JR線が乗り入れる大森駅東口の線路沿いに「Wine Café Omori 別邸(ワインカフェ大森)」(運営:ワインカフェカンパニー、代表:東浦眞也氏)が、2011年10月28日オープンした。大森駅は、乗り換えのない単独駅としては、乗車人員数の多さで1位を誇る駅。駅前は昔ながらの商店街が広がり、チェーン店の参入も多い。住宅地とビジネス街が混在しており、地元住民及び就労者をターゲットにできる場所だ。同社は2011年3月に、大森駅東口駅前のビルの7階で「Wine Café Omori」をオープン。「Wine Café Omori 別邸」は2店舗目となる。店名こそ同じだが、1店舗目はワインを、2店舗目はワインと料理をそれぞれメインに据え、2店舗間での差別化を図った。 大森で2店舗を経営する、代表の東浦氏は出店立地の条件を「好立地、悪条件」と断言する。最近では悪立地でも料理やサービスで集客する開業方法を採る経営者も多い中、東浦氏はその逆を行く。「特に2店舗目はカジュアルにワインを楽しんでもらいたいので、こういう業態こそ駅に近い好立地を条件にした方が良いと考えています」と東浦氏。例えば1店舗目は駅前でこそあるが、ビルの7階と目立たない悪条件の場所にある。一見客は来づらい場所ながら、オープンから1年も経たない間に常連客を多く獲得できている。この条件の悪さを味方につけ、今では“知る人ぞ知る”店として、役員クラスの会社員などの良質な客層を集客しているという。また、上階であることで家賃は安く済み、ランニングコストを抑えることで高い利益率を確保できるメリットもある。 さらに東浦氏の開業方法は“低投資開業”が基本。「低投資で早期回収できなければ、スタッフに負担がかかる」(東浦氏)ため、1店舗目はカウンターを自作し、什器はリサイクルショップで安く購入、初期投資をわずか150万円に抑えた。今回の「Wine Café Omori 別邸」は完全居抜きでの開業で、初期費用200万円弱。工事は店頭とカウンター程度で、ほぼ前店のまま。3階建ての一棟ビルは元カフェ。内装がきれいであったことと、業態が近かったためそのまま使用することができた。 売りの料理はスペインタパスの定番である「アヒージョ」。こだわりは、オイルと提供方法。ひと手間かけたオイルは、あらかじめニンニクやベーコンなどを漬込み旨味を凝縮させた。バケットやクラッカーと一緒に食べられるように、オイルの量は多めでサーブする。エビやマッシュルームと言った具材と、皿の底にたまったニンニクやベーコンをバケットに乗せて食すのが一般的だが、それでも余る程のオイルは、頃合いを見計らってスタッフがいったん下げる。そこにペンネを加え、ペペロンチーノとして再度提供するのだ。アヒージョがパスタに変身するという、2度美味しい一品は580円とリーズナブル。種類も「蛸と里芋のアヒージョ」「ツブ貝とジャガイモのアヒージョ」「生ハムとマッシュルームのアヒージョ」(各580円)と、さまざま楽しめるのも魅力の一つだ。 カジュアルに楽しんでもらうことをコンセプトに厳選したワインは、常時約20種類を用意。赤・白すべてのボトルが2480円(ハウスワインのみ1980円)と、均一価格での提供でカジュアルさを打ち出す。女性ソムリエが、自分たちの目で選び客に勧めたいと思ったワインを、3ヵ月に一度は入れ替える予定だという。「最近は、ワインリストをデジカメで撮っていかれるお客様が多いです。後でネットで調べるんでしょうね。そうすると、どんなワインでどのくらいの価格なのか、果たしてこの店で飲むワインはお得なのか一発で分かります。お客様のレベルが上がっている以上、それに私たちも合わせていかなければ、選ばれる店になれないと思うんです。それが、一品で2度美味しいアヒージョであったり、価格を抑えたカジュアルワインであったり。そのためにスタッフには常に『お客様にもう一度来てもらうためにするべきことは何か』を意識させています」と東浦氏は話す。 オープンから3ヵ月。1店舗目にはいなかった、若年層の客がついてきているという「Wine Café Omori 別邸」。目標は3年で5店舗にすること。早ければ今年の春~夏にかけてもう1店舗をつくりたいと意気込む。また、プロデュースやライセンス事業も視野にいれ、直営店舗とは別に年内5店舗の新規出店を目標にすると、東浦氏の志は高い。
店舗データ
店名 | Wine Café Omori 別邸(ワインカフェ大森) |
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住所 | 東京都大田区大森北1-7-2 |
アクセス | 京浜東北線大森駅より徒歩1分 |
電話 | 03-6404-9146 |
営業時間 | 17:00〜24:00 |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 21坪・26席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社ワインカフェカンパニー |