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コラム

「居酒屋甲子園」私論

3月13日、横浜パシフィコで第2回の「居酒屋甲子園」決勝大会が開催され、5,000人の参加者を集めて盛況だったという。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


その煽りなのだろうか、筆者は当日、東京ビッグサイトのフード・ケータリングショーとホテル・レストランショーにいたが、初日にもかかわらず人の入 りが少なかった印象である。あちこちのブースで「今年は少ないねぇ」とこぼす声が聞こえたぐらいだから、“居酒屋甲子園効果”が少なからず影を落としたに 違いない。14日の「朝日新聞」の「ひと」欄には主催者の大嶋啓介氏が取り上げられ、まさに“飲食業界のカーネギー”扱いである。 いま大嶋氏や居酒屋甲子園のあり方に対する批評をするものなら、業界から袋叩きに遭いかねない。それを覚悟で、敢えて書く。サイレントマジョリティ とは言わないが、あくまで“私論”として読んでほしい(もともと、この欄は筆者のつぶやきにすぎない)。たしかに、居酒屋甲子園の“観客動員力”は凄い。 それは大嶋氏のカリスマ性とリーダーシップ力に拠るところが大きいだろう。しかし、その仕掛けのカラクリはMLMビジネスの表彰式で使われるマインド・コ ントロールの手法となんら変わるところがないのではないか。「自己愛」「家族愛」を掻き立て、“泣かせの演出”をする。観客はショーのクライマックスで一 種の宗教的トランス状態になる。 それを祭りと割り切れば罪はないが、こうした宗教的熱狂に大手企業、上場企業がこぞってコミットするのはいかがなものか。宗教的なる価値をスタン ダードにしてよいのか。参加した弊社の新人スタッフの感想と意見。「ボスは来てないからわからないかも知れないけど、勉強になりました。居酒屋のレベル アップ、モチベーションアップにはめちゃめちゃ貢献してます。しかし、真の居酒屋日本一を決める場ではありませんね。自己顕示欲、自己満足の世界でがっか りした部分もありました」。優勝の決め手になった台詞は今年も「生んでくれてありがとう」だった。武田信玄のように、子供は親を憎み、超えていく生き方も ある。「お客さんありがとう」でいいではないか。

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