中国料理の老舗として名高い企業が、斬新な中国料理業態「スイーツ&シノワ、ピーチジャスミン」を吉祥寺パルコにオープンした。“体に優しい中華とパティシエの手作りのスイーツが楽しめる”をコンセプトに、90分1890円のバイキングスタイル。いままでにはない新しいスタイルの中国料理業態だ。“きちんとシノワごはん”をうたう中国料理は常に約15種類ほど。本格的なスイーツショップなみにケースには一度にいくつも楽しめるように一口サイズにしたスイーツが並ぶ。環境もおしゃれなカフェのようであり、これまでの古典的な中国料理業態を連想させない。プロデュースはなんと株式会社銀座アスター。銀座アスターは昨年、カジュアル業態「プティシーヌ町田」、健康、美容を意識したスタイリッシュ業態「ベルシーヌ池袋」といった女性がターゲットの百貨店で、新しいスタンスを展開している。大胆で斬新な発想が、日本スタイルの本格中国料理業態を築いた企業らしいともいえる。中国料理業態のネクストファン世代獲得に向け、若い女性に向けたスタンスに注目である。青山におしゃれなモダン中国料理業態がオープンした「JADE Dining(ジェイドダイニング)」。運営は大手飲食企業のジローレストランシステム株式会社。ショップコンセプトは“中国料理とワインの新しいマリアージュ”。和洋のテイストも取り入れた創作メニューもライナップされる、あっさりとしながらもコクのある中国料理と、スパークリングやロゼも揃えた、ワインで楽しむ、モダンシノワスタイルを提案している。広がるワイン志向を捉えた業態ともいえる。環境もモダンアンティークな雰囲気で、カジュアルダイニングらしさを演出している。同じく大手飲食企業、株式会社ラムラが市ヶ谷にオープンさせた新業態「CAINA包菜酒 上海ブギ」。ラムラグループはすでにブランド中国料理業態「過門香」を展開しているが、「上海ブギ」はさらに、デイリー性を意識したカジュアル中国料理業態となる。点心、麺類、一品料理などがバランスよく構成され、目的に応じた使いこなしができる。「ChinaBistro青蓮」(田町)は、中国出身のオーナーの株式会社ベビーピュアが運営。「青蓮」ブランドですでに横浜、川崎、都内などで24店舗。田町店で25店舗目となる。調味料、着色料、保存料を一切使わず、油分や塩分を控えめにしたヘルシー志向の本場仕込みの中国料理がこだわりだ。主に複合施設ビルに出店し、デイリー機能な居酒屋ポジションとしての、独自的なスタンスがユニークだ。「神田Chinese Restaurant HIRO(チャイニーズレストランヒロ)」は銀座の高級店「ジョーズシャンハイ」の湯浅総料理長がプロデュース。湯浅氏は「キハチチャイナ銀座」「築紫楼日本橋」といった有名店でも料理長や福料理長を経て、スキルアップを重ねた名シェフとして名高い。そんな超一流シェフのエッセンスをリーズナブル楽しめる付加価値性の高いカジュアル業態だ。チャイニーズ業態は、料理自体が個性的なだけに、なかなかニューコンテンツの成立が難しいといえるが、成功すればインパクトは強く、マーケットへの影響も大きいといえる。
コラム
2012.10.17
「チャイニーズ業態」に進化の兆し!
進化の激しい飲食業態の中で、なかなか新しいウェーブが起きない「チャイニーズ業態」。逆に言えば、これから進化の可能性が大きいといえる。そんな新しいスタンスや、スタイルの中国料理業態の動きに注目してみた。
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。