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コラム

三つのニューオープンに感じた新しい風””

世相を映してか、飲食業界はM&Aや居抜き物件サブリースなど、露骨な利益追求型のビジネスモデルが花盛りだが、飲食業の原点"を思い起こされそうな三つの開店物語に出会った。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


“飲食業の原点”とは何か。それは、「いい店をつくることへの熱意であり、お客さんを喜ばせることへの熱情」である。そして、いい店をつくる人に は、“ビジネスDNA”とは異なる“飲食DNA”がある。数々のニューオープンに立ち会ってきたが、最近、「これは原点だなぁ」というケースが三つある。 私はそこに、爽やかだがとても熱い“新しい風”を感じた。 まず、埼京線渋谷駅ホームからよく見えるお洒落なカフェ渋谷桜丘の「カフェ マーブル」の上に5月19日オープンした「HI.SCORE Kitchen(ハイ・スコア キッチン)」。女性シェフ、杉山コニーさんが作る有機野菜、ブランド肉などの厳選した素材を使ったスローフードレストラン。オーナーはIT業界のカリスマ若手社長、ペーパーボーイ の家入一真さん (29歳)。あのホリエモンさんからも事業買収をもちかけられた話題の人。いまGMOグループ入りし、事業拡大を続けている。 そんな家入さんがレストランを始めた理由はこうだ。「福岡の実家の母が喫茶店やっていて、小さな頃から飲食の商売見てきていたから。いつかやってみ たいな…と思っていたんです。会社が100人ぐらいの社員の規模になってきて、社員たちが気軽に通えて、楽しめる店があったらな、と思って、小さい頃の夢 がまた膨らんできたんです」。社員や家入さんのクリエーター仲間たちが集まって楽しんでもらえれば…そんな純粋な気持ちが動機になっている。家入さんは 「毎朝、物件情報を見るのが楽しみになってきました」と展開も考えている様子。母親から受け継いだ“飲食DNA”が開花する日も近い? 二人目は、7月2日に中目黒で焼肉「Beef Kitchen」 をオープンする株式会社SAMIRAIの大矢貴博さん。大矢さんは金沢の有名料亭で修行し後、東京に出てグルーバルダイニングなどを経て独立、同社出身者 など“8人のサムライ”を引き連れて初めて自分の店を出す。“飲食DNA”を発散しまくる大矢さんのもとにすぐに仲間が集まった。「みんな給料なんて関係 ない、いい店をつくりたい。その気持ちを共有してます」と大矢さん。店舗デザインは、湘南の海で偶然出会ったというアパレル界ではカリスマ的な人気を誇る スーパークリエーター、「プレイフォード」 のユアン・レイさん。ユアンさんも大矢さんに情熱に惚れ、ビジネス抜きで引き受けたという。どんな店になるか、久々にワクワクさせられるオープンである。 最後は、Fujico.Partyの松崎陽子さんが7月1日に恵比寿の超隠れ家立地にオープンする「恵比寿集合!九州男とうまかもん。わさび」。 松崎さんは創コーポレーションを創業から支え、恵比寿進出を成功させた立役者。恵比寿東口五差路にある「肴や総本店」(80坪)は日商80万円を売る繁盛 店だ。今年春に独立し、恵比寿で物件を探していた。そして出会ったのが、「蟻月」のさらに奥の隠れ家一軒家。2階建ての小さな箱だが、1階を九州出身の料 理人・古川雄一さんに任せ、自らは2階で完全予約制のプライベートルームを運営する。店のタイトル「恵比寿集合!」にもあるように、松崎さんは大の恵比寿 好き。「恵比寿が好きだから飲食をやる。飲食をやるなら恵比寿しかない」と言う。それだけ街を愛することができれば、必ずや街から助けられるに違いない。 飲食、街への愛情たっぷりの小さな店、応援したい。

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