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雑務はシステムに任せ、人は人にしかできない仕事に集中を。モバイルオーダー「ダイニー」の目指す世界観とは?

dinii(東京都台東区、代表取締役:山田真央氏)が企画・運営するモバイルオーダー「ダイニー」。QRコードを読み取りお客のスマホから注文ができるシステムに加え、LINEと連携して接客やマーケティングに生かせる顧客情報を提供し、「お客との接点をいかに楽しく作るか」をテーマに設計されたサービスだ。2018年に開始し、現在、串カツ田中ホールディングス、イデアコーポレーションをはじめ導入店舗数は約300店舗と拡大中。代表の山田真央氏は大学在学中に若くして起業。ダイニーの目指す世界観とは?山田氏に聞いた。



dinii代表取締役:山田真央氏
静岡県生まれ。東京大学文学部に在学中に起業。学生時代の飲食店アルバイトの経験をもとにモバイルオーダー「ダイニー」を立ち上げる。

モバイルオーダー「ダイニー」

政治家の道を断念し、IT×飲食業で起業!

―山田さんは大学在学中に起業したとのことですが、どういう経緯だったのでしょうか?

大学時代、当初は起業するのではなく政治家になろうと考えていました。大学2年の頃、政治の世界を見てみたいと国会議員のもとでインターンを始めました。インターン先は当時42歳、当選2期目の議員の方でした。インターンをする中で知ったのですが、当選二期目では議員としてはまだまだキャリアの浅い方で、国会議員は三期目からでないとなかなか大きな仕事ができない。世の中を変える大きな仕事がしたいと政治家を志望していましたが、あまりに道のりが遠いと感じて方向転換。起業してサービスやプロダクトで世の中に影響を与えたいと思うようになりました。

一方で、実は私、学生時代はあまり大学には行かず、大学を1年半ほど休学して世界一周に行ったり、飲食店でのアルバイトに明け暮れたりしていました。アルバイトは「サブウェイ」や「串カツでんがな」、個人経営の焼肉店など様々な店で働いていました。

飲食の仕事は楽しかったのですが、一方で疑問に思うこともありました。居酒屋でアルバイトをしていた際、店長から「君の仕事はお客様とコミュニケーションをとって、リピーターを作ること」と言われました。ところが、実際の営業中はオーダー、料理提供、皿洗いと、やることが次々に入ってきて、とてもお客様と話す時間は取れないのが常でした。

次第に、そういった業務は機械やシステムに任せて、人は人にしかできないことに集中できたらいいのに、と思うようになったんです。それが、モバイルオーダーを作ろうと思ったきっかけ。注文は人がやらなくてもいい。スマホで完結させ、その分の労力を人にしかできない仕事に回せる状況を目指しました。中学生の頃から自分でHPを作っていた経験もあり、ITは得意だった。そこで飲食×ITで起業しようと決意し、ディー・エヌ・エーやメルカリといったIT企業でインターンを経て、卒業後に起業しました。

ランチのモバイルオーダーは時期尚早で失敗、その後テイクアウトのモバイルオーダーでヒット

―どういったサービスでスタートしたのでしょうか?

最初は、ランチの待ち時間をなくすためのモバイルオーダーのアプリを2018年6月にリリースしました。というもの、飲食店で特に忙しいのがランチ時。スタッフ1人はレジに張り付いて会計作業をし続けます。お客様も、仕事の合間の短い昼休憩で待たされたくない。モバイルオーダーでそれらを解消しようという狙いでした。ところが、2018年当時はまだ時代が早かったのかモバイルオーダーを利用する人の数が思ったよりも増えずうまくいきませんでした。当初のアプリを使用したのは全体の2割ほどにとどまった。このアプリはおおよそ7割が利用しないと効果を発揮しない設計で、中途半端な利用率だと店にとって二重のオペレーションが発生してかえって負担となってしまいました。

そこで次はテイクアウトのモバイルオーダーを2019年3月にリリース。アルバイト先だった「サブウェイ」の天王洲店や渋谷桜丘店をはじめ、5店舗で導入していただきました。パンの種類や具材をカスタマイズする「サブウェイ」の注文システムとモバイルオーダーの親和性が高かったこともあり、こちらはうまく機能させることができました。

そこからさらにユーザー数を拡大するには、テイクアウトのお客様だけでなく、パイの大きいイートインのお客様にも使ってもらえるサービスにする必要があった。そこで、モバイルオーダーを使用したお客様の情報を接客やマーケティングに生かすシステムを閃きました。LINEと自動連係し、お客様の性別や年代、来店回数、リピーターなら前回注文した品などを店側が閲覧できるようにして、それに応じた接客やクーポン施策を行う。そうしてさらなる売上アップにつなげるサービスへとブラッシュアップ。これが今のダイニーの原型になります。

単なる注文ツールではない、飲食業界の価値を上げるサービスを目指す

―今ではダイニーのみならず、世の中に多くのモバイルオーダーサービスが登場しています。競合にない、ダイニーならではの特徴や強みはなんでしょうか?

ダイニーは「お客様との接点をいかに楽しく作るか」がテーマ。僕の居酒屋でのアルバイト経験をもとに、人がやらなくてもいいことはシステムに任せて、人は人にしかできない仕事に集中できる環境を整えることがミッションです。

ですので、モバイルオーダーやユーザー情報の活用に加えて、接客がよかったスタッフに投げ銭ができる機能があります。特に投げ銭機能は好評で、例えばイデアコーポレーションの焼肉業態「神戸びいどろ 元住吉店」で導入していいただき、接客の良いスタッフは1組あたり4000円も投げ銭が入ることもあります。投げ銭で入ったお金は、半分はスタッフ本人に、もう半分は同時刻にシフトに入っている他のスタッフに配分される仕組みで、これがスタッフのモチベーションアップになっています。

―ダイニーが将来目指すところは?

大学時代に飲食店のアルバイトに明け暮れていたように、僕は純粋に飲食業が好きで、その気持ちで起業しました。目指すのは飲食業界の地位向上です。

例えば、いま飲食業界にチップを導入する動きが広がっていますが、ダイニーでは、チップではなく“投げ銭”としてやっています。仕組みとしては同じなのですが、チップとはもともとアメリカの奴隷制度の名残の文化で、持てる者が持たざる者へと与える施しなんです。日本にはそういった文化がないことが、これまでチップが馴染まないことの要因のひとつだったと僕は考えています。投げ銭はチップとは違い、上からの施しではなく応援の気持ちで投げるもの。昨今、ライブ配信で投げ銭機能が盛り上がっているように、日本で定着するならこちらだろうと思います。

飲食業界を応援したい。そんな気持ちのもと、ダイニーは単なる注文ツールではなく、飲食業で楽しく働ける仕組みづくりや収入アップに貢献し、社会的地位の向上を目指します。

(取材=大関 まなみ)

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