外苑前駅から徒歩5分。日本ワインと、日本各地の食材を使った創作料理にこだわった“日本が主役”の「ワインバルWA」が、7月4日にオープンした。オーナーは、渡邉義徳氏。前職で関わっていたメーカーズディナーのイベントで、山梨県の醸造家から成る会合に参加したことがきっかけで、日本ワインに興味を持ち始めた。以来、日本ワインをこよなく愛し、独立を決めた時に、「中途半端に入れるぐらいなら、ワインリストの全てを日本ワインにしてしまった方が、特徴が出て、面白いのではないか。」との発想から、“日本ワイン+日本の食材”で「和洋融合」をテーマに掲げることにした。
昼夜問わず、女性の一人客などにも店を気軽に利用してもらえるよう、内装は白を基調とした明るい雰囲気に仕上げ、居抜き前の和食ダイニングの造りを極力生かしつつ、改装を試みた。
ワインセラーの中には、北は北海道の「山崎ピノノワール」(山崎ワイナリー)から、南は九州の「KISS KIKKAカベルネソーヴィニヨン」(熊本ワイン)まで、100種以上の日本ワインが取り揃えられている。ワインリストは、赤ワイン、白ワイン別々のページに日本地図が描かれていて、どこの産地なのか、地図を見て選ぶ事ができるのが面白い。オーナーの渡辺氏のお気に入りは、「岡山マスカットベリーA」(サッポロ・グランポレール)。「マスカットベリーA」というぶどう品種は、川上善兵衛が昭和2年に「ベーリー」(Bailey)と「マスカット・ハンブルグ」(Muscat Hamburgh)を交雑したぶどう品種のことで、国産赤ワインの主力原料の一つとなっており、現在は日本中で生産されているが、わりと軽めに仕上がる品種という特徴がある。中でも、この岡山のワインは、樽醸造で仕上げており「まろやかな口あたりのアタックで、軽さの中にも厚みがあり、飲みごたえがあり、しっかりしている」と渡辺氏。エレガントなワインだそうだ。また、現在は山梨県や長野県の割合が多いが、「今後は、西日本のワインもリストの中に増やしていきたいと」いっぱいになったワインセラーを見ながら、「どこに収納するかが問題ですけれどね」と続けた。価格も手頃に抑えられており、日本ワインは寝かして置いておくこともあるが、若くても飲めるものがたくさんあるため、デイリーに気軽な感覚で飲んでもらいたいとの想いが込められている。
料理は、和食出身の料理長ならではで、国産食材にこだわりながら「和洋融合」がうまく表現されたメニューがそろっている。店でスモークをかけるというスモークサーモンは、新潟から仕入れたものを使用したり、オイルサーディンも「自分で作ると脂のバランスや塩分などが調整でき、日本ワインにぴったり合うように仕上げられます」と、オーナーの考えを料理にまで反映させた丁寧な仕事ぶりがうかがえる。特に人気の一品が、店名をうまく使った「WA風出し巻き玉子」(680円)。甲州と合わせが好評を得て、注文も多いという。
今後は、1号店の基盤をしっかりつくる一つとして「日本ワインを扱う仲間を増やしていけるような活動を、この店を通じてやっていきたい」という、渡辺氏は日本ワインの醸造家達とも積極的にコミュニケーションをとっているという。地産東消を毎日の営業の中で継続することにより、日本ワインと日本の食材を支える役割を目指しているのだろう。今後さらに日本ワインのラインナップが増え、メニューの日本地図がそれらの名前で満たされるよう、日本ワインの未来と同店の活動に期待したい。
店舗データ
店名 | ワインバルWA |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前3-42-5 1F |
アクセス | 地下鉄 外苑前駅より徒歩5分 |
電話 | 03-5770-3237 |
営業時間 | ランチ12:00~15:00、ディナー 17:30~23:30 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 19坪・25席 |
客単価 | 4000~5000円 |