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コラム

ニューチェーン大M&A時代”の読み方”

このところ、新興外食企業の間で、M&Aの動きが活発になってきた。店舗物件が逼迫し、人材確保も困難な時代。それは、ニューリーダーの覇権を争う熾烈な競争の始まりでもある。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


外食企業をめぐる“M&A”の動きが活発になったのは2005年。名古屋のベンチャー、ジー・コミュニケーションが突如、いろんな企業を傘 下に収めた。それまでは、コロワイドやゼンショーといった企業が主役だった。これらの動きはどちらかといえば、企業そのものの拡大、再構築が目的だったと いえる。それに比べ、今回の新興外食企業(私は“ニューチェーン”と呼んでいる)によるM&Aの動きは、目的が明確。ゼロから新規出店するリスク を取るよりも、立地・物件(とくに東京23区内)、業態、人材などをスピーディーに手に入れることができるからだ。 今年に入ってからその動きが急に活発化。一六堂が池袋(8店舗)を中心に居酒屋を17店舗展開しているデイ・マックスを買収(3月6日発表)、6月6日にはダイヤモンドダイニングが西新宿に7店舗ドミナント展開しているサンプール買収を発表した。また、6月17日、三光マーケティングフーズが「周之家」(都内6店舗)を展開しているアジアンエイト買収を発表した。「周之家」については、先行して一部のサブリース業者が個別物件のリーシング交渉を始めていただけに、「土壇場のドンデン返し」(関係筋)の動きに業界が騒然としている。 このほか、やはり17日、関門海が小田原を本拠とする回転寿司チェーン、だいもん買収を発表した。こちらは、物件、人材というよりも、「食材調達力・技術開発力の向上」を目的としている。さらに、最新の『会社四季報』によると、アスラポートダイニングが 40店舗展開する外食企業を買収するという動きもある。いずれにしても、このように、最近のM&Aの主役に躍り出てきたのが、数年前まで外食を 引っ張ってきたワタミや大庄ではなく、ニューチェーンであることに注目すべきだ。ニューチェーンの間で、ワタミ、大庄の次の時代のリーディングカンパニー を争う戦いが始まっているという見方もできよう。

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