参考:「すし」でも「寿司」でも「鮨」でもない「スシ」の概念。新たにすしマーケットを席捲する⁉「カタカナ系スシ酒場」
ストリート酒場の要素を取り入れたカタカナ系スシ酒場
まずはカタカナ系スシ酒場の代表格とも言えるのが、スパイスワークスが手掛けるすし酒場業態、「スシエビス」「スシンジュク」など。それらに続くカタカナシリーズとして7月オープンした「スシブヤ」は、カタカナ系スシ酒場の新境地を拓く店づくりだった。
「スシエビス」「スシンジュク」は、店頭にはネオンが光り、キャッチーなイラストや小物を散りばめ、写真映えを意識したパフォーマンス満載の「エモ酒場」のような雰囲気だった。それらが「すしを出すエモ酒場」なら、「スシブヤ」はさしずめ「すしを出すストリート酒場」だ。渋谷の立地に合わせて最先端のトレンドであるストリート酒場的な要素を取り入れている。店内は居酒屋というよりまるでカフェ。木製のテーブルやソファ、壁にはアートを飾り、BGMはおしゃれな洋楽。スタッフの髪型やタトゥーも結構自由そうで、一見するととてもすし酒場には見えない。
しかし、そんな空間に自然と馴染むユニークなすしメニューを揃え、「カフェですし」というアンマッチを見事に調和させている。例えば、「米スシ(べいスシ)」というカテゴリーがあり、この「米」とは米国の意で、アメリカで出されてるような“なんちゃってすし”をあえて再現したというもの。こうしたオリジナリティあるすしを用意しており、「カフェですしをつまむ」という体験もオツなものかもしれないと思わせてくれる。ヒット業態に満足して金太郎飴で展開するのではなく、常にトレンドを意識しながら進化させているのがスパイスワークスのすし酒場の強みだ。