株式会社LIVE CREATE
2011年6月9日、代表の髙瀬篤志氏を中心に、グローバルダイニング時代のメンバーと共に「東京バル Ajito」を六本木にオープンし創業。現在は、「Bistro Chick」、「Asian Cuisine A.O.C.」など、地域に根付いたハイクオリティなカジュアルレストランを六本木・麻布十番エリアで7店舗出店。「スタッフが主役の会社作り」を掲げ、正社員比率88%でスタッフ主体の権限委譲型の運営を行っていることも特徴だ。
≪過去記事≫
東京バルAjito
CUCINA ITALIANA ARIA
Grill&Pasta【es】Azabu-Juban
Bistro Chick
Asian Cuisine A.O.C.
Bistro Chick Roppongi
BISTRO CRESTA
髙瀬氏:この度、2019年9月より、LIVE CREATEでは2つの変革を行います。一つは、私に代わって専務取締役の齋藤慎之助がLIVE CREATE代表取締役社長に就任。今後は彼を中心とした新体制を敷くこととなります。私は、「Open Partner」という肩書で引き続き会社の運営に携わっていきます。
そしてもう一つが、Comodo(東京都世田谷区)とBOA(東京都港区)、2社との飲食企業とグループ化を実現し、3社を総括したLIVE CREATEグループ(以下、LCG)として体制を強化していきます。
髙瀬氏:たった7店舗でしたが、私のレストランクリエイターとしての旬は終わったということです。私が長々と居座ることで、スタッフ達の旬を逃したくないのです。
LIVE CREATEが何より大切にしてきたのは、“スタッフが主役の会社作り”ということ。スタッフには自身の能力よりも、一つ上のステージや肩書を与えて、成長の機会を与えることを方針としてきました。例えば、本来なら実力的にはまだ一般社員であるスタッフに、店長のポジションを与え、店長の仕事を任せる。そうすることで、ポジションに引っ張られて能力が引き上げられていく。「ポジションが人を育てる」、これはグローバルダイニング時代に長谷川耕造社長から学んだことでした。
私がこれまでメディアの取材で表に出ることが無かったのも、この思想に基づいています。社長としての私に取材をしたいという依頼ばかりでしたが、それらはすべて丁重にお断りしてきました。私が出るよりスタッフを表に出させる。スポットライトは経営者ではなくスタッフが浴びるものだと思っているからです。
そういう意味では、現在、専務取締役として会社を引っ張って来てくれた齋藤慎之助に、代表取締役社長という肩書を渡すのは自然なこと。代表取締役社長というポジションに引っ張られることで、彼自身に加え、会社全体のさらなる成長を期待しています。
髙瀬氏:肩書上は「Open Partner」となります。これからも引き続き、LIVE CREATEの発展に尽力します。“スタッフが主役の会社作り”として、スタッフの能力を開花させることに徹したい。気軽に相談できる、いわば「隣のお兄さん」のようなフランクで身近な存在でありたいですね。
髙瀬氏:Comodo代表の田中陽介、BOA代表の浜村鐘日はどちらとも旧知の仲。以前から「いつか一緒にやりたいね」という話はしていましたが、今回、タイミングが合い、こういった形になりました。
Comodoは、三軒茶屋の「コモードキッチン」などイタリアンを中心に4店舗を展開しています。田中代表と私は大学の同級生。それから22年来の親友です。大学4年間を過ごす中でも「将来一緒に事業をやろう」という話はしていましたが、結局、卒業後は別々の進路に進むことになり、互いに独立をしました。
浜村代表のBOAはフレンチの「MOZU」と和食の「百舌亭」の2店舗を六本木で運営しています。浜村代表はグローバルダイニングで私と同時期に在籍していたものの、当時ほとんど交流はありませんでした。私が独立してから、六本木の「東京バル Ajito」に浜村代表がよく飲みに来てくれ、その中で打ち解けていきました。
