東急大井町線と、都営地下鉄浅草線が乗り入れ、接続駅となっている品川区の中延駅。そこから徒歩3分、交通量の多い国道第二京浜沿いに、風情漂う白いちょうちんと、大判の日本酒銘柄タペストリーが目を引く外観の「日本酒バル イブシギン」が10月14日誕生した。経営は、2011年設立のドラワン ユナイテッド(東京都大田区、代表:清野 浄氏)。同社は、2011年に1号店となる「串揚げ どらいち」を蒲田で開業、翌年2号店の「ビストロ Dra-1」(大井町)をオープン、2013年には3店舗目となる「串揚げ&おでん どらいち屋台村」(元住吉)をオープンさせ、毎年順調に新店舗を出店している。今回の新店舗は、4店舗目であり、同社にとって初の日本酒バル業態となる。
新店舗は、“酒好きが気軽に集える店”をコンセプトに、日本酒専門店にありがちな堅苦しさを排除した。日本酒マニアだけでなく日本酒ビギナーにも利用してもらいたとの思いで、一人飲み、女性にも敷居の低いアットホームな雰囲気を目指す。また、より間口を広げるために日本酒のみならず、リーズナブルで美味しいワインも取り揃えているという。「五反田などには日本酒バルスタイルのお店はありますが、この周辺にはありません。お客さんからは『こんな店が近くに欲しかった』とよく言われます。近辺に飲み屋はたくさんありますが、業態、品揃え、営業時間などお客さんとのマッチングができてなかったのかもしれません」と、同店責任者の石栗コウジ氏は語る。同氏は、銀座の高級フランス料理店ソムリエを経験後、飲食コンサルティング会社に長年勤務。同社には設立当初から参加し、毎回新店舗の立ち上げに尽力してきた。「当社は大田区や品川区を本拠地に、駅近でも路地裏など敢えて2等3等立地の1階居抜き店舗を活用するという店舗展開をしてきました。業態はそれぞれの立地に合う、その地域に必要とされる業態を選択しながらも、既存設備をできるだけ活用しています」と話す。新店舗も、駅から近いとは言え、国道沿いで人通りは決して多くないが、車で通り掛かった人が気に掛けて、来店につながる場合が多々あるという。それも狙いであり今回この立地を選んだ理由の一つだと石栗氏は続けて話してくれた。
日本酒は、店主セレクトの日本酒として、純米、純米吟醸、大吟醸を全銘柄100ml・500円(180ml・850円)で提供し、常時20種類ほどを揃える。馴染みのある安心銘柄を定番として、薫酒、熟酒、醇酒などをラインナップ。また毎月一銘柄、懇意にしている酒屋からミニマムロットで酒造されたプライベートブランド酒が登場するという。全国各地の小さな蔵元の銘酒が月替わりで味わえるというイベント的なことも心掛け、客の来店動機につなげている。日本酒バルでありながらも、間口を広げるべく、またソムリエの資格を持つ石栗氏の経験を活かし、ワインの取り揃えも充実している同店。グラス600円~、デキャンタ1200円~、ボトル2400円~3800円とリーズナブルな価格で、スペイン、チリ、アルゼンチンなどのニューワールド系を中心に揃える。ライトからフルボディまで要所をおさえたセレクトで提供している。
料理は、日本酒とワイン、それぞれにマッチする和洋カテゴリーをバランスよく取り混ぜたつまみ類が豊富。濃厚さが程よい「酒盗とクリームチーズ」(480円)や、オリーブオイルがアクセントの「洋風キンピラ」(480円)、柔らかく煮込まれた「牛スジのコトコト煮込み」(480円)などはファーストオーダーでの注文率が高い。また特筆料理は、既存店から受け継がれた鰹と昆布出汁の効いた「汁だくおでん 盛合せ」(780円)だ。透明度の高い出汁は、しっかりとした香りと優しい味が絶品で人気の一品。日本酒好きも、ワインラヴァーも両方楽しめる料理の数々が揃う。
今後の展開については、品川区・大田区などを中心に10店舗を目指して行くという。「この地域は、お客さんの層も良いですし、地域で愛される店になっていきたい。店舗展開は、『立地×人材』だと思っているので、タイミングや、その人材の得意分野を活かすことに重きを置いて展開したい」と語る石栗氏。店名のように“イブシギン=燻し銀”のごとく、実力・魅力を増しながら地元に根差す存在となるか注目していきたい。
店舗データ
店名 | 日本酒バル イブシギン |
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住所 | 東京都品川区東中延2-8-8 清水ビル 1F |
アクセス | 都営浅草線・東急大井町線 中延駅より徒歩3分 東急池上線 荏原中延駅より徒歩6分 |
電話 | 03-3783-5553 |
営業時間 | 18:00~翌4:00(L.O. 翌3:00) |
定休日 | 月 |
坪数客数 | 8坪 15席(カウンター5席、テーブル10席) |
客単価 | 3000円~3500円 |
運営会社 | ドラワン ユナイテッド株式会社 |
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