」「一物全体食」という理念はぶらさずに、鍋料理や肉料理などレパートリーを増やし、男性のグループ客でも十分満足感を得られるように配慮。ターゲット層を広げた。古森氏のおすすめは、大豆のフムスを在来農場の野菜と盛りつけた「ファーマーズフムス」(3~4人前、2800円)。朝どれの生野菜を、ビーツ味やケール味などのフムスにディップして食べる。高タンパク低カロリーで栄養価の高い大豆はヘルシーで女性に人気が高い食材だが、大豆フムスを打ち出す理由はそれだけではない。昔から地域に伝わる大豆の在来種「小糸在来」の味を知ってほしい、残したいという思いもある。ほかには、「ケールのワイルドシーザーサラダ」(780円)「みやま小かぶの丸蒸し」(580円)などの既存店の人気メニューに加え、「冬瓜 豚しょうがあんかけ」(880円)のような季節のおばんざいや、肉料理では「フレンチラム スパイシーグリル」(620円)「無添加ソーセージステーキ」(680円)「ビーツとフォアグラのソテー」(1580円)などレパートリーを増やした。

今後は「原点の農業をさらに強化していきたい」と古森氏。売上の波がある飲食事業に比べれば、農業の収益は安定しているという。「将来的には、飲食事業の利益がたとえ0になったとしてもやっていけるくらいに生産をしっかり機能させたい」と創業時の軸をさらに強く太くする考えだ。生産を強化すれば、食材供給や畑での研修をセットにしたFC展開の可能性もひらける。「KALE FARMのような物販事業にももっと注力していきたい」と、農場近くに加工場設立も計画中だ。

“食”が世界中で見直されはじめている今。その流れにともなって“ファームトゥテーブル”や“オーガニック”、“サステイナブル”といった言葉がそこかしこに溢れ、現実を欠いて独り歩きしている感がある。それらの言葉の裏には、彼らのような作り手たちの膨大な時間と魂のこもった尊い労働、そして人と自然への深い愛情が存在することを忘れてはならない。店を訪れるたびに、“食の本来”へと立ち返らせてくれる彼らの一歩一歩をこれからも見守りたい。

店舗データ

店名 STAND BY FARM 松濤(スタンド・バイ・ファーム)
住所 東京都渋谷区松濤1-28-11 Pigeon松濤髙田ビル 1F

 >> GoogleMapで見る

アクセス 渋谷駅から徒歩7分、神泉駅から徒歩3分
電話 03-6416-0724
営業時間 17:00~24:00
定休日 なし
坪数客数 28坪・60席(うちスタンディング5席)
客単価 3800円
運営会社 株式会社ALL FARM
関連リンク STAND BY FARM 松濤(FB)
関連リンク ALL FARM(HP)
関連リンク 在来農場(HP)
関連ページ STAND BY FARM(記事)
関連ページ WE ARE THE FARM 恵比寿(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

ヘッドライン一覧トップへ


飲食施設の分煙環境整備補助金の取り組み
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.