“女子会”とは何か?女性同士の集まりは昔からあったはずだが、いまなぜ“女子会”なのか?かつては、“お一人様ブーム”というのがあった。時間もカネもある30代の自立した女性の行動パターンとして消費トレンドにおいて注目された。飲食の世界では、一人でホルモンを食べに行く“ホルモンヌ”が流行り、積極的に男子を追いかける“肉食女子”が実際に肉系の飲食店に出現するという現象も起きている。そうしたなかで、俄かに“女子会”ブームも巻き起こったわけだが、ある女子会主催者によると、「肉食女子であろうが、せんべろであろうが、理由はなんでもいいんです。一人ではなかなか行けないところに行き、食べたいものを食べ、できないことをやる。それが女子会です」と語る。“いまなぜ?”を問うのはナンセンス、ともかく「行動するため、欲求を満たすための理由付けの集まり」ということだろうか。
そんな女子会がマーケットにおいて、強いパワーを持ち始めた。ブログやツイッターで簡単に“集合”をかけられるようになり、女子会で行った店や料理の評価をまたブログやツイッターで発信できるために、口コミ効果も大きい。女子会がメディアにもなりつつあるのだ。女子会をターゲットにした販促・集客の動きも急だ。大手居酒屋チェーンで最初に「女子会プラン」を導入したのはモンテローザの「笑笑」。昨年11月から実施し、店によっては半数以上が女子会で埋まる月もあるという。女性限定飲み放題プランで3時間で3,300円。決め手はデザートの種類を豊富にしたことだという。モンテローザに続き、コロワイドでは無制限飲み放題の「なでしこプラン」、アスラポートダイニングではやはり3時間飲み放題の「女子会コース」を実施、大箱の店や個室を多くを抱える大手居酒屋チェーンにとっては時ならぬ“救世主”となっている。
しかし、女子会を単なる集客の手段としてのみ捉えると、危険である。彼女たちはメディアである。その口コミ効果はプラスにもマイナスにもなる。まさに“両刃の剣”であることを認識すべきだ。料理のCP度はもちろん、接客サービスに手を抜いてはならない。なぜなら、彼女たちは女子会ならではの特別扱いを期待しているからである。その半面、女子会にリピートを期待してもいけない。彼女たちは新しい情報を求めて、次から次へと店を変えていく傾向があるからだ。いずれにしても、“女子会旋風”がしばらく飲食マーケットに吹き荒れることは間違いない。それにつけても、“草食男子”たちはどこに行くのか。「酒を飲まない男子」がファストフードマーケットに影響を与えているとの見方もあるが、“男子”たちがトレンドの最前線に登場してくることはないのだろうか?
コラム
2010.05.06
“女子会ブーム”恐るべし!
20代、30代の女性同士が集まって飲み食いしたり、エステや小旅行をする女子会"が大ブームになっている。大手居酒屋チェーンはこぞって"女子会プラン"を実施、いまや外食不況下の救世主にさえなりつつある。"
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。