スペシャル企画

「ミライザカ」「三代目鳥メロ」などの鶏事業好調なワタミが、「大衆焼肉ホルモン もつ★りき」で焼肉業態に参入

ワタミ(東京都大田区、代表取締役:清水邦晃氏)は2018年11月6日、JR御茶ノ水駅前徒歩1分・東京メトロ御茶ノ水駅から徒歩2分の場所に焼肉新業態の「大衆焼肉ホルモン もつ★りき」をオープンした。コンセプトは、「ちょっと奮発 明日への活力! 大衆焼肉ホルモン酒場」。グループ一括仕入れにより中間マージンを抑え、安価に黒毛和牛を提供する。イメージは大衆酒場だが、鮮度のいいホルモンや上質の焼肉で類似業態との差別化を図る。現在「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」が好調だが、これらに並ぶブランドに育てるのが目標だ。焼肉営業部の小林真氏にインタビューを行い、業態開発エピソードや安価な価格を実現するための企業努力などをうかがった。


――焼肉事業を始めた経緯は?

小林氏:焼肉については高価なイメージが根強いと思います。そこでまず第一にあったのは、「焼肉を気軽に食べられる場所」という発想です。現在、中間的な焼肉専門店で黒毛和牛を食べると、平均で1人5,000~6,000円ぐらいです。「もつ★りき」では、そこよりぐっと低価格の3,000~3,500円の客単価を想定しました。ターゲットは30代、40代の働き盛り世代。ごくごく普通の勤め人です。そうした飲食店があれば、たとえば今3か月に1回焼肉を食べる人なら、月1回ほどの頻度で食べられるようになるはずです。「純粋に自分も行きたい店を作ろう」という動機もあります。独自ルートを開拓することにより、肉は黒毛和牛を一頭買いしており、ザブトンなどの希少部位も日替わりで提供できるようにしています。


(焼肉営業部の小林真氏)

――ワタミグループで焼肉業態は初めてですか?

小林氏:実は過去に「炭団(たどん)」という焼肉業態を手掛けたことがあります。肉は、赤身の肉質がよい短角牛を使いました。今は赤身肉が評価されていますが、当時は霜降りブーム。炭団は固定客を獲得し善戦しましたが、時代を先取りしすぎたということもあり一度縮小となりました。ですから、今度こそリベンジ! という思いももちろんあります。そのためにも、原価率や仕入れコストのコントロールをしっかり行うことに尽きると思います。その上で、お客様には「ホルモンをつまみにお酒を飲んで、黒毛和牛の焼肉でご飯を食べて、3,000円のお会計にびっくり!」という体験を提供したいです。

――肉の選択や仕入れは?

小林氏:ホルモンは新たな仕入れルートを開拓し、その結果、千葉県銚子市の市場からチルドの状態で生ホルモンを直接仕入れられることになりました。メニューとしては、「名物!もつ★りきホルモン」(赤・白 各390円/税別、以下同)、「極レバー」(390円)、「ミックスホルモン」(590円)などです。


(九州の「中村牛」のさまざまな部位を提供。客席に設置されたロースターでお客が焼いて楽しむ)

牛肉は、九州の「中村牛」を選択。今回、業態開発のためにさまざまな肉を食べ比べしましたが、ずばぬけた旨さがあります。赤身にはしっかりした味があり、部位によって適度なサシも入っており、バランスが良好です。メニューとしては、「名物!ねぎ助(ネギ巻き塩カルビ)」(690円)、「カルビ」(690円)、「上カルビ」(990円)、「生タン」(590円)などが主力となります。

「もつ★りき」はスタートしたばかりですが、生産牧場は工場を増設するなどして万全の体制を整えてくださいました。希少部位も送ってくださるため、日替わりで希少部位を提供できるのです。このような生産者様との連携も大切にしていきたいですね。

――その他のメニューやドリンクは?

小林氏:「スモークレバー」(390円)、「牛すじのゴジラ煮 黒毛和牛使用」(490円)、「もつ★りきユッケ 黒毛和牛生ハム使用」(790円)などです。「肉めし」(590円)、「氷見うどん」(590円)、ユニークなところで「日の丸弁当」(290円)など、ご飯ものも充実させました。ドリンクは、「角ハイボール」「チューハイ」「ウーロンハイ」(各290円)から、日本酒では「澤乃井 奥多摩湧水仕込」(500円)、ワインは「カップワイン」(赤・白 各500円)など。


(やかんから注ぐ「超得!やかんサワー」(レモン・ライチ・ゆず 各1,990円)も見た目のインパクト大)

お酒は、大衆酒場の楽しさ感がありながらオペレーションの簡素化が実現できることを選定基準としています。宴会需要も見込んでおり、150分3,500円(11品)のコースを一つだけ作りました。プラス1,500円で飲み放題としています。

――調理オペレーションの特徴は?

小林氏:ホルモンは下処理済みのものが届けられるため、店では大きさを揃える程度で済みます。肉もほぼトリミングされた状態で入荷され、注文を受けてからタレを揉み込むことで風味の損失を防ぎます。揉みダレと秘伝のつけダレは独自に開発したため、味の均一化が図れます。焼肉業態でありながら、調理のクイック化と平易なオペレーションが実現できました。

(赤身と脂身のバランスがよい「上カルビ」(990円)。揉みダレで味を引き締める)

――最後に目標をお聞かせください。

小林氏:ライバルはたくさんありますが、本音をいえば味では勝てると思っています。また、将来に向かって強い事業に育っていくと確信しています。ワタミグループでは「三代目鳥メロ」と「ミライザカ」を合せて300店舗に近づいていますが、これらと並び10年後には店舗数は300店舗を目指します。直営店はもちろん、ワタミグループではダイレクト・フランチャイズ・システム(社員独立制度)のオーナーがおり、そうした人たちの出店も視野に入れています。すでに「ミライザカ」や「三代目鳥メロ」の鶏業態を展開中のエリアでも、「もつ★りき」で焼肉業態も加えて、別ブランドでフランチャイズ経営をされているオーナーにも訴求できるブランドに育て、全国展開を視野に入れています。

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