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「職場における受動喫煙防止対策」公聴会レポート 飲食店に、さらなる追い打ちか? タバコ規制に関する改正法の行方

受動喫煙が社会問題となっている昨今、飲食業界でもさまざまな自主的努力が行なわれるようになった。ところが、今、事業者の足かせとなるような改正法が制定されようとしている。“働く人々の健康を守る”という観点から厚生労働相が進めてきた「職場における受動喫煙防止対策」に関わる労働安全衛生法だ。検討会はすでに大詰めを迎え、法案作成前に国民からも広く意見を徴収すべきと、業界団体や学識者らを集めた公聴会を開催。そこで、飲食業界には大打撃となるであろう同法案改正の行方やいかに? と、早速取材してきた。


11月10日(水)、「職場における受動喫煙防止対策」の公聴会が、虎ノ門のニッショーホールで催された。目的は「職場における受動喫煙防止対策」について関係団体や学識者らの意見を聞き、安全衛生分科会での議論に反映させること。この“職場”には、もちろん飲食業の現場も含まれるわけだが、検討はすでに最終段階に突入。来年1月の通常国会への提出を目指しているとされるだけに、法改正の行方には、この公聴会が大きなカギを握っていると考えられていた。

ところで、「職場における受動喫煙防止対策」についてイマイチピンとこない人は、ここで、ひとつ想像してみよう。もし法改正が行なわれ、オフィスビルなどと同様飲食店でも従業員を守るべく禁煙または分煙にしなければいけなくなったら・・・。それはつまり、お客がいようがいまいが従業員を守るために主な労働環境であるホール(店内)は全面禁煙、一部喫煙スペースを、ということになるだろう。これでは、飲食店が“誰のためにあるのか”という在り方自体を見誤っているといえる。お客がいなくては店が成り立たないということを忘れてはならない。よって働く人々とお客が同じ空間に存在する飲食店のようなサービス業に関わる者らにとって、この法改正はいよいよ難解なものである。

さて、今回の公聴会はこういった問題点を踏まえるための場であったはずが傍聴していておかしいと感じる点が多々あった。まず、公聴会では壇上に安全衛生分科会の委員や厚生労働副大臣・小宮山洋子氏が並び、事前に選ばれた業界代表や学識者など全8名から意見発表が行なわれるというスタイルが取られたが、その発表者が禁煙推進派VSサービス業関連という顔ぶれであったことだ。そもそも議題となっている“労働安全”とは、労働者の健康や安全を軽視してまで利潤を追求しようとする使用者側に対し、弱者である労働者をどのように行政が救済するか、ということが基本構造のはず。ところが、今回、国に対して現実的な対応を求めたのは外食産業の事業者の集い「日本フードサービス協会」と、ホテル従業員らでつくる労働者代表の産別労組「サービス連合」など、経営側、労働側の両組。つまり、本来、労働環境の協議において利害が対立するはずの双方が一丸となって現実的な対応を求めているのに対し、部外者である人々の意見と比較検討するといった見せ方事態が不可解。業界の死活問題に実態を知らない余所者が・・・と受けとめられても仕方ない状況だ。すでに受動喫煙問題を重く受けとめ、コストや時間をかけながら現実的な喫煙環境の配慮に取り組んでいる店にとって行政の更なる関与は本当に必要なのだろうか?

また、協議の中でそもそも検討を委嘱している行政側の代表者が「妥協はない」「全面禁煙すべき」と発言したことにも違和感が残る。公平な視点を保つべき立場の人物が検討の場で自らの意見を発するのであれば、専門家をそろえた審議会は不要であり「結果ありき」で進められる事と見られても仕方ない。果たして飲食業を始めとするサービス業当事者の意見を聞き、公平に判断してくれる気が本当に行政側にあるのかと正直不安な気持ちを隠せない。

さらに検討の最中、委員の誤認を示す発言がいくつか見られた。例えば、売上への懸念があるなら“全国一律禁煙”にすれば大丈夫か? という質問だ。そもそもの労働安全という観点から外れているのみならず、今、飲食業界が戦っている真のライバルは中食、内食である。ただでさえ若者のアルコール離れが顕著になっている昨今、飲食店へのタバコ規制を強化することは店から“居心地のよさ”であったり“寛ぎ感”という魅力を奪うことであり、他店との競争という小さな土俵ではなく“業界全体の低迷”に拍車をかける可能性もある。

もし行政が真の意味で飲食業界の声に耳を傾けてくれる気があるのであれば、そもそも市役所や駅構内といった公共施設やオフィスといったサービス業以外の業種と分けて考えることがスタートである。そして、その上で、サービス業で働く人々の健康に対し、各事業主が配慮をしていないことが問題に上がるとすれば、そこに対する対策を現実的な線で検討していくべきではないだろうか。

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