飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

スペシャル企画

スパイスワークスのDX事例!LINEミニアプリで取得した情報を商品開発や販促に生かす

「飲食DX」の必要性が叫ばれる昨今、全国で飲食店を展開するスパイスワークスホールディングス(東京都台東区、代表:下遠野 亘氏)では、自身のスマホを使って商品を注文するモバイルオーダーサービス(店内注文)を提供する「ダイニー」のLINEミニアプリを導入し、DX(デジタル技術を使った業務改善)を進めている。モバイルオーダーを活用して人的労力の削減をするほか、取得した顧客データを生かして商品開発や販促で成果を上げている。「LINEはお客様のポケットの中にあるスマホに、瞬時に情報を届けることができる飲食店にとって非常に役立つツール」と話すのは、同社飲食事業部 本部長 宇佐川 卓司氏(以下、宇佐川氏)。同じく飲食事業部 木村 武蔵氏(以下、木村氏)とともに、同社のLINEミニアプリ活用事例についてインタビューを行った。


スパイスワークスホールディングス
2006年5月創業。飲食店を全国に40業態、98店舗、1宿泊施設を展開する他、「のれん街」をはじめ食の集合業態の内装・施工・業態プロデュース等、実績は年200件以上。「マイナーな食材をメジャーに、メジャーを定番に」「陳腐化した業態の再生・復興」がモットー。2018年にグループ会社12社を取りまとめホールディングス化し、現在グループ会社は22社。
https://www.spice-works.co.jp/

お客の「また来るね」を逃したくない。「ダイニー」のLINEミニアプリを導入

―LINEミニアプリは、「モバイルオーダー」「順番待ちの受付・呼び出し」など飲食店運営で役立つ様々な機能をLINE上で提供できるサービスです。御社の「LINEミニアプリ」の活用状況を教えてください。

宇佐川氏:当社では「ダイニー」のLINEミニアプリを活用しています。お客様がテーブルにあるQRコードを読み取ることでモバイルオーダーが利用でき、ご自身のスマホから注文できるというものです。さらに、LINEミニアプリを立ち上げる際、店舗のLINE公式アカウントにも友だち追加できます(※1)。現在、単価8,000円以上のミドルアッパー業態の2店舗を除いた、61店舗で導入しています。

※1 _LINE公式アカウントの友だち追加には、ユーザーの許諾が必要。

「ダイニー」のオーダー画面。メニューは項目ごとに分けられ、写真付きで見やすい

―導入の理由を教えてください。

宇佐川氏:飲食店ではお客様から日々たくさんの「ありがとう」や、「また来るね」という言葉をいただきますが、結局それは口約束で終わってしまい、その後の来店が確約されないことに大きな課題感を抱いていました。一方、同じサービス業であるホテルや航空会社では、しっかりと顧客データを蓄積し、適切なアプローチをかけて次に繋げている。飲食店が指をくわえてお客様を逃しているこの状況を、何とか変えることはできないかと考えていました。

コロナ禍以降、飲食業界でもDXの必要性がより叫ばれるようになり、当社ではモバイルオーダーの導入を検討し始めました。数多くのモバイルオーダーサービスがありますが、「ダイニ―」の最大の強みは、LINE公式アカウントと連携した施策が打てることです。単にモバイルオーダーの機能を果たすだけでなく、LINEのユーザー IDをもとにお客様の性別や年齢のデータを取得*できるほか、友だち追加いただいたLINE公式アカウントからメッセージを配信することもできます。それ以外にも、「ダイニー」のLINEミニアプリは使用感がスムーズなことや、各々のスマホ画面に同じテーブルのお連れ様同士で入力した注文内容が瞬時に共有されるなど、便利な機能があるのも魅力ですね。

*データの取得にはユーザーの許諾が必須となります

スパイスワークスの宇佐川氏(左写真)。インタビュー時「浅草横町」にいた木村氏(右)とはオンラインでの取材を行った

―導入してみて、いかがでしょうか?

宇佐川氏:何よりはお客様に「注文お願いします!」と手を上げてもらうことや、スタッフがテーブルまで注文を取りに行く必要がなくなったことがメリットですね。スタッフのオーダーテイクにかかる時間は、積み重ねれば結構なコストになりますし、その削減された時間をお客様の満足度向上に役立てていきたいと考えています。例えば、そのメニューに使用する素材やレシピについてのストーリーを伝えたり、スタッフがパフォーマンスしながら提供したりなどがあります。モバイルオーダーで浮いたリソースを、お客様に一層還元していければと思います。

一方で、スタッフがお客様のオーダーや各テーブルの状況を“自分ゴト化”にしにくいという面もある。本来なら自分が注文を受けた品がいつまでたってもテーブルに出ていなかったり、飲み物が空の状態が続いたりすると「働きかけよう」と思うわけです。しかしスマホで行うモバイルオーダーだと、そこに気づきにくい。そういった面をカバーできる教育体制を整えて、スタッフの意識づけを行うことは必須です。

顧客データは商品開発に活用、「LINEで予約」でキャンペーンも成功

―得られた顧客データは、どのように活用していますか?

木村氏:モバイルオーダーを利用したお客様については、ユーザーの性別・年齢などの情報を得られ(※2)、その店にどういう人が来ているのかを“感覚”ではなく“データ”で可視化できるようになりました。それを商品開発に生かしたのが、新宿三丁目の「スシンジュク」の例です。同店に来る女性はほぼ20代なのですが、男性に関しては同じく20代だけでなく、40代、50代の割合も多かった。これをもとに、「若い女性に連れて来られる男性」という構図をイメージしました。そこで、40代50代の男性にも満足いただけるよう、本マグロと青森県産生ウニを使った、3,000円代や高価格帯の商品を投入し、客単価アップを狙いました。

※2 _LINEミニアプリで取得する登録情報や行動履歴などのデータは、利用開始時に利用者の許諾を得た場合のみ使用可能です。

新宿三丁目の「スシンジュク」。若者に人気のすし酒場業態だ

―LINE公式アカウントを活用して、アンケートも行っているそうですね。

宇佐川氏:はい。まだテスト段階ですが、LINE公式アカウントを友だち追加していただいたお客様に来店の翌朝、アンケートフォーム付きのお礼メッセージを送っています。設問数はおよそ18問で、ほぼ選択式です。

LINEのメリットは、何よりも反応の良さ。アンケートはインセンティブを用意していないにもかかわらず4.4%の回答率でした(集計期間:2022年7月1日~31月、スパイスワークスホールディングス調べ)。例えば「ほぼ新宿のれん街 倉庫別館」内の「スシンジュク」では、月間で142件の回答を得られています。メルマガなどの他の手段に比べて圧倒的に反応があり、いかにLINEが人々の生活に根付いているかを実感しましたね。

以前はサービス改善に繋がる意見を得るために覆面調査を利用していたのですが、「覆面調査で来店するお客様」よりも、「純粋に来店したお客様」の意見の方が、よりリアルな声になりますよね。しかも覆面調査よりもLINE公式アカウントから送るアンケートの方が大きなコストもかからず、助かっています。料理やサービスについての意見があれば、すぐに開発チームや現場にフィードバックして、改善に繋げました。

「ほぼ新宿のれん街 倉庫別館」内で営業する「スシンジュク」は月間で約5,400人が来店。うち約3,200人が「ダイニー」のLINEミニアプリを利用する

―そのほかに、LINEを活用した施策はありますか?

木村氏:LINE上で簡単に、来店予約ができる「LINEで予約」を利用しています。これは6月に大衆酒場業態「ロッキーカナイ」でキャンペーンを行った際に役立ちました。6月9日を「ロッキーの日」として、18時~21時はハイボールとチューハイが1杯69円になるキャンペーンを打ち出したのですが、その際、LINE公式アカウントでキャンペーンの案内を発信し、「LINEで予約」を使った予約を促しました。普段は1店舗につき、「LINEで予約」で予約が入るのは1日2~3組ほどだったのに対し、期間中の6月9日から11日の3日間は、なんと1日30件の予約が入りました。売上も前週の同じ曜日と比べて増加。「LINEで予約」は送客手数料もかからないので、積極的に利用していきたいですね。

大衆酒場業態の「ロッキーカナイ」は、普段は予約を取らないがキャンペーン時のみ「LINEで予約」で予約を募ったところ、3日間で計90件の予約が殺到した

顧客データの蓄積は、スタートが早ければ早いほど良い!

―DXについて、思うところを教えてください。

宇佐川氏:「ダイニー」のLINEミニアプリの利用を開始したのは2021年4月でした。コロナ禍を機に、当社が取り組んだDXの一つです。幸運なことに早い段階で導入することができ、1年かけて多くのお客様とLINEで繋がることができました。LINE公式アカウントの友だちは積み上げ式に増えていくので、始めるなら早ければ早いほどいい。すでに友だちが1万人を超える店舗もあり、それだけ多くのお客様にリーチできるというのは、大きな強みだと思っています。例えば駅前で1万人にチラシを配るのには相当のコストや労力がかかりますが、LINE公式アカウントを使えば、1万人のポケットの中にあるスマホに瞬時に情報を届けられる。スパイスワークスでは人間にしかできないパフォーマンスも大切にしながら、良いと思ったDXには取り組み、従来の飲食店運営の課題を解決していけたらと思います。

―ありがとうございました!

LINEミニアプリについて詳しく知りたい方は、こちら

スペシャル企画一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.