グローバルダイニング卒業生の大林芳彰氏は、昨年の6月1日、西池袋に独立1号店となるオリエンタルビストロ「AGALICO(アガリコ)」をオープンした。好立地とは言えない場所ながら、客足は途絶えることなく連夜満席が続き、その半年後の12月1日、都内の中心地から少し外れた北千住に、2号店「AGALICO 1/3」を出店。さらにそれから半年、今度は中野駅近くに3号店の「AGALICO Talart」を6月21日オープンする。独立から早1年で3店舗のスピード出店に、業界内でも既に注目度が高まっている。
中野の駅近といっても、飲食店が密集する北口ではなく、南口の物件を選んだ大林氏。ワイン業態はおろか、飲み食いできる店はほぼ皆無といっていいほど静かな場所だ。西池袋、北千住に続くディープなエリアで、既存店同様にオリエンタルビストロ業態に挑むというが、その心はいかに……。「立地なら、栄えている出口とは反対側を攻めるとか、トレンドであるワイン業態の中でも、ヨーロッパではなくオリエンタルにするとか……。王道からは少し外れた“ニッチ感”を出して挑戦することが、僕なりの個性なんです」と大林氏。この“ハズシのテクニック”が他店との差別化であり、客を惹きつける魅力なのだろう。駅から徒歩1分、半地下20坪の店内には、カウンターとテーブル席が並ぶ。開放感のある1号店とは対照的だが、密着度が高く外が見えにくいことで「AGALICO」の世界観を存分に打ち出せる要素を多く備えている。
今回、敢えてテーマを挙げるなら“ベジニック”だそうで、これは文字通り“ベジタブル+エスニックな料理”のことを指す。お馴染み、花里農園の野菜を使ってヘルシーなエスニック料理を打ち出そうと考えている。なかでも目玉は、生け花のようにきれいに盛られた「バーニャカウダ」(800円)。見た目にも美しく、旬の美味しさをダイレクトに味わえる一品。そのほか、焼く・蒸す・揚げるといった、それぞれの調理法で季節の野菜が食べられるので、火入れの違いによる味わいの変化も期待でき、美味しさの幅、選ぶ楽しさも提供できる。そのほか、蒸し系料理にもこだわって、「ショウロンポウ」や「トリュフ入り シュウマイ」なども登場するようだ。さらに、北京ダックのように皮をパリっと仕上げた屋台風「ローストダック」や、口の中で肉汁が弾けるジューシーな「爆汁自家製 鶏肉のソーセージ」など、いずれも、食べごたえがありながら、エキゾチックさを添えたカジュアルでヘルシーなメニューが並ぶ。
アルコールでは、2500円均一のボトルワインに始まり、“JAPANクオリティ”の国産ワイン、3000~5000円台の“ちょっといいワイン”からシャンパンまで、幅広く取り揃えている。このほか、マッコリを凍らせた「シャーベットマッコリ」や「フローズンマルガリータ」、ライチ・ジンジャー・ジャスミンの「モヒート」、さらには、「白ワインスカッシュ」といったオレンジ・グレープフルーツ・パイナップルのフレッシュジュースを加え、アレンジを効かせた、カクテル系アルコールにも趣向を凝らしている。
「池袋や北千住もそうですが、中野は地域性がとても高い場所です。中野の人は、みんな中野にある店に通うんです。そういう人達に愛される店になりたいですね」と、大林氏。「特に南口には、僕の知るところでワイン業態は1軒。飲食店もほとんどないので、北口で飲んでいる人達を、南側へ引き寄せられるような存在になれたらと思います」と、続けた。店名にあるタラートとは、「市場」という意味だそう。いつも活気に溢れ、多くの人で賑わうような場所を目指し、これからも大林氏の挑戦は続く。未だ飲食未開拓地の中野駅南口でどのように展開していくのか、その手腕に期待が集まりそうだ。
店舗データ
店名 | オリエンタルビストロ AGALICO Talart(アガリコ タラート) |
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住所 | 東京都中野区中野3-37-9 |
アクセス | JR・地下鉄中野駅南口より徒歩1分 |
電話 | 03-6382-5460 |
営業時間 | 18:00~翌6:00 |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 20坪 38席 |
客単価 | 2300円 |
運営会社 | 株式会社Big.Belly |
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