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労働基準局が法改正を視野にー 失業者続出という最悪のシナリオも危惧

昨今、飲食業界を騒がせている受動喫煙問題。神奈川の例をみても突如御上から下る条件付規制は飲食事業者にとって店の存続をも脅かす大事である。と、そんな中であらたな問題が浮上。「受動喫煙を防ぐための店内環境対策」という観点のみならず「労働者を守るための環境作り」という側面から受動喫煙防止の規制を義務化する検討が着々と進められていたのだ。“法”の制定となれば、もはや業界全体を揺るがす大惨事。今、いったい何が起こっているのか!?


非現実的な、労働環境ベースでのタバコ規制。雇用圧迫の懸念も

もともとWHOから端を発した世界的な受動喫煙防止の流れは日本でも厚生労働省の健康局と労働基準局が取組みをスタート。健康局の受動喫煙防止取組みについては既に一般メディアを含めフースタでも何度も報じてきたが、後者の労働者を守るための規制は今年に入り急に表立って活発化。5月には労働基準局で今後の"職場における受動喫煙の指針"に関する報告書がまとめられた。

概要は、"労働者の健康障害防止"を基本方針として労働安全衛生法に受動喫煙防止の規定を設ける必要性を提言、また努力義務でなく義務にすべきという厳しい内容に。飲食店などタバコを吸う客がいて全面禁煙や空間分煙が困難な場合でも、規制に基づき可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させる必要性を述べ、現状直ちに禁煙化というのが困難な場合でも国民のコンセンサスを得つつ社会全体としての取組を計画的に進めていくことが必要とまとめられている。

実は今、この内容に基づき法改正に向けた検討が行なわれている。11月10日には公聴会が開かれ、来年1月の通常国会で改正法案が提出される模様。となれば新法が成立し、4月には施行開始か!?

しかし、飲食店については吸いたいという顧客がいる以上、先んじて労働環境ベースでの禁煙厳守化というのは非現実的。また煙が含む有害物質の空気中濃度に基準を設けて対策を徹底させる規制は排煙設備に多額の投資が必要となり、余力のある大手以外は必然的に禁煙化を選ばざるを得ない状況に。となると、喫煙者は喫煙可能な店(大手)に集中し、厳しい現不況に拍車をかける形で、中小飲食店は過度な客離れにより一気に経営難に落ち入る可能性が高い。そうなれば雇用は激減。わが国飲食店の数は724,295店、従業者数は4,120,412人(平成18年総務省統計)。そのうち9割が中小と言われる中での規制は業界大恐慌を招く危険性が高く、労働者を守るはずが"失業"という最悪の事態を招くことも。よって飲食業界における労働環境ベースでのタバコ規制は、喫煙の顧客が多数存在している現状、非常に危険であり慎重に議論してもらいたいところだ。

今後の方針に関しては、11月10日の公聴会をもとに、年内議論が詰められるという。フースタも傍聴に行き、その模様を来月報告する予定。いずれにしても、この決定は、これまで注目を集めていた"条例化"のさらに上をゆく"法"としての規制だけに、関係者に与えるダメージは計り知れない。

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