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コラム

「神保町バル戦争」始まる!

古本の街「神保町」におしゃれなバルや酒場が続々とオープンし始めた。いま、なぜ神保町なのか?そこには、飲食業界の仕掛人たちの激しい戦いの構図があった。その最前線の動向を探ってみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


神保町は都営半蔵門線、都営新宿線の2線が走る駅があり、白山通りや靖国通りも通るアクセスに恵まれたエリア。しかし通りを一歩入ると、路地にはいまだ昭和の面影が残っている。そんな路地裏の古い商家を改造して2010年10月オープンしたのが、「骨太ビストロ アリゴ」だった。1階は立ち飲み、2階は座敷席。たちまち人気となり、「アリゴ」は予約の取れない店として知られるようになった。この通りには昔ながらの居酒屋やレストランしかなかったが、いまや「アリゴ」の両隣には、古民家改造系のネオ大衆酒場「もつ焼き 神(じん)」とビール&ワインの一軒家「神保町バル bilbi(ビルビ)」が最近オープンした。さらに「アリゴ」の並びには、「カナディアンダイニング ウィスラーカフェ」や北越後高根の農家体験民宿「さいごもん」の直営居酒屋もオープン。いまやこの「アリゴ通り」は、ネオ系のバルや大衆酒場、居酒屋ストリートに変貌を遂げた。「アリゴ」を仕掛けた夢屋の小林研さんは、古民家の個性を活かした独自な業態の店作りを続けてきた。神保町では、一軒家の味噌居酒屋「カギロイ」も運営。その小林さんが言う。「『アリゴ』の通りは、もう隠れ家じゃなくなったですね(笑)。神保町は出版社や古本屋がたくさんあり、知識の高い方が行き来される街なんです。にもかかわらず、飲食店は少なかったし、ワインの店なんてほとんどなかった。それで『アリゴ』をつくったんです。神保町は、恵比寿なんかよりも、いまやハイセンスな街ですよ」。「アリゴ」とは神保町交差点を挟んで対角線上の路地裏には、今年3月、虎ノ門でブレークした「クラフトビアマーケット」がオープンした。知識層には絶大なファンが多いクラフトビール。ここは30タップ、グラス480円均一を打ち出した“ビアバル”業態。神保町でもたちまち人気となった。オーナーは「ギョバー」グループのアイディ出身、ステディワークスの田中徹さん。クラフトビール業界の若き仕掛人の一人だ。その田中さんの神保町への殴り込みに、夢屋の小林さんはすかさず“迎撃”に出た。白山通りを挟むエリア、最近タワーマンションとオフィスビルが建った好立地に、やはり古民家を改造した2階建て一軒家の“スパイスフレンチ”をテーマにした「バル・マラケシュ」をオープンした。1階はキッチンを囲んだコの字型のスタンディングカウンター席。2階は天井の半分をブチ抜いたテーブル席。カウンター席の上は吹き抜けとなったクールな空間。「クラフトビアマーケット神保町店」も1階が吹き抜け、2階のロフトは全国のブリュワリーから届くビールのタンクが並べてある。空間でも負けていないという心意気。空間といえば、かつて西麻布のバーシーンをつくった空間プロデューサーの角章さんも神保町マーケットに参戦。「アリゴ」の奥に、“バーベキューバル”をコンセプトにした2階建ての「GAKUYA」を11月20日オープンした。建築界の大物の登場で、“神保町バル戦争”はさらにヒートアップしそうだ。

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