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「東京ミート酒場」「トスカーナ」などイタリアンを展開するイタリアンイノベーションクッチーナが、創業者の四家公明氏から青木秀一氏に社長を交代。「料理を通して多くの人を幸せにする」を実現すべく、新体制をスタート~後編~

イタリアンを展開するイタリアンイノベーションクッチーナ(東京都渋谷区)は、2021年5月より新体制をスタートした。創業社長の四家公明氏から生え抜きで現在38歳の青木秀一氏に社長をバトンタッチし、飲食店展開を進める。同時に、グループ会社としてイマジンジャパンを設立し、こちらは四家氏を代表に、イタリアンイノベーションクッチーナの強みである商品開発力を武器に、飲食店への業務用食品卸などの事業を行う。創業29年目、コロナ禍の中での新体制スタートとなったが、変わらず社是「料理を通して多くの人を幸せにする」の実現を目指して邁進する。フードスタジアムでは、社長交代の経緯や新体制にかける思い、今後の同社の展望について、四家氏と青木氏にインタビューを行った。


≪前編はこちら

(写真右から、四家公明氏、青木秀一氏)

※後編では青木氏が社長に就任するまでの経緯や、今後の展望、意気込みを紹介する。

同業に対するライバル意識から、店舗数を追い、無理な出店も……

―青木さんの社長交代の話は、どのようなきっかけだったのでしょうか?

四家氏:青木を始め店舗運営を十分に任せられる人材が育ったことから、私は店を離れて、積極的に同業者の集まりに参加するようになりました。そこでいろいろな経営者の話を聞くうち、ライバル意識が芽生えていったんですよね。それまでは、店を作って出た利益で新しい店を出すことを繰り返す、理想的な無借金経営を実現していたのですが、そこでライバル意識から無理な出店をするようになりました。十分なキャッシュができる前に、人材が育っていない状態で次の出店に踏み切ったことも。お客様、スタッフを幸せにするという本質を見失い、自分の見栄で店舗数を追ってしまっていたんですね。そこで、外部のコンサルタントに入ってもらい、社内体制の見直しを行いました。

―そこからは?

四家氏:その後、2019年頃からでしょうか。青木がどんどん成長していく中で、周囲から「青木に社長をやらせては?」と言われるようになりました。青木も佐藤も取締役といえど、やはり創業社長の私のことは怖かったんだと思います。2人が何かする際はいちいちお伺いを立てて……という構図で、社内が疲弊していた時期でした。そこで2人がコンサルに相談して、4人で1日かけて腹を割って話し合いをする機会を設けました。

「肩書だけの社長にしたくない」経営者に必要な資質を身に着けてから、名実ともに社長に就任

―青木さんは、そこで四家さんにどんな話をしたのですか?

青木氏:思い切って「僕たちに任せてほしい」と。僕も周囲から「青木が社長をやったら?」と言ってもらえることも増えていました。20歳で上京してからずっと四家さんのもとで経験を積んで、色々なことを学んできた。そんな申し出をするのは勇気が必要でしたが、思いのうちを話しました。独立は見送ったわけだし、どうせやるならこの会社で社長になりたい。会社のみんながやりたいことを実現するために社長をやりたい、と思っていました。

四家氏:正直なところ、飲食店経営を始めて29年、自分自身でもこのまま店舗の経営を続けるのか、迷うところがありました。それを見透かされていたんでしょうね。話を聞くうち、2人に任せた方が間違いないと思い、一旦私は退くことに決めました。とはいえ、すぐに社長交代をしたわけではありません。というのも、私は青木を“肩書だけの社長”にしたくなかったのです。店舗のことはもちろん、財務や責任感。経営者に必要な資質を育てるための期間を設け、名実ともに社長にふさわしい人物になってほしかった。ですので、社長交代とほぼ同時期の、2021年4月にオープンした「Re.TOSCANA」は、物件探しからコンセプト策定まで、すべて青木がイチから作り上げました。「楽しみにしててください」と、私は完成まで図面すら見せてもらえませんでしたよ(笑)。完成した店を見て、任せて間違いなかったなと思っています。

2024年4月末までに30店舗。地域に愛される店を目指し、お客、スタッフすべてを幸せに

―青木さんが社長となり、今後の展開はどのように考えていますか?

青木氏:社是である「料理を通して多くの人を幸せにする」を大切にしながら、2024年4月末までに計30店舗の運営を目標としています。決して目先の利益を求めた無理な出店ではなく、1店舗1店舗、思いのこもった、街に愛される地域密着の店を目指します。業態は「東京ミート酒場」「トスカーナ」をメインとしつつ、地域性に合わせて柔軟にアレンジする“型のないチェーン店”のイメージで展開します。

―早速、出店を進めていますね。

青木氏:はい。4月に三軒茶屋にオープンした「Re.TOSCANA」もそうですし、次は6月に練馬に「東京ミート酒場」をオープンします。ずっとやりたいと思っていた、路面、コの字カウンターの店。その次は学芸大学の出店も決まっていて、こちらはピザと自然派ワインをウリにしたピッツエリアです。地域に愛される店を目指して店づくりを進めていますので、ご期待ください!

(6月にオープン予定の「東京ミート酒場 練馬店」。フルオープンなコの字カウンターが特徴で、昼はパスタ食堂、夜はイタリアン酒場として営業する)

―四家さんが社長として青木さんに期待することは?

四家氏:う~ん、特にないですね。青木に任せておけば、ガンガンやってくれると信じていますから。ひとつ忠告するとしたら、“野望”で店を出すな、ということです。これは私の失敗からきているのですが、同業者と交流するようになって、どうしても仲間に勝ちたいという意識が出て、焦って出店をしてしまった。出店はすべてお客様とスタッフ本位で進めるべき。お客様のためにスタッフの教育を行い、スタッフのために投資を惜しまない。すべてはお客様とスタッフの幸せを第一に考えてほしい。私と同じ轍を踏んでほしくないということは強調したいですね。

四家氏は商品開発力を生かした卸事業を開始!

―四家さんの今後は?

四家氏:社長の座は退きましたが、一方で、創業当時からあった「人の役に立ちたい」という思いは変わりません。青木に任せるようになってしばらくはやることがなくて、ゴルフや筋トレに精を出していた時期もありました。でも、それにも限界があって「私はゴルフばかりをするために生まれてきたんじゃない!」となって(笑)。改めて考えたとき、当社の強みは商品開発力の高さがあると思った。特に「東京ミート酒場」の名物、「日本一おいしいミートソース」は大ヒット商品。当社の店舗で提供するだけでなく、飲食店に卸したり、小売店で販売したりすることで、より多くを幸せにできる。折しもコロナ禍で通常影響ができなくなった2020年5月、「日本一おいしいミートソース」のECを行ったところ大好評でした。今ではコロナ禍を受けて多くの飲食店がECに参入していましたが、もともとOEMでの製造体制を整えていたこともあり、かなり早い段階で販売までこぎつけられたのがよかったですね。そこで手ごたえを感じ、私が代表となって新会社イマジンジャパンを設立しました。「人々を幸せにする」の想いは変わらず、今度は店舗ではなく、飲食店への卸や小売りなど、違ったかたちで当社の商品を広めていきたいと思います。

(イタリアンイノベーションクッチーナの皆さん)

―最後に、おふたりの今後の意気込みをお願いします!

青木氏:コロナ禍で飲食店は思うように営業できない状況での新体制のスタートとなりましたが、むしろこんな時期だからこそよかったと思います。調子の良い時に社長になって業績が上がったとしても、それを自分の実力だと勘違いしてしまいそうで。悪い状況から伸ばしていくことの方が、本当の実力だと思います。これらからの時代は今まで以上に飲食店が試される。そんな中で、常に学ぶことや考えることをやめずに、料理を通じてお客様、スタッフを幸せにしていければと思います。

四家氏:青木社長の新体制、グループ会社のイマジンジャパンの設立ということで、決意新たに頑張っていきたい。これからもイタリアンイノベーションクッチーナグループをよろしくお願いします!

―ありがとうございました。これからの活躍にも期待しています!

(取材=大関 まなみ)

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