新百合ヶ丘の南口を出て5分程歩いた、商業施設のひしめく通りから少し坂を下った静かな通りに「アジアンビストロDai」が9月27日、オープンした。同店は2010年4月のたまプラーザ、2011年の藤が丘に続き、この1年半で3店舗目の出店となる。オーナーはプレジャーカンパニーの代表取締役、望月大輔氏、今勢いのある元グローバルダイニング(以下GD)卒業生だ。同氏は大学在学中、アメリカに留学し、卒業後2年間オーストラリアへ渡った。帰国後2000年にアルバイトとしてGDに入社、2002年にはお台場「モンスーン」の店長、2004年にはたまプラーザ「モンスーン」の店長を経て、2006年にエリアマネージャーとなり、2010年に退職した。それまでの飲食業界は、“長時間労働が当たり前、きつくて薄給”というイメージだったが、GDは、頭を使い結果を残したら、その結果が必ず報酬になるという、当時の飲食業界では画期的な仕組みを作った企業だ。しかし、望月氏の想いはこの会社にとどまることではなかった。地域のお客様から喜ばれるという地域貢献を自らできる、そして楽しく働ける環境の整った会社を自分自身で立ち上げようと決めた。運営は、望月氏と以前の同僚でもあった数字に強い栗原氏を副社長に置き、シェフは元「タブローズ」や「ステラート」を経験し、現在は3店舗の料理に関して任せている菅原氏を1年かけてくどき、3人からのスタートだった。1号店、2号店に引き続き、郊外への出店となるが、望月氏の考える店舗開発は、「需要と供給がアンバランスな場所へ出店すること」。たまプラーザや新百合ヶ丘などの高所得者層はレストラン慣れしているが、住民が家の近くで楽しめる店がまだ少ない。その上、GD時代に店長・エリアマネージャーを経験していたエリアであったことから、この場所への出店を決めた。新百合ヶ丘店に関しては、1号店の客から「新百合ヶ丘に出店を」との声が多く挙がったことも後押しとなった。街にフォーカスして出店すれば、売上も立てられ、家賃も安く、利益を出しやすい。さらに地域住民から喜ばれるという地域貢献が可能となった。さらには、社内のシステム化を図り、綿密なデータ収集により、毎月の数字の分析をしながら運営をしている。内装は店名にもあるように、アジアンテイストでバリのリゾート地を彷彿とさせるデザイン。GDのインハウスデザイナーから独立したPUZZLEの若林数正氏が手がけた内装だ。入口手前のバーカウンターにあるハイチェアーは、バリでオーダーメイドした同店オリジナル。木で作られているが、座り心地が良く、長時間座っていられる。料理コンセプトは、“アジアのエッセンスを入れたビストロ料理”。コストパフォーマンスの高いワインを日常食に合わせるビストロがいいのではと考えた。1本で食べ応えのある、「ベトナム風生春巻き」(320円)や「ムール貝の白ワイン蒸し」(850円)などもおすすめだが、一番の売りは、グリル料理。「黒毛和牛のグリル」、「イベリコ豚のグリル」、「フォアグラのキャラメリゼ」は、全て1580円。ドリンクメニューは、グラスの「がぶ飲みワイン」(380円)、「こぼれスパークリング」(500円)。ボトルワインは均一価格2500円で赤白各10種類ずつ取り揃えているが、別のリストには、シャンパーニュ「ボーモン・デ・クレイエールグランレゼルブ」(5800円)や、しっかりした肉料理などにも負けない赤ワインの「ジンファンデル」(3800円)、香りを楽しみたい「ジュブレシャンベルタン2008」(6400円)など、ワインに慣れた客層のニーズに応える均一価格以上のワインも用意している。そのほか「オリジナルハイボール」(580円)や「オリジナルサワー」(480円)、ソフトドリンクも豊富に揃う。これだけのクオリティをキープしながらも、価格設定はリーズナブルで、サービス、料理、トータルの結果を常に意識し、連日、客で溢れている。ビジョンも明確で、「5年ぐらい店長として実績を出した者にのれん分けでお店を譲っていこうと思います。そのために5年で20店舗展開して、その後は直営店も出していきますが、のれん分けのお店も増えていくと思います」と望月氏。社内のシステム化と綿密なデータ分析により、出店計画を立てる同社の今後の動きにも注目していきたい。
店舗データ
店名 | アジアンビストロDai |
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住所 | 神奈川県川崎市麻生区上麻生1-7-14 |
アクセス | 小田急線 新百合ヶ丘駅より徒歩5分 |
電話 | 044-543-8077 |
営業時間 | 11:00~24:00 |
定休日 | 水曜 |
坪数客数 | 23坪・40席(テラス含む) |
客単価 | ランチ1200円、ディナー3600円 |
運営会社 | 株式会社プレジャーカンパニー |