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コラム

飲食業界に赤船”襲来!”

日本の近代は明治維新のきっかけとなった黒船襲来"から始まったが、飲食業界に"赤船"すなわち赤い表紙の『ミシュランガイド東京』が襲来する。その衝撃と"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


アジア初、世界で22番目となる『ミシュランガイド東京』が 11月22日、ついに発売されることになった。飲食業界では、その赤い表紙から“赤船襲来”と騒いでいる。11月19日15:00、東京国際フォーラムで 記者会見があり、そこで“星”のつくレストラン名が発表される。その後、プレスパーティーが行なわれるが、日本中のメディアの取材が殺到し、会場は大混乱 が予想されている。パーティー会場には、“星”を獲得したレストランのオーナーたちが招待されるというから、来週のメディアと飲食業界はまさに“ミシュラ ン・ウィーク”となるだろう。 「どこに星が」という予測は、すでに多くのメディアが報じているが、おおかたの見方では“フランス寄り”の視点の偏りが出るに違いないと言われてい る。東京レストランマーケットでは、いまフレンチ、とくに星を求めるような店は、一部の富裕層やグルメを除き、敬遠されている。むしろ、星とは無縁のビス トロや軽いフレンチスタイルがトレンドである。その意味では、今回の『ミシュランガイド東京』がもたらす最大の効果は「東京フランス料理界」の再生を促す 呼び水と言えるかもしれない。一時的にせよ、フランス料理界は活気付き、集客に悩む客単価の高いフレンチレストランは元気を取り戻すだろう。 とは言え、“星”が付かなくても、ミシュランガイドに掲載されるだけで人気店の仲間入りになるのが、これまでの各国での通例。『ザガットサーベイ』 とは及びもつかなほど影響力があることは確かだ。私は個人的には“星”よりも、フォークとスプーンのマークで五段階評価される「施設の外観や内装、手入れ の行き届いた店内か、サービス、雰囲気など快適さ」の基準、そして新しい価値として登場したキャラクター“ビブ・グルマン”の「コストパフォーマンスの高 い、快適な店」にどこが選ばれるか、である。そして、かつて“恨ミシュラン”があったように、“選ばれなかった店”のルサンチマンがどんな形で出てくるか といこと。すでに、業界随一の辛口ブログ「TOMOSATO-BLOG」では激しい問題提起が繰り広げられている。“赤船”は文字通り“赤い血”を呼ぶ衝撃を業界に及ぼすのだろうか。飲食業界が“嫉妬と怨嗟の海”に染まることを怖れるのである。

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