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浜倉的商店製作所と三井不動産による話題の商業施設「渋谷横丁」開業秘話【vol.2】三井不動産 伊藤 彩氏

三井不動産と浜倉的商店製作所という異色のコラボで誕生した「渋谷横丁」。24時間営業、全店舗直営など型破りな施設づくりで話題となり、コロナ禍でも類を見ない大ヒットとなっている。実は同施設は20代の若手社員の提案から始まったものだという。vol.1の浜倉的商店製作所・浜倉好宣氏インタビューに続き、vol.2では「渋谷横丁」を担当した三井不動産の伊藤 彩氏を直撃。大手デベロッパーから見た「渋谷横丁」とは?コロナ禍を経て、これからの商業施設はどうあるべきか?そのヒントが隠されている。


※vol.1はこちら
浜倉的商店製作所と三井不動産による話題の商業施設「渋谷横丁」開業秘話【vol.1】浜倉的商店製作所 代表・浜倉好宣氏

再開発が進む渋谷で「他と同じことをやるのはつまらない」


(三井不動産 商業施設営業三部 営業グループ伊藤 彩氏)

―伊藤さんのこれまでの経歴は?

2010年、新卒でサッポロビールに入社し、主に飲食店営業をしていました。そこでは3年ほど勤務したのち、三井不動産へ転職。「三井ショッピングパーク ららぽーと」をはじめ、商業施設のリーシングなどを担当しており、今は入社8年目となります。

―「渋谷横丁」を提案した経緯は?

「渋谷横丁」のあるMIYASHITA PARKは、2015年の計画スタート時から携わっていました。チーム内で「どのような施設にしようか?」と案を出す中で、浜倉的商店製作所に横丁をやってもらうのはどうか?と提案しました。

浜倉的商店製作所の浜倉社長とは、サッポロビール勤務の時からのお付き合いでした。施設ができる土地を見て、「恵比寿横丁」が浮かんだんです。前職のサッポロビールの本社がある恵比寿ガーデンプレイスからも近く、同じ部署の先輩が「恵比寿横丁」の担当だったので馴染みがあった。今でこそこのような横丁は増えましたが、当時はまだ少なく、昔ながらの商店街を生かして若い人が夜な夜な集まるパワースポットを作り上げたことは非常に興味深く思っていました。

「渋谷横丁」の場所は明治通りから1本奥に入ったところにある。通り沿いの部分についてはブランドショップが立ち並ぶのはイメージしやすかったのですが、この奥に入った部分をどうしようか、となりました。そこで、表ではなく少し隠れたこの場所でこそ、人々が楽しめる横丁になるのではと思ったんです。しかも、全長100mの道に沿った細長い形状。これはまさに横丁にぴったりだと感じました。さらに、すぐ近くに昔ながらのリアルな横丁、「のんべい横丁」がある。そこは再開発の対象とならずそのまま残るということで、新旧の横丁を共存させるのも面白いなと。

―チームの反応は?

MIYASHITA PARKのチームは比較的年次の若いメンバーが多く、「再開発が進む渋谷ではさまざまなビルや商業施設ができている。その中で他と同じことをやるのはつまらないよね」というのが共通認識。これまでにない、インパクトあるものを打ち出したいと思っていました。その点では、商業施設にはない手法を多用した浜倉的商店製作所の横丁は合致していました。

―横丁を提案した際の浜倉社長の反応は?

先ほど述べた理由とともに、浜倉社長に横丁計画を提案したところ、一言目は「うちで大丈夫?」でした(笑)。当社と浜倉的商店製作所では店づくりの手法や文化が大きく異なると懸念があったようですが、私としては本気で横丁をやっていただきたかった。この場所で横丁をやる魅力や意義を説明するうちご理解いただき、計画がスタートすることになりました。

―計画を進めるうえで大変だったことは?

社内でのイメージ共有にはしっかりと時間をかけました。広いスペースに複数店舗が入る、というと、当時流行りだしたフードホールや、サンセバスチャンのようなバル街のように思われがちでしたが、そうではなく、表現したいのは、浜倉的商店製作所らしいごちゃっとしたカオスな雰囲気。整然とした商業施設とは少し違う、今までにやったことのないタイプの施設を目指していたので、そのすり合わせは丁寧に行いました。

また、計画を進めるうえで大きな変更点となったのは、当初はプロデュースをお願いする予定だったものの、結果として浜倉的商店製作所が全19テナントをすべて直営に変更したこと。フロアすべてが浜倉的商店製作所の管轄となるので、単純に不動産会社が区画を区切ってテナントを入れていくのとは進め方が大きく異なりました。横丁らしい凸凹した通路やレイアウトに合わせた各種設備の配置など……一筋縄ではいかず、一つ一つ、開発担当者がその都度、細かな調整に奔走しました。その点では、私よりも開発担当者の方が苦労したのだろうと思います。そのおかげで施設をオープンすることができたと言っても過言ではありません。

「渋谷横丁」盛況の要因は、テナントとともにイチから作り上げたこと

―オープンして間もないながら連日多くの人が訪れるスポットとなりましたが、いかがでしょうか?

コロナ禍もあり、積極的なプロモーションもせずにオープンしたので、当初はこれほどまでの多くの人に来てもらえるとは思っていませんでした。渋谷の若者が集まるスポットにしたいとは考えていましたが、そのような場所として定着するにはもう少し時間がかかると思っていました。すでに渋谷の若者が集まるスポットとして認知され始めているのは、やはり浜倉的商店製作所の直営で、横丁全体を統一したことが大きかったのではないかなと思います。全テナント直営だからこその一体感が生まれ、一つのテーマパークのような場所として訴求できたことがよかった。オープンしてからすぐにここまでの人が来るとは思っていませんでしたが、感染拡大防止の観点から座席を間引いたり、当初予定していたイベントがまだ実施できていなかったりと、本来の横丁らしさを出し切れていない部分もありますが、横丁内の賑わいや雰囲気は、当初から思っていた通りのもので、嬉しく思っています。

―世の中が目まぐるしく変わる中、今後の商業施設はどうあるべきだと考えますか?

デベロッパーがハコを用意してテナントに「入ってください」というリーシングの仕方は、改めて考えないといけない時期に来ているのかもしれません。以前は「日本初上陸」や「商業施設初」のようなキャッチコピーでお客様を呼ぶことができていましたが、それに物珍しさがなくなりつつあるように思います。「渋谷横丁」は、企画初期からテナントである浜倉的商店製作所と一緒に、イチから施設を作り上げていったことが大きな挑戦でした。これからは「コロナ禍でも行きたいと思える施設」を目指し、安全安心かつお客様に喜ばれる施設づくりをしていきたいと思います。

(取材=大関 まなみ)

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