JR新橋駅烏森口から徒歩約3分。数多くの居酒屋や外食チェーンがひしめき合う飲食店激戦区の一角に、「モンゴリアンチャイニーズBAO」が6月8日オープンした。経営は、shoemaker(東京都渋谷区、代表取締役 高垣佳典氏)。同店は、“肉マイスター”としてメディア各方面で活躍する音楽プロデューサーの田辺晋太郎氏が、内モンゴル出身の料理人バオ氏を迎えてトータルプロデュースを手掛けた初の飲食店舗となる。昨今、じわじわとラム肉再ブームの兆しが見えるなか、都内にもまだ数が少ないマトン料理の専門店だ。唐辛子などの香辛料やパクチーをたっぷり使い、ラムよりもパワフルなマトン肉の個性を存分に活かした“モンゴリアンチャイニーズ”という新ジャンルを提案し、日々ニッチかつ熱心なリピーター客を獲得している。
オープンのきっかけは、肉マイスターとして「焼肉の教科書」(宝島社)の出版や、今年5月の渋谷東急東横店「肉グルメ博」のイベントプロデュース等を幅広く手掛ける田辺氏が、数年前に東京都内の中国家庭料理専門店でシェフをしていたバオ氏と出会い、その腕前に魅了されたこと。田辺氏は「バオの料理は、内モンゴルだけでなく、四川や中国東北地方など、様々な風土のエッセンスが入り混じった唯一無二のものです。彼女の類まれな調理技術とセンス、そして人柄に惹かれ、ぜひ一緒に店を作ってみたいと思いました」と語る。そして、バオ氏の前店退職をきっかけに、今年6月、自身が取締役を務めるshoemaker傘下での新規出店へと舵を切った。同店のコンセプトは、“BAO氏そのもの”。マトンやパクチー、激辛といった愛好家を刺激するキーワードは、まず業態ありきで店を作り込んだ結果ではなく、あくまで料理人バオ氏の魅力を最大限に引き出すことに付随したものだという。まずは、あっと驚く一皿一皿の魅力と味わい。そして、万人受けはしないながらも一定層に「こんな料理を待っていた」とピンポイントに届く独創的なフュージョン料理であることが同店の最大の強みだ。
店内は、カウンター10席と団体客向けの小上がり8席で構成。昼夜の二部制で営業する。ランチには限定メニューの「BAO羊麺」や「汁なし坦々麺」、麻婆豆腐定食(各880円)を用意。夜には、マトンを約1時間半かけてじっくりと煮込んだ名物の「羊の塩ゆで骨付き」(1580円)や「辛いサラダ(パクチー入り)」(680円)、「羊のちぎり麺(ヨーグルト付き)」(780円)などグランドメニュー約20品のほか、日替わり数品を常時取り揃えている。料理は、タレや調味料に至るまでバオ氏独自のレシピで考案されており、ニュージーランド産マトンの柔らかで豊かな旨みや、スパイスの奥深い香りが味わえるものばかり。コアなファン層に向けて、パクチーや青唐辛子を単品で追加オーダーできるのも特徴だ。アルコールにはビールやシャンパン、ハイボール、酎ハイなどのメニューに加え、グラス一杯300円と破格で提供する12年ものの紹興酒をラインナップしている。
近年の牛肉業界における経産牛の再評価傾向もあり、今「肉は熟女ブーム」(田辺氏)。幼年期を通り過ぎた畜肉だけが持つ種特有の風味や香りは、一定層の嗜好に強く訴えるものだ。また、羊肉のみを取り扱う同店は、イスラム圏のインバウンド需要にも対応可能な業態でもあり、バオ氏は「今まで日本では日の目が当たってこなかったマトンの美味しさを、国内外のより多くの方に味わっていただきたい」と語る。今後は、さらなる同店の周知を目指すとともに、現在はランチ限定で取り扱う「BAO羊麺」単体での多店舗展開も計画している。ここ数年、空前の肉ブームを迎えている飲食業界において、国内のマトン定着の今後を占う要注目店だ。
店舗データ
店名 | モンゴリアンチャイニーズBAO (バオ) |
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住所 | 東京都港区新橋3-14-6 小林ビル1F |
アクセス | JR新橋駅烏森口から徒歩3分 |
電話 | 03-6435-6366 |
営業時間 | 月~金 11:30~14:00(13:30 LO)、17:00〜23:30(22:00 LO) 土 貸切り予約のみ |
定休日 | 日 |
坪数客数 | 8坪 18席(カウンター10席、テーブル8席) |
客単価 | 昼 880円、夜 3500円 |
運営会社 | 株式会社Shoemaker |
関連リンク | モンゴリアンチャイニーズBAO(FB) |