TVや雑誌など多くのメディアでも活躍する「どれ味」の平野信英氏が、“本当にやりたかった店”として、長年温めてきたコンセプトを遂にこの2月、実現した。人形町駅にほど近い、新しい飲食店が続々とオープンする日本橋エリアに誕生した「No Reservations(ノー・リザベーションズ)」は、これまで平野氏が手掛けてきた「どれ味」とは、まったく異なる新しいスタイルの店だ。平野氏が、亀戸と銀座(本店)に2店舗を構える「どれ味」は、“エンターテイメント系鉄板焼きレストラン”の国内では草分け的な店舗である。1号店の亀戸店は、1988年のバブル真っ只中にオープンし、たちまち人気店に。続いて、1995年には銀座本店となる「どれ味 of Tokyo」をオープン。平野氏の持ち前のホスピタリティーとその人柄で、多くのリピーターを獲得し、この2店舗は現在に至っても不動の人気を誇っている。 今回、オープンした「No Reservations」は、徹底的にニューヨークの雰囲気にこだわった箱の中で、本格的なパシフィックリムの料理を楽しめるユニークなコンセプトの店だ。店の実質的なオーナーシェフを務めるのは、平野氏の一人息子である平野英浩氏である。「息子が29歳を迎えたら、自分の長年の夢を凝縮させた新店舗をすべて任せたいと思っていた」と父親の平野氏は、大きな期待を英浩氏に寄せる。平野氏は、大のハワイ通としても有名で、1年の半分近くを家族とハワイで過ごし、本場パシフィックリムを知り尽くしている人物である。息子の英浩氏は、弟子入りするには大変な難関を突破せねばならない世界的に有名なシェフ、アラン・ウォン氏の元で5年間研鑽を積んだ。そのため、同店の特筆すべきところは、アラン・ウォン氏直伝のクォリティーの高い、本場パシフィックリムの料理を堪能できるところだ。 店の看板メニューである、「白身魚のジンジャーソース アラン・ウォン スタイル」(1500円)は、本場「アラン・ウォン」でも供される大人気のメニューだ。かのオバマ大統領のお気に入りの料理でもあり、味噌とゴマとジンジャーによる秘伝のソースが、脂の乗った白身魚に最高にマッチし、病みつきになる味であること請け合いだ。また、アラン・ウォンスタイルのロール寿司メニューも豊富にラインナップ。本日の鮮魚、マグロ、サーモンなどを用いた「レインボーロール」(1400円)は、ボリュームも味も大満足の内容に。英浩氏は、銀座の名店「寿し利」でも修行を積んだ経験から、寿司飯にはこだわり抜き、魚の味わいがより引き立つすし酢の調合を実現している。豊富なアラカルトメニュー他、お得なディナーコースメニューもあり、3500円で店の看板メニューの白身魚を含む全6皿の料理が堪能できる。「ハワイの『アラン・ウォン』で同じ料理をオーダーすれば、価格は倍近くになるはず。それを日本人サイズの量に抑えて、なんとか価格を低く設定しました」と英浩氏は語る。 また、ドリンクメニューは、料理とマッチする数々のオリジナルカクテルがおすすめだ。アメリカサイズの大きなカクテルグラスで供される「コスモポリタン」(1200円)、「フローズン・パイナップル・マティーニ」(1000円)など、最近カクテル離れが顕著な若い世代にもどんどん売っていきたいという。ワインの方は、グラス売りが「どれ味」オリジナルの山梨産ワインが白700円から。また、ボトルワインは“アメリカ”にとことんこだわり、赤・白ともに「ケンダル・ジャクソン」の銘柄(5600円~)を揃える。バブリーな雰囲気を味わいたいゲストのためには、「パイパーエドシック」(7500円)、「ヴーヴ・クリコ」(9000円)などのボトルシャンパンもしっかり用意されている。「日本人は、ロコモコなどに代表されるハワイアン料理=パシフィックリムと考えがちですが、パシフィックリムとは、本来、フレンチや伝統的アメリカ料理などを融合させた、とても奥深い料理のカテゴリー。本当においしいパシフィックリムをここでぜひ味わってほしい」と、英浩氏は力説する。 同店のインテリアに目を向けると、平野氏のこだわりが随所にみられる。立地は、“NYCらしさ”を演出するために、あくまでも角地にこだわり、シルバーのファサードの外観は、ニューヨークのトライベッカにあるダイニングバーを彷彿とさせる。店内の内装は、ディズニーシーを担当したデザイナーに依頼し、手作りの暖炉を設えてハイパーモダンな店内に温かみを添えている。「店内に一歩入ったら、そこはアメリカ!」感をより演出するために、なんとトイレにもサプライズな仕掛けがあるそうなので、是非自身の目で確かめて欲しい。 ディナータイムが終わる21時頃、店のガラス窓には“BAR”のネオンサインが灯る。これは、21時以降でも2軒目利用として飲みを主体とするゲストに気軽に入ってもらいたいという、平野氏のアイデアによるもの。その効果が功を奏し、21時以降も客足が途絶えることはない。「『No Reservations』とは、“誰にも制約されない、自由なスタイルで楽しめる店”というコンセプトのもとネーミングした店です。この店では、少しおしゃれをして、シェフ自慢のダイニングを楽しむのも良し、また、特製のオニオンリング・タワーや、ガーリックシュリンプなどの軽いつまみとドリンクを楽しむのも良し、いろいろな使い方をしてもらいたい。そもそも“外食”って、華やかで素敵なものだったはず。僕にとって、最近の東京は、価格競争だけに走るつまらない店ばかりが増えた印象です。外食の原点に戻って、ちょっとおしゃれをして、少しだけ特別な時間を過ごせる店を、これからも目指していきたいと考えています」と最後に平野氏は語ってくれた。
店舗データ
店名 | No Reservations 日本橋店 |
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住所 | 東京都中央区日本橋人形町1-5-12 |
アクセス | 地下鉄人形町駅より徒歩5分 |
電話 | 03-3663-1512 |
営業時間 | 17:00〜翌1:00(L.O.24:30) |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 22坪・36席(カウンター14席含む) |
客単価 | 4000円 |
運営会社 | 株式会社H3 |
関連リンク | どれ味オブ東京 |