昨年末、六本木にワインと肉の新業態「MEAT 肉男 MAN」を出店したばかりのベイシックス(東京都港区、代表取締役・岩澤博氏)が2月21日、今度は東京・表参道の既存店「てやん亭”」をリニューアルし、昼はカレー専門の「太陽カリー食堂」、夜はフレンチ&イタリアンをメインとした「ビストロ赤玉パンチョ」の二毛作店をオープンさせた。昼のみに現れる謎のカレー店として人気を博した「太陽カリー食堂」が満を持して復活を遂げ、同社の新たな試みとなるビストロ業態「ビストロ赤玉パンチョ」とタッグを組んでの再登場となった。
不況に伴う表参道周辺の環境の変化や売上減少を契機に、今回のリニューアルを昨年の11月に決断。売上げが落ちたことを理由に店を閉めてしまうことは簡単であるが、スケルトンからのスタートではなく、自身の店に手を加えることで投資額も抑えられることから、これまでに経験のない業態に果敢にチャレンジすることにしたという。最近ではワイン業態に流行の兆しがあることも鑑み、模倣ではないオリジナリティを加味した新しいビストロ業態を立ち上げ、今後につながればと考えている。メニューなどの一切の仕切りをスタッフに委ね、1週間という短期間の休業中にリニューアル工事を実施。内装は小上がりのあった従来店舗と180度異なるイタリアンバル風に変貌を遂げながら、費用を300万円に抑えているというから驚くばかりだ。
夜の顔を担う「ビストロ赤玉パンチョ」の特徴は、築地から毎日仕入れる新鮮魚介を使用した料理の数々。「日替わり3種のカルパッチョ」、「日替わり鮮魚のアクアパッツア」(各780円)を筆頭に、「地中海ブイヤベース」(780円)や「プリプリ!ガーリックシュリンプ」(680円)といった海の幸満載の料理をラインナップしている。また、採れたて野菜にこだわり、素材の味が引き立つ「バーニャカウダ」(780円)や「OHやさいのフリット」(580円)などを提供する。メインメニューには、A5ランクの肉を使用した「鹿児島産黒毛和100%のハンバーグ」(880円)や「鹿児島産黒毛和牛極上ステーキ」(1280円)、「和牛のトリッパ」(780円)などを揃え、舌の肥えた客にも満足してもらえる内容となっている。ピッツァやカルツォーネ、パスタまで揃え、ゆでたてパスタに釜揚げしらすを目の前でサーブしてくれるサービスも好評だ。こうした料理とともに楽しんでほしいのが、ボトル2500円と3500円で提供するという明朗会計でリーズナブルなワインたち。「これまで居酒屋業態を展開してきたのでワインに長けた知識を持ったスタッフはおりません。お客様に楽しんでもらいながら、そして教えていただきながら成長していきたいと考えています」と岩澤氏。
ランチ時は店名の通り、10種類のカレーをラインナップするカレー専門店。量やトッピングもプラス料金で変更でき、テイクアウトも可能で、「温野菜カレー」(650円)がダントツの一番人気となっている。
今後は会社帰りのOLをメインターゲットにディナータイム時の女性顧客獲得に期待を寄せている。表参道店をモデルケースとして、ゆくゆくは郊外店舗も視野に入れ、次なる事業の礎となればと考えている。店舗の立地とスタッフの力量を有効活用して利益を上げるだけでなく、将来の展開を見据えた実験店としての役割をも担っている同店。不況の影響で明るい話題の少ない中、いい店を作るために潔く改装を行い、客を楽しませるのみならず、スタッフも共に楽しみながら運営している姿に清々しさを感じる。顧客が飽きる前に、もしくは飽きられつつあると感じたら、同じ場所に留まって悩むのではなく、顧客に合わせて店舗運営やサービスを臨機応変に変化させていく工夫が現在の飲食店には必要なのかもしれない。
店舗データ
店名 | ビストロ赤玉パンチョ |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前4-4-11 原宿マンジビル1F |
アクセス | 地下鉄 表参道駅 A2番出口より徒歩3分 |
電話 | 03-3404-1312 |
営業時間 | 月~土11:30~14:00、17:30~24:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 18坪・40席 |
客単価 | 3500~4000円 |
運営会社 | 株式会社ベイシックス |
関連リンク | ベイシックス |