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コラム

丸の内VS八重洲OL争奪戦”の行方”

11月6日に鳴り物入りでオープンした大丸東京新店。老百貨店連合"松坂屋と経営統合した新生J.フロントリテイリング初の大型プロジェクトだけあって、業界の注目を集めている。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


驚かされたのは、新宿伊勢丹もびっくりの大丸東京新店1 階に出現したスイーツ売り場。パリ発海外初出店となる「ボワシエ」はじめ、内外から50ブランドが出店した。これには丸の内OLも敏感で、オープン初日の 夕刻には丸の内側から八重洲側に“OL大移動”が起きたという。12~13階のレストラン街も賑わった。テナントの顔ぶれについてはあまりコメントするこ とはない(丸の内P.C.Mの系列として期待していたB,C.Tにもがっかり)が、13階のXEX TOKYOの夜景は面白い。東京駅を挟んで丸の内の高層ビル群が見渡せる。言ってみれば“丸の内VS八重洲”の空中戦が展開されているのだ。 しかし、本当の戦いは地下で展開されることになろう。大丸が入った「GranTokyo North Tower(ノースタワー)」と「GranTokyo South Tower(サウスタワー)」とつなぐのは、2013年春にできる地上の店舗・歩行者デッキ「グランルーフ」までは地下しかない。丸の内に本当に対抗できるのは、この地下の回遊性を高められてこそである。その点、サウスタワーにわざわざ行く動機付けとしては今回のサウスタワー地下「GranAge(グランアージュ)」のテナントが弱い。隣のPCPビルの既存店(旧アージュ)と合わせて新商業施設と打ち出したものの、パンチ力不足は否めない。運営は鉄道会館。エキナカでは「キッチンストリート」「黒塀横丁」をヒットさせ、10月25日には「GranSta」をオープンさせ話題を呼んだ。その勢いがここまでは及んでこない。 そうなると、今後八重洲を引っ張るパワーはノースタワーとサウスタワーを地下でつなぐ八重洲地下街が 担うことになる。この地下街を運営するのは大丸とヤンマーの共同出資会社の株式会社八重洲地下街。これまでも深く静かにテナントの入れ替えなど、高感度消 費者ターゲットのレストラン誘致を行なってきたが、今後思い切った環境デザインの変更などを行なってほしいものだ。八重洲地下街が変われば、八重洲周辺の 街場も盛り上がることになる。地上での“丸の内VS八重洲戦争”の“漁夫の利”をテコに、八重洲地下街の大胆な開発を期待したい。

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