田中代表と浜村代表、2人とも経営者の能力が高く、何より長年の交流による信頼関係がある。互いに助け合い、高め合いたい。そう思ったのです。私は現在39歳で、この9月30日で40歳になる。ひとつの節目として、うまく説明できないけれど、直感的にそう思ったのです。
そして、これは単純なM&Aではありません。多くのケースでは資本での関係がなければ、両社が合意するのは難しい。ですが私達には、長年築き上げてきた信頼関係があり、こういった形でもグループとして機能していけると考えたのです。守秘義務がある為、ここでは2社の資本関係並びに契約内容は明かせませんが、2社ともに違う条件でのグルーピングです。これからも資本だけに拘ることもなく、新しい形でそれぞれの経営者に合った形でのグルーピングをしていきたいです。もしかしたら、単なる仲良しクラブに映るかもしれません。でも、仲が良いって単純に楽しいし効率が良いと思うのです……。それ以上に求めるものはないというか。正直、前例があるわけでもなく、どうなるのかわからない部分もある。でも、同時にそれは可能性も大きく広がっているということ。それを信じてやっていくつもりです。
(左/Comodo代表取締役:田中陽介氏、右/BOA代表取締役:浜村鐘日氏)
髙瀬氏:まずはLIVE CREATEで築き上げてきたノウハウを2社に落とし込みながら、2社の良い所をLIVE CREATEに増価交換をさせてもらう。他社代表2人の業態開発力も生かしながら、FCパッケージを創りたい。当社は社員比率88%でレストラン業態をやっていますが、FCパッケージはアルバイト中心で運営できるビジネスモデルにし、いずれ分社化も考えています。さらに、飲食店の事業継承やグループ統合だったり、飲食以外の業種の会社ともグループ化をしたり、別業種の会社の立ち上げなどを考えています。
“会社はスタッフが主役”と言いましたが、グループの方のLCGでは“経営者が主役”をひとつのテーマとしています。グループ化により、LIVE CREATE卒業生を含め100人規模の経営者と共に繋がりを創り、遊びながら成長する。よく「経営者は孤独」と言われます。僕はあまり感じたことはありませんが、実際に何故ソレが存在するかは理解できます。経営者達で繋がって、互いに高め合う。経営者を孤独という幻想から救う、そんなグループを築いていきたいと思います。
(LIVE CREATEではスタッフ主体の運営を実現している)
髙瀬氏:代表交代は、先ほども話したように、私の旬が終わったから。加えて、なぜこのタイミングで同時にグループ化を行ったのか、それは理論的には説明できない。直感的な部分が大きいのです。40歳を目前に、孔子の言葉にもあるように「四十にして惑わず」。そんな思いがふっと沸いてきた。この年になって、経営に必要なプライドは維持しつつも、不必要なプライドを捨てられるようになってきたこともある。そして、この2年は新規出店せずインプットに徹していましたので、その集大成として、社長交代、そしてグループ化という結果に着地したのです。
ただ、今後、飲食業界が置かれる状況はますます厳しくなることは確か。飲食業界以外のところから資金を集めることも必要になるでしょう。そうして得た資金から、私らが単体の会社だったらできなかったことも、グループになったからこそのダイナミックなクリエイト力を生かして新しいコトに取り組んでいきたいと思います。
(写真左からBOA代表 浜村氏、LIVE CREATE総料理長 岩橋亮氏、前代表 髙瀬氏、新代表 齋藤氏、Comodo代表 田中氏)
以上、大きな2つの変革を行った髙瀬氏の独占インタビューをお届けした。次回、後編では代表取締役社長に就任した齋藤慎之助氏に加え、LCG代表取締役会長に就任した総料理長の岩橋亮氏、さらにLCGとなったComodo代表の田中陽介氏、BOA代表の浜村鐘日氏それぞれのインタビューを近日中にアップ予定。代表交代&グループ化に対する彼らの胸中に迫る。乞うご期待!