スペシャル企画

フードデリバリーマーケットはますます拡大中!一方で見えてきた課題点とは?デリバリーに取り組む飲食店から見た現状とは?

コロナ禍も相まってますます活況を見せるフードデリバリー市場。通常営業がままならない今、その分の売上をデリバリーに助けられた店は少ない。今もデリバリーのマーケットは拡大する一方で、浮き彫りになった問題もある。実際にコロナ禍を機にデリバリーに本格着手したネバーランドアイ代表・澤田氏の体験談をもとに、飲食店が直面するデリバリーの現状を伝えたい。



話を聞いた人:株式会社ネバーランドアイ代表 澤田泰広氏
戸越銀座で「炭火ホルモン焼のネバーランド」、「炭火焼肉ホルモン裏ネバーランド」、「NE 酒 LAND 宴」、武蔵小山で「鶏ネバーランド」の計4店舗を経営。

澤田氏:コロナ禍をきっかけにデリバリーを始めた店も多いですが、当社ではそれ以前から取り組んでいました。2019年10月、カラオケスナック業態の「NE 酒 LAND 宴(ネバーランド うたげ)」を戸越銀座にオープンしましたが、カラオケスナックという性質上、売上のピークは22時以降。しかし、物件がどの時間に稼働していようがいまいが家賃は変わらないので、空いている昼の時間帯を利用して売上を作ることはできないだろうか?と考え、昼に店舗の厨房を活用してデリバリー専門のゴーストレストランを開始しました。サラダやスンドゥブ業態を始めました。

そんな中、昨年春頃にコロナの影響が及び、メディアではカラオケでのクラスターが頻繁に取沙汰されたこともあり「NE 酒 LAND 宴」の通常営業は完全休業としました。そんな中でもデリバリーは継続し、最も状況が厳しかった昨年の4月・5月、デリバリーでは4業態で月商750万円を売り上げることができました。売上が確保できたこともよかったのですが、なによりはスタッフに仕事を与えることができ、給料の支払いを止めずに済んだのは助かりました。

現在もデリバリーでは一定の売上があり、まだまだコロナの収束が見えない中で大きな収益源となっています。このようにデリバリーによる恩恵は大きいものの、一方で、デリバリーに取り組む中での問題点も浮き彫りになってきました。

基本的にデリバリーを営業するには、Uber Eatsや出前館のようなデリバリープラットフォームを使うことになります。飲食店は、それらの意向によって振り回されることも少なくないと感じています。

例えば、以前はなかったのですが、最近は店舗ごとに営業できる業態数に制限が付くようになりました。プラットフォームによっては1店舗につき1、2業態までしか営業できないということも。本来は業態数を増やした方がリーチする範囲が広がり、売上は上がるのですが、むやみに数を増やすことで粗悪な業態が増えるのでは、という懸念がプラットフォーマー側にはあるようです。確かに、安易な業態投入でいい加減な商品を出すことは許されませんが、実店舗と違って新しい業態を柔軟に投入できることがデリバリーの良いところ。そこを許容してもらえれば売上もかなり変わってくるのに、と思うこともあります。

他にも、厨房がタブレットだらけになることも多くの飲食店が抱える悩みです。プラットフォームごとに注文を受注するタブレットを設置する必要があり、意外とこれが場所を取ります。最近、それらのタブレットを一元化するサービスも登場しつつあるのですが、その場合、ピーク時に注文を遅らせたり、ストップできないなど、それはそれで問題があるんです……。


(多くのプラットフォームを利用することで、タブレットの枚数も増加。タブレット設置に場所を取ることがネックとなっている)

コロナ禍の追い風もあり、今デリバリーのマーケットはどんどん拡大している最中です。当社のようにデリバリーがあったからこそ、コロナ禍の逆境でもやってこれた、という店は多いはず。昨今、次々に新しいデリバリープラットフォームが登場してレッドオーシャンになりつつありますが、今後もデリバリーが更なる発展を遂げるためには、プラットフォーマーはシェアの奪い合いではなく、飲食店と協力してこれらの課題を解決していくことは必須ではないでしょうか。僕ら飲食店がプラットフォーマーに望むのは、料理に集中できる環境の整備。やはり飲食店の本領は料理を作ること。それ以外の煩雑な作業に気を取られることなく、美味しい料理をデリバリーで届けることだけに集中したい。飲食店とプラットフォーマー、協力し合いながらデリバリーマーケットで共存共栄を目指していけたら嬉しいです。

スペシャル企画一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集