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大手不動産会社もクラウドキッチン事業に参入!東急リバブルが展開する「シティキッチン」

東急不動産ホールディングスグループで不動産仲介業を展開する東急リバブル(東京都渋谷区)は、デリバリー専門で営業するクラウドキッチン「シティキッチン」を六本木に開業した。多くの企業や飲食店がクラウドキッチンやゴーストレストランなどのデリバリー事業に続々と参入するなか、大手不動産会社も参入。その経緯や狙い、キッチンの様子などとともに、新たなチャレンジの全容を紹介する。


シティキッチン
https://www.livable.co.jp/citykitchen/

不動産活用の一手としてクラウドキッチンに着目!

東急リバブルによるクラウドキッチン「シティキッチン」は、六本木駅から徒歩5分、大通りから1本入った閑静な裏通りにある商業ビル2階にある。フロア全体は約20坪で、奥へと長く伸びる長方形の形状。そこを約2坪ずつ5区画に区切り、各事業者が入居し、それぞれがデリバリー専門のゴーストレストランとして営業している。

  

同プロジェクトは東急リバブルの社内の新規事業提案制度から始まったものだ。この事業の提案者で企画・開発を担当する生井久貴氏はこう話す。「これまで不動産は駅近が最大の価値だと言われ、そうでない立地の物件をどうバリューアップさせるのかは一つの課題でした。2014年頃、日本に進出した民泊サービスには感銘を受けました。当時、空き物件を宿泊施設として有効活用するという発想は衝撃を受けましたね。不動産業界に身を置いておきながら、どうしてその発想ができなかったのか、もっと世の中の変化には敏感でなければと、私自身が強く思いました」。その後、海外 で広まったオンラインによる注文と配達システムのフードデリバリー文化が、日本でも少しずつ広がりを見せたが、アメリカでは一歩進んでゴーストレストランやクラウドキッチンが登場。生井氏はそれに目を付けた。「ゴーストレストランやクラウドキッチンの仕組みを知り、それらを営むにあたって、わざわざ家賃の高い繁華街や路面の物件である必要がない。不動産会社として物件情報を豊富に持つ強みを生かし、大通りから奥まっていたり、駅から離れている空き物件を当社がクラウドキッチンとして貸し出すことで価値を生みだせると、社内の新規事業として提案しました」。

生井氏がこの提案をしたのがコロナ禍前の2019年。条件に合う物件を検討し、「シティキッチン」開業にこぎつけたのが2021年3月だ。エリア選定では、デリバリーニーズが強い港区を中心に検討。元はワインバーだったという物件をキッチンとして改装した。


(写真左から「シティキッチン」の企画・開発を担当する生井久貴氏、「フードポイント」を運営するA’FO合同会社(エーエフオーゴウドウガイシャ)の柏原誉嗣雄氏)

スタートしたばかりであるため、まずは他所でゴーストレストランの経験がある事業者中心の入居。中野や三鷹などでゴーストレストランを展開する「デリステーション」もタイ料理業態などを営業中だ。入居事業者のひとつである「フードポイント」を運営するエーエフオーは、もともとはネットを中心とした広告事業を行う企業。今回、ゴーストレストランを始めた理由について、代表の柏原誉嗣雄氏はこう話す。「当社はもともとネットマーケティングを中心とした広告事業を行っています。もともと飲食に興味があったことに加え、私達が培ってきたネットマーケティングのノウハウは、デリバリーの販売戦略を考えるにあたり親和性が高いことが参入の理由です」。ほか、料理人歴の長いベテランシェフが切り盛りするデリバリーブランドのテナントも近々オープン予定だ。

 
(「フードポイン」、「デリステーション」などのテナントが入居中)

クラウドキッチンで、従来のハイリスクな飲食店開業の構造を変えたい

 
(1区画は約2坪で、ひと通りの厨房機器が揃っている。)

不動産活用のほか、飲食店の独立支援も「シティキッチン」のテーマに掲げ、初期費用を抑え、低投資で飲食業をスタートできる仕組みを用意している。「ご存じの通り、飲食店を立ち上げるには多額の投資が必要。にもかかわらず、多くの飲食店は長続きせずに閉店に追い込まれる状況がある。そのハイリスクな状況は改善されるべきだと思っています。クラウドキッチンであれば、低コストでデリバリー店舗の開業が可能。実店舗よりも低いハードルで挑戦することができます」と生井氏。

また、単なるクラウドキッチンではなく、入居者同士が高めあえる“コミュニティ”を目指し、様々な取り組みを行っていく意向だ。また、不動産会社のメリットを生かし、同社の保有するマンションへの販売なども行い、売上作りのサポートを模索。また今後、ここで育った人気ブランドのポップアップショップ用のスペース提供や実店舗を出店する際の物件紹介 サポートも検討中だ。「新規事業として始まったばかりですので、まだまだ実験段階です。入居事業者の方々と意見交換をしながら、よりより場を提供できるようブラッシュアップしていきたい」と生井氏。ここでのノウハウをもとに、2店舗目、3店舗目も視野に入れる。「不動産会社として、街のインフラになりたいと思いで『シティキッチン』と命名しました。従来の“店のキッチン”から“街のキッチン”になれれば」とも話す。

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