飲食店のQSCならぬデリバリーの“QSSC”とは?
では、具体的に1000万円を売る方法についてお話していきます。デリバリーのキモになるキーワードとして、私が提唱したいのが「QSSC」。飲食店経営の基本と言われる「QSC(Q:Quality、S:Service、C:Cleanness)」という用語がありますが、デリバリーの場合はQ:Quality、S:Service、S:Speed、C:Cleannessとなります。「Speed」が加わったほか、「Quality」「Service」については、イートインでのそれとは別物であると認識しなくてはなりません。
まずQ=Quality、商品の品質について、デリバリーで注意すべきなのは、「できたて」のクオリティではなく、配達後のおおよそ30分後のクオリティ。キッチンで完成時に100点になる料理を出すのではなく、約30分後に100点になる料理を出さなくてはなりません。当社では「30分後も美味しい」を主眼に置いた商品開発を行っています。例えば当社の唐揚げ業態「東京からあげ専門店あげたて」では、鶏肉のつけだれ、揚げ粉など保温性を考えた配合で、時間が経っても冷めにくく、やわらかでジューシーな唐揚げに仕上げています。包材も様々なものを試し、熱が逃げにくく、湿気や油シミなどを考慮したオリジナルのものを「東京からあげ専門店あげたて」専用に開発しました。
S=Service、接客面ですが、イートインのサービスと異なるのは“顔の見えないお客様”へのサービスを考えるべきということ。イートインと併用でデリバリーを営業していると、現場ではつい目の前にいるイートインのお客様を優先したくなる。ピークタイムに商品を取りに来たドライバーを雑に扱ったりする光景もしばしば見かけます。ただし、目に見えないだけでその先には料理を楽しみにしているお客様の存在がある。どちらのお客様も平等ですし、お客様だけでなく「ドライバーに対する接客」も、結局はお客様への評価になる。加盟店には、ドラマ仕立ての研修映像を制作するなど、そういった部分の接客の教育も行っています。
S=Speed、すなわち配送されるまでのスピード、これがイートインにはないデリバリー独自の項目です。配達までが速いことは、デリバリーアプリ内で上位に表示されることに直結します。デリバリーの売上を上げるには複雑なロジックがあると思われがちなのですが、やるべきことは、実はデリバリーアプリで自店を上位表示させるだけ。販促や立地など複雑な要素が絡み合う従来の飲食店の集客戦略よりも単純明快なのです。スピードに加えて顧客評価やドライバー評価を上げることでアルゴリズムによって自然とアプリで上位表示され、売上が上がっていくようになります。いかにオーダーから素早く商品を作るかも業態開発の際に重きを置く項目です。
C=Cleanness、清潔さに関しては、衛生面に気を付けることに関しては従来のイートイン営業を同様です。