日本酒好きが集まる五反田の「酒場 それがし」の2号店「鳥料理 それがし」が5月27日、同じく五反田の目黒川沿いにオープンした。運営は、JO(ジョー、東京都品川区、代表取締役:尾山淳氏)。「会食、接待、デート向け」と切り口を変えた2号店。しっとりと落ち着いた空間で、ゆっくり美酒美食のひとときを過ごせる店内。カウンターがメインとなり、奥には個室。窓際のテーブル席からは目黒川沿いの桜並木が眺められる。 尾山氏は、居酒屋のアルバイトをきかっけに、カリフォルニアレストラン、レストラン・バー、和食、焼き肉と多種多様な業態を経験してきた。焼き肉店に関しては、企画から立ち上げまで行ない、独立するための経営をも学んだ。20代にヨーロッパへ旅をしたとき、欧米人の自国に対する愛、誇り高く生きているその姿に感銘を受けたと振り返る。「自分の国が一番だ」と思っている欧米人が格好よくみえた。「日本にだって他国に誇れる文化がある。自分も自国のもので勝負したい」と思ったとき、頭に浮かんだのが日本酒だった。 1号店の客から、「個室があったら接待で使えるのに」と何度となく言われた。考えてみると、オフィス需要が高いエリアでありながら、接待向けの店が少ないことに気がついた。そんな願いを叶えるべく誕生したのが「鳥料理 それがし」だ。1号店同様、純米酒にこだわる。さらに料理にもこだわり、会席仕立ての鳥料理を合わせる。料理を担当するのは、アラブの富豪のプライベートシェフを務めたことのある、日本料理人の大久保富士夫氏。鳥料理を日本料理の技術で楽しませる新たな試みだ。 “鳥三昧で幸せ三昧”をコンセプトとする同店のメニューは、6000円、4800円のコースとアラカルトで構成される。6000円の「初代 それがしコース」は、先付から、前菜盛、造り、焼物、サラダ、揚物、蒸し物、煮込、珍味盛、〆まで、鳥三昧で25種類の料理が会席仕立てで出てくる。〆と甘味は、それぞれ好きなものが選べる。5種ある甘味は、「お好きなだけどうぞ」とスウィーツ好きの別腹をも満たしてくれる。ドリンクは、コースを注文した場合、店内にある常時30-40種の日本酒を、すべて500円(150ml)で注文することが可能と、かなりお得な価格設定となる。1号店で好評の「コース注文者の+1500円のおまかせ日本酒10種」も客のリクエストにより対応可能という。今後、代替わりするコースメニューは、どこまで楽しませてくれるのか目が離せない。 「ひとりでも多くの人に日本酒を飲んでもらいたい。どうしたら、多くの人に日本酒を飲んでもらえるか」との想いから、蔵元にプレゼンし完成した日本酒「英雄(ひでお)」。「英雄(えいゆう)=ヒーロー」、日本酒会のヒーローになって欲しいと想いを込めて名付けた。アルコール度数は11%と低め、甘さスッキリのにごり酒は、口当たりが良く、飲みやすい。まるで、若者たちに人気のマッコリのようだ。日本酒が飲めない人でも飲めるようにと、味の設計から瓶の色やラベルまで、こだわり抜いた完全オリジナル。「若い世代の初めての日本酒の座を“英雄”で奪いたい」と照れながら話す尾山氏。現在はそれがしでしか飲めないが、今後はマーケットの展開も考えている。 「誰もやっていないことこそチャンス。当たり前のことをまじめにやるだけです。来年中にもう1店舗出店を考えています」とまっすぐな目で語る尾山氏。当たり前のことこそ、やらなければ結果は出ない。他店との違いを伝えることができなければ、価格でしか勝負はできなくなる。「心地よい時間をここへ来て過ごして欲しいから、モノではなくコトを売る」という。「なぜ?」と疑問符を持つことが、新しいビジネスチャンスを見出して行くのかもしれない。日本酒初心者にも満足を与え、接待需要にも答える同店で、鳥料理と日本酒のマリアージュを心置きなく楽しみ、日本酒に寄り添う人が増えていく予感がする。まさに、モノが溢れている現代だからこそ、単なるモノそのものを売るのではなく、モノを通じてどんな体験を与えられるかで価値を生むことができるのだろう。
店舗データ
店名 | 鳥料理 それがし |
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住所 | 東京都品川区西五反田2-15-11 2F |
アクセス | JR五反田駅より徒歩4分 |
電話 | 03-3495-1129 |
営業時間 | 18:00〜25:00 |
定休日 | ※6月は無休、 7月より日曜日(月曜日が祝日の場合は月曜日) |
坪数客数 | 17坪・28席 |
客単価 | 7000円 |
